B言語

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開発

B言語:C言語の礎

計算機の歴史を語る上で欠かせない出来事の一つに、新たな種類の言葉、つまり計算機向けの言葉であるプログラム言語「B言語」の誕生があります。B言語は、1970年代の初頭、アメリカの電話会社で有名なベル研究所にて、ケン・トンプソン氏とデニス・リッチー氏という二人の研究者によって開発されました。当時、二人は「マルティクス」という、多くの機能を持つ、言わば万能ナイフのような仕組みの開発に携わっていました。しかし、あまりに複雑で使いにくいと感じ、もっと単純で無駄がなく、それでいて効率の良い仕組みを新たに作りたいと考えました。これが後に「ユニックス」と呼ばれる、画期的な仕組みの開発へと繋がっていきます。 ユニックスの開発当初は、計算機に直接指示を出す、言わば計算機と一対一で会話するような「アセンブリ言語」が使われていました。しかし、この言葉は、特定の種類の計算機でしか通じないという問題を抱えていました。ちょうど、ある地方の言葉が他の地域では通じないのと同じです。そこで、様々な種類の計算機で使える、共通の言葉が必要だと考えられました。これが、B言語開発のきっかけとなりました。B言語は、「BCPL」という既存のプログラム言語を基に、当時最新の小型計算機「PDP-7」でも使えるように工夫されました。限られた性能の中で、無駄なく動くよう、簡潔で小さな設計が採用されました。まるで、小さな家の中に必要なものだけを詰め込んだような、そんな無駄のない言葉だったのです。