
非対称型マルチプロセッサ:複数コアの新たな活用法
複数の処理装置を持つ計算機では、処理装置をどう活用するかが全体の能力を左右します。処理装置の数が増えれば単純に計算能力は上がりますが、処理装置それぞれに同じ仕事をさせる従来の均等型複数処理装置方式では、必ずしも効率的ではありません。そこで、それぞれの処理装置に異なる役割分担をさせることで、全体としての効率を高める工夫が生まれました。これが非対称型複数処理装置方式です。
非対称型複数処理装置方式では、それぞれの処理装置の特徴や得意分野を活かすことができます。例えば、ある処理装置は計算速度が速いので複雑な演算処理に特化させ、別の処理装置は情報のやり取りに優れているので画面表示や外部装置との接続を担当させる、といった具合です。まるで、得意分野の異なる人々が集まって、それぞれの長所を活かして共同作業をするようなものです。均等型複数処理装置方式では、全員が同じ作業をするので、個々の能力が活かしきれません。しかし、非対称型複数処理装置方式では、個々の能力を最大限に引き出すことで、全体としての作業効率を向上させることができます。
非対称型複数処理装置方式の利点は、全体の処理能力を高めるだけでなく、消費電力の削減にも繋がるところにあります。均等型複数処理装置方式では、全ての処理装置が同じ処理を行うため、無駄な電力消費が発生することがあります。しかし、非対称型複数処理装置方式では、必要な処理装置だけが稼働し、不要な処理装置は休止させることで、消費電力を抑えることができます。これは、省エネルギーの観点からも重要な利点です。
近年、携帯端末や組み込み機器など、様々な機器で処理装置の複数搭載が進んでいますが、限られた電力で高い性能を実現するために、非対称型複数処理装置方式はますます重要な技術となっています。処理装置の役割分担を工夫することで、それぞれの機器に最適な性能と電力効率を実現することが期待されています。