
非対称型マルチプロセッシングとは?
計算機の処理能力を高める方法として、複数の処理装置を同時に動かす技術は、今やなくてはならないものとなっています。こうした技術は、複数の処理装置を同時に動かすことから、まとめて複数処理と呼ばれています。複数処理には様々な種類がありますが、今回は非対称型複数処理について説明します。非対称型複数処理とは、それぞれの処理装置に役割を割り当てて動かす方式のことです。それぞれの処理装置に役割を割り当てて動かす方式では、特定の処理装置が全体の制御を担うなど、処理装置ごとに異なる役割を分担します。
この方式は、仕組みが単純なので、設計や実現が比較的容易という利点があります。設計や実現の容易さは、開発期間の短縮や費用の削減に繋がります。また、特定の処理装置に負荷が集中しにくいという特性もあります。これは、システム全体の安定稼働に貢献する重要な要素です。例えば、全体の制御を担う処理装置とは別に、計算処理専用の処理装置を用意することで、制御系の処理に支障をきたすことなく、安定した計算処理を行うことができます。
しかし、処理装置の間で情報のやり取りが必要となるため、通信による遅れが発生する可能性には注意が必要です。処理装置の間で頻繁に情報のやり取りが発生する場合、この遅延がシステム全体の処理速度に影響を与える可能性があります。例えば、ある処理装置が別の処理装置からデータを受け取るまで待機する必要がある場合、その待機時間がシステム全体の処理時間を長くしてしまう可能性があります。そのため、非対称型複数処理を設計する際には、処理装置間の通信量を最小限に抑える工夫や、通信遅延の影響を軽減するための対策を検討する必要があります。具体的には、処理装置ごとに必要な情報をあらかじめ分配しておくなどの対策が考えられます。