
日本語環境での文字コード EUC-JP
計算機の世界では、すべての情報は数字で表されます。文字も例外ではなく、数字に対応させて扱う必要があります。この数字と文字の対応関係を示した表を文字コードと呼びます。日本語を扱うための文字コードも複数種類ありますが、その中で、かつて広く使われていたのが「拡張ユニックスコード日本語版」、略してEUC-JPです。EUC-JPは、日本の計算機システムで日本語を正しく表示するために、なくてはならない役割を担ってきました。
EUC-JPが普及した背景には、ユニックス系の計算機システムの普及があります。ユニックスは、1970年代に開発された多人数利用型の計算機システムで、世界中で広く使われました。このユニックスで日本語を扱うために考案されたのがEUC-JPです。EUC-JPは、ASCIIと呼ばれる英数字を扱うための基本的な文字コードと互換性を持つように設計されています。具体的には、ASCIIで使われている数字の範囲はそのままに、日本語の文字を表す数字を別の範囲に割り当てることで、両立を実現しています。
EUC-JPは、主に半角カナ、全角文字(漢字、ひらがな、カタカナなど)、半角英数字を表現できます。半角カナは、1バイトで表現され、全角文字は2バイトで表現されます。これにより、日本語の文章を効率的に表現することが可能になりました。しかし、EUC-JPは、すべての漢字を網羅しているわけではありません。そのため、一部の漢字は表示できない場合がありました。
現在では、ユニコードと呼ばれる、ほぼすべての文字を扱える文字コードが主流となっています。ユニコードは、世界中の様々な言語を統一的に扱うことができるため、国際化に対応したシステム開発に適しています。しかし、現在でも、過去のシステムとの互換性を保つために、EUC-JPが使われている場面は少なくありません。例えば、古い資料を新しいシステムに移行する際などには、EUC-JPに関する知識が必要となる場合があります。過去の遺産を正しく扱うためにも、EUC-JPについて理解を深めておくことは重要です。