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ハードウエア

デジタルからアナログへ:D/A変換器の役割

数を表現する方式には、連続的な量で表す方法と、飛び飛びの値で表す方法の二種類があります。前者をアナログ、後者をデジタルと呼びます。例えば、温度計の水銀柱の長さはアナログ表現であり、デジタル時計の数字はデジタル表現です。私たちの身の回りにある電子機器の多くは、情報をデジタルで処理しています。しかし、私たちが五感で感じる音や光、温度などはアナログです。そこで、これらの機器では、デジタルとアナログの信号を相互に変換する必要があります。デジタル信号をアナログ信号に変換する装置をデジタル・アナログ変換器、略して変換器と呼びます。変換器は、携帯電話や計算機、テレビなど、デジタル情報を扱うほとんど全ての電子機器に組み込まれています。例えば、携帯電話で音楽を聴くとき、保存されている音楽ファイルはデジタルデータです。このデジタルデータを、イヤホンやスピーカーから流れる音、つまりアナログ信号に変換するのが変換器の役割です。映像も同様で、デジタルデータの動画ファイルを、画面に映し出すアナログ信号に変換するのも変換器の働きによるものです。変換器を実現する仕組みはいくつかあります。代表的なものの一つに、抵抗を組み合わせた回路を用いる方法があります。この方法では、入力されたデジタルデータに応じて、異なる抵抗値が選択され、出力される電圧が変化します。この電圧の変化がアナログ信号となります。もう一つの代表的な方法として、信号の幅を変化させる方法があります。この方法では、一定の周期で出力される信号の幅を、入力されたデジタルデータに応じて変化させます。この信号の幅の変化がアナログ信号となります。近年、音楽や映像を高品質で楽しむ需要が高まり、変換器の性能向上も進んでいます。より自然で滑らかなアナログ信号を生成する技術が開発され、デジタル機器の音質や画質の向上に貢献しています。変換器は、デジタル機器と私たちを繋ぐ、縁の下の力持ちと言えるでしょう。