
セロン物語:低価格パソコン時代の立役者
1998年といえば、一家に一台、情報機器を持つことが夢ではなくなりつつあった時代です。とはいえ、情報機器はまだまだ高価なもので、誰もが気軽に買えるものではありませんでした。特に、情報機器の心臓部である演算処理装置は高性能なものほど価格も高く、情報機器全体の価格を押し上げる要因の一つでした。
そんな中、演算処理装置の大手製造業者であるインテル社は、より多くの人々に情報機器を届けるために、画期的な演算処理装置「セロン」を開発しました。セロンは、当時インテル社の主力製品であった高性能演算処理装置「ペンティアム」の技術を基に開発されました。しかし、ペンティアムの全ての機能を搭載するのではなく、一部の機能を絞り込むことで製造費用を抑え、低価格化を実現したのです。
セロンの登場は、情報機器の価格全体を押し下げる効果を生み出しました。これまで情報機器の購入をためらっていた人々も、セロン搭載の情報機器であれば手が届くようになり、情報機器の普及は一気に加速しました。セロンは、情報機器を誰もが使えるものへと変え、情報化時代を大きく前進させる立役者となったのです。
セロンの開発は、単に低価格の演算処理装置を生み出しただけにとどまりません。情報機器の低価格化競争を促し、様々な製造業者がより安価で高性能な情報機器を開発する原動力となりました。この競争は、情報機器の性能向上にも繋がり、結果として利用者にとってより使いやすく、便利な情報機器が次々と誕生する好循環を生み出したのです。まさに、セロンは情報機器の歴史における大きな転換点と言えるでしょう。