
マスターブートレコード:コンピュータ起動の心臓部
計算機が動き始める時、一番最初に仕事をするのが主記憶始動記録と呼ばれる部分です。これは、情報の入れ物である固い円盤や、もっと速い固い記憶装置の一番最初の区画にしまわれています。計算機の電源を入れると、まずこの主記憶始動記録が読み込まれます。主記憶始動記録は、計算機を動かすための基本的な指示が書かれた小さな手帳のようなものです。この手帳には、どの順番で仕事をするか、計算機の頭脳である演算装置や記憶装置をどう動かすかなどが細かく書かれています。主記憶始動記録の大切な仕事の一つに、運行組織を読み込むという作業があります。運行組織とは、計算機全体を管理し、利用者が計算機を簡単に使えるようにする仕組みのことです。主記憶始動記録は、この運行組織がどこにしまわれているかを探し出し、それを計算機の記憶装置に読み込みます。例えるなら、主記憶始動記録は、大きな図書館の司書のような役割です。利用者が本を探し出すのを手伝うように、計算機が運行組織を見つけられるように手助けをしているのです。主記憶始動記録がなければ、計算機はどこに運行組織があるのかわからず、動き始めることができません。もし、この主記憶始動記録が壊れてしまうと、計算機は全く動かなくなってしまいます。これは、図書館の案内図がなくなってしまい、誰も本を見つけられなくなるようなものです。ですから、主記憶始動記録は、計算機を動かす上で、なくてはならないとても大切な役割を担っていると言えるでしょう。主記憶始動記録は小さいながらも、計算機全体を動かすための重要な指揮者なのです。計算機の電源を入れる度に、この小さな手帳が静かに、しかし確実に仕事をこなし、私たちが計算機を使えるようにしてくれているのです。