
X Window System:画面表示のしくみ
計算機を使う上で、画面に何がどう映るか、またどのように操作するかは、使う人にとってとても大切なことです。画面表示と操作方法は、計算機との接点であり、円滑な操作を実現する鍵と言えるでしょう。この画面表示と操作を支えているのが、図形を使った利用者向け操作画面、つまりGUI(ジーユーアイ)です。
ユニックス系の計算機では、Xウィンドウシステムと呼ばれるものが、このGUIを実現するための土台となっています。Xウィンドウシステムとは、画面表示やマウス、キーボードといった入力装置の制御を行うための仕組みです。複数のプログラムが画面の一部を使って表示を行うことを可能にし、それぞれのプログラムは独立して動作することができます。例えるなら、大きな掲示板に複数のポスターが貼られており、それぞれのポスターが別々の情報を表示しているようなものです。それぞれのポスターは独立しており、それぞれが更新されても他のポスターに影響はありません。
Xウィンドウシステムは、クライアント・サーバーモデルを採用しています。利用者が操作するプログラム、例えば表計算ソフトや文書作成ソフトなどは「依頼人」として働き、表示や入力の要求をXサーバーと呼ばれる「応答者」に送ります。Xサーバーは、画面やキーボード、マウスといった機器を直接制御する役割を担っており、依頼人からの要求に応じて画面表示を更新したり、入力を受け付けたりします。この仕組みにより、複数のプログラムが同じ画面上で動作し、利用者はそれぞれのプログラムとやり取りすることができるのです。
Xウィンドウシステムは、ネットワーク透過性という特徴も持っています。これは、別の計算機で動いているプログラムを、あたかも自分の計算機で動いているかのように操作できることを意味します。例えば、遠く離れた場所に設置された大型計算機の強力な処理能力を使って、自分の計算機の画面に計算結果を表示させることも可能です。このように、Xウィンドウシステムは、柔軟で強力な表示システムであり、ユニックス系計算機の操作性を支える重要な役割を担っています。