離散コサイン変換

記事数:(2)

保存・圧縮

画像と音声の圧縮技術:DCT入門

情報の変換方法を説明します。情報をそのまま記録すると多くの記憶場所が必要ですが、変換することで必要な記憶場所を減らすことができます。この変換は、例えば写真や音声といった情報に利用されます。 離散余弦変換(略称DCT)という方法で情報を周波数という波の成分に分解します。人間の目や耳には、高い周波数の成分はあまり聞き取ったり、見分けたりすることができません。高い周波数の成分は、写真の細かい部分や音のノイズに関係しています。重要なのは低い周波数の成分で、写真の全体の明るさや音の高さといった主要な情報を表しています。DCTでは、高い周波数の成分を省略することで記憶場所を減らしているのです。 具体的な方法としては、まず情報を小さな区画に分けます。次に、それぞれの区画に対してDCTを適用します。変換後の情報は、低い周波数から高い周波数の順に並べ替えられます。不要な高い周波数の情報は削除されます。このように、人間の目や耳の特徴に合わせて、重要な情報だけを残すことで、効率よく記憶場所を減らすことができます。 変換後の情報は、「量子化」という処理でさらに記憶場所を減らします。そして、最終的にファイルの大きさが小さくなります。元の情報に戻すためには、逆DCTという処理を行います。しかし、減らした情報があるので完全に元と同じには戻りません。情報の減少は、記憶場所の削減量と写真や音の質のバランスで調整されます。
保存・圧縮

画像と音の魔法、離散コサイン変換とは?

視覚や聴覚といった人の感覚は、情報の変化に敏感で、情報の細かな違いを見分ける力を持っています。一方で、情報そのものの絶対的な大きさには鈍感です。例えば、明るい場所で小さな光の変化を見つけることは難しいですが、暗い場所では小さな光でもすぐに気が付きます。この性質を利用した技術が、離散コサイン変換です。 離散コサイン変換は、画像や音声、動画などのデジタルデータを、周波数成分と呼ばれる大小の波の重ね合わせとして表現する方法です。低い周波数は緩やかな変化、高い周波数は細かな変化に対応しています。そして、人間の感覚が鈍感な高い周波数成分をあえて省略することで、データ量を大幅に減らすことができます。 写真を例に考えてみましょう。写真の色の変化は、空のような緩やかな変化と、木の葉のような細かな変化が混ざり合っています。離散コサイン変換を使うと、これらの変化を周波数成分に分けることができます。そして、人間の目にはあまり影響がない高周波数成分、つまり細かな変化の情報の一部を捨て去ることで、データ量を小さくするのです。 このようにしてデータ量を小さくしても、残された低い周波数成分の情報から、元の画像のおおよその形や色を復元できます。そのため、見た目の印象は大きく変わらずに、データの容量だけを減らすことができるのです。まるで魔法のようにデータ量を操る離散コサイン変換は、現代のデジタル社会を支える重要な技術と言えるでしょう。