陰極線

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ハードウエア

陰極線管:懐かしいブラウン管の技術

かつて、一家に一台は必ずあったと言っても過言ではない、テレビやパソコンの画面。あの画面に映像を映し出していたのが陰極線管、略してCRTと呼ばれる装置です。CRTは電子を放出する装置と、その電子を受けて光る板、そしてそれらを収めるガラスの入れ物でできています。電子を放出する装置は電子銃と呼ばれ、ちょうど銃のように電子を勢いよく放ちます。この電子は目には見えない小さな粒で、電気の流れの元となるものです。電子銃から飛び出した電子は、電気の力や磁石の力で進む向きを細かく操られます。まるで絵筆のように、画面全体をくまなく動き回り、蛍光面と呼ばれる板にぶつかります。この蛍光面は特殊な塗料が塗られており、電子がぶつかると光を発する性質を持っています。電子が当たった場所だけが光ることで、画面に文字や絵が表示されるのです。画面全体を規則正しく、あっという間に何度も往復することで、まるで一枚の絵のように見せることができます。この仕組みは、ちょうど夜空に線香花火で絵を描くようなものです。線香花火の火花一つ一つが電子、描く軌跡が電子の流れ、そして夜空が蛍光面と言えるでしょう。さらに、電子銃から出る電子の量を調整することで、光の強さも変えることができます。電子の量が多ければ明るく、少なければ暗くなります。そして、蛍光面に塗る塗料の種類を変えることで、様々な色を表現することが可能です。色の三原色である赤、緑、青の光を出す塗料を並べることで、あらゆる色を表現し、鮮やかなカラー画像を作り出せるのです。このように、CRTは電子という小さな粒を操り、蛍光面というキャンバスに映像を描く、精巧な装置と言えるでしょう。