
ASMP:役割分担で処理を効率化
非対称型多重処理という仕組みは、複数の処理装置を搭載した計算機で、それぞれの処理装置に特定の役割を割り当て、作業を分担させる方式です。レストランで例えるなら、複数の料理人がそれぞれ得意料理を担当することで、全体として効率を高めるようなものです。ある処理装置は画面に表示する作業を専門に、別の処理装置は計算処理を専門に、といったように役割を固定することで、処理速度の向上や計算機全体の安定化を図ります。
対称型多重処理という仕組みも存在しますが、こちらはすべての処理装置が同じ処理をこなせる方式です。非対称型多重処理との大きな違いは、処理装置の役割分担にあります。対称型多重処理ではすべての処理装置がすべての作業をこなせるため、柔軟性は高いですが、特定の作業に特化した処理装置を使うことはできません。一方、非対称型多重処理ではそれぞれの処理装置の得意な分野を活かすことができるため、特定の作業を高速に処理することができます。
例えば、画像処理に特化した処理装置を搭載することで、動画の編集作業などを高速に行うことができます。また、計算処理に特化した処理装置を搭載することで、複雑な計算を必要とする科学技術計算などを高速に行うことができます。このように、非対称型多重処理は、処理装置の役割を固定することで、全体としての処理能力を最大限に引き出すことを目的としています。近年、計算機の処理能力の向上に伴い、非対称型多重処理の重要性はますます高まっています。処理装置の性能を最大限に活かすことで、より高度な処理をより高速に実行することが可能になります。