
DOS/Vの功績:日本のパソコン普及を支えた立役者
時は1990年、日本の電算機を取り巻く環境は大きな転換期を迎えました。これまで、日本語を電算機で扱うには、いくつもの壁がありました。まず、日本語を正しく表示するためには、専用の日本語処理装置を取り付ける必要がありました。この装置は高価な上に、電算機本体の価格も高く、一般の人にはなかなか手が届かないものでした。さらに、日本語入力の操作も複雑で、使いこなすには専門的な知識が必要でした。このため電算機は一部の企業や専門家だけが使う道具というイメージが強かったのです。
そんな中、日本アイ・ビー・エム株式会社から画期的な技術が登場しました。それがDOS/Vです。DOS/Vは、当時普及し始めていた比較的安価なパソコンであるピーシー/エーティー互換機で日本語を扱えるようにしたのです。この技術革新は、これまでの日本語電算機を取り巻く様々な問題を一気に解決する可能性を秘めていました。
DOS/Vによって日本語表示装置にかかる費用を抑えることができるようになり、電算機本体の価格と合わせて、電算機全体の価格が大きく下がることが期待されました。これまで高価で使いづらかった電算機が、より多くの人にとって身近なものになる道が開かれたのです。DOS/Vの登場は、まさに電算機の歴史における大きな一歩であり、後の情報化社会の到来を予感させる出来事でした。