Atom

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デバイス

MID:携帯端末の新潮流

二〇〇七年、半導体製造で名を馳せるインテル社が、携帯端末の新たな姿を提案しました。それは「MID」、モバイルインターネット機器と呼ばれる、小型軽量で持ち運びに便利な情報端末構想です。いつでもどこでも気軽に情報に触れ、インターネットや電子メールを利用できる未来を目指し、当時インテル社が開発を進めていた低消費電力プロセッサー「アトム」の搭載を前提として構想されていました。 このMID構想は、当時普及し始めていたスマートフォンやネットブックとは一線を画すものでした。スマートフォンは電話機能を主体とし、ネットブックは小型軽量ながらノートパソコンの廉価版としての位置づけでした。MIDはこれらの製品とは異なる、全く新しいモバイル体験の提供を目指した革新的な試みだったのです。大きさは従来の携帯電話よりも大きく、ノートパソコンよりも小さい、まさに中間的な存在でした。この新たな市場を切り開く可能性を秘めた構想は、多くの期待を集めました。 MIDは、常にインターネットに接続している状態を想定して設計されました。これは、現在広く普及しているスマートフォンの利用形態の先駆けとも言えます。しかし、MID構想は期待されたほどの成功を収めることはできませんでした。スマートフォンやタブレット端末の急速な進化と普及により、MIDはその存在意義を見失い、市場から姿を消していきました。しかし、MIDが目指したモバイル性と常時接続性という概念は、後のモバイル機器開発に大きな影響を与え、今日の情報化社会の礎を築く一つの要素となったと言えるでしょう。
ハードウエア

Atom:小さな巨人、その実力

原子の名前を持つ「アトム」は、大手半導体製造企業であるインテル社が開発した小さな頭脳、すなわちマイクロプロセッサーです。この小さな頭脳は、持ち運びしやすい小さなノートパソコンや、インターネットを主に使うパソコンのために作られました。 アトムの最も注目すべき点は、その小ささと電力消費の少なさです。従来のマイクロプロセッサーと比べると、驚くほど小さく作られています。また、電力の消費も少ないため、バッテリーの持ちが格段に良くなり、パソコンを長時間使えるようになりました。以前はすぐに電池切れで困っていた作業も、アトム搭載のパソコンなら、安心して続けられます。 さらに、価格も比較的安く設定されているため、高性能でありながら手軽に手に入れることができます。性能と価格のバランス、つまり費用対効果の良さは、アトムの大きな魅力と言えるでしょう。 このような特徴から、アトムはネットブックやタブレットなど、持ち運びできる情報機器の中核部品として広く使われています。小さな体に秘めた大きな力と省エネ性能は、いつでもどこでも情報にアクセスしたいという現代のニーズに応える、まさに最適な頭脳と言えるでしょう。まさに、小さな巨人です。