
ASCII:情報交換の標準文字コード
計算機同士が情報を正しくやり取りするには、共通の言葉が必要です。人間同士が異なる言葉を話すように、計算機もそれぞれ独自の言葉で情報を処理しています。そこで、異なる種類の計算機の間で情報を正しく伝えるために、共通の言葉である「文字符号」が必要となります。文字符号とは、文字を数字に対応づける規則のことです。例えば、「あ」という文字には特定の数字が割り当てられ、「い」という文字には別の数字が割り当てられます。この対応付けによって、計算機は文字を数字として処理し、情報をやり取りすることができます。
この文字符号の一つに、「アスキー」と呼ばれるものがあります。アスキーは、1963年にアメリカの規格協会によって定められました。これは、異なる製造元の計算機間でも、文字の乱れなどの問題なく、円滑に情報の送受信を可能にするための重要な土台を築きました。アスキーが登場する前は、それぞれの製造元が独自の文字符号を用いていたため、互換性がなく、情報のやり取りの際に大きな壁となっていました。例えば、ある製造元の計算機で作成された文書を、別の製造元の計算機で開こうとすると、文字が正しく表示されないという問題が発生していました。
アスキーの登場は、異なる仕組みの間の相互運用性を高め、情報技術の発展に大きく貢献しました。これは、世界中の人々が異なる言葉を話す中で、共通語が国際的な意思疎通を円滑にするのと同じです。アスキーは、計算機の間の情報交換を円滑にする共通語の役割を果たしているのです。アスキーによって、異なる計算機システム間でのデータのやり取りが容易になり、情報技術の急速な発展を支える基盤が築かれました。現在でも、アスキーは情報交換における重要な役割を担っており、様々な場面で利用されています。