
データを守るECCの仕組み
近頃では、あらゆる情報が、写真や動画、文章、そして様々な計算機向けの指示といった形のない情報へと姿を変え、計算機の中に収められています。これらの形のない情報は、現代社会において大変貴重な財産と言えるでしょう。こうした大切な形のない情報が壊れてしまうと、二度と取り戻せない大きな損害につながる恐れがあります。そこで、形のない情報の信頼性を守るための技術が注目されています。その大切な技術の一つが、誤り訂正符号、略してECCと呼ばれるものです。
ECCとは、形のない情報にわざと余分な情報をつけることで、一部の情報が壊れたとしても、元の情報を復元できるようにする技術です。例えるなら、大切な書類をコピーして複数の場所に保管しておくようなものです。1つの場所に保管した書類が火事で燃えてしまっても、他の場所に保管したコピーがあれば、元の書類の内容を取り戻すことができます。ECCもこれと同じように、わざと余分な情報をつけることで、元の情報を守っています。
このECCは、様々な場面で使われています。例えば、携帯電話や計算機の中の記憶装置では、ECCによって情報の読み書きの信頼性を高めています。また、宇宙との交信など、雑音が多い環境でも、ECCによって確実に情報を送受信することができます。さらに、音楽や動画を記録した円盤にもECCが用いられており、傷がついても再生できるように工夫されています。
このように、ECCは、現代社会の様々な場所で活躍している、縁の下の力持ち的な存在と言えるでしょう。この技術のおかげで、私たちは安心して形のない情報を扱い、豊かな生活を送ることができるのです。本稿では、これからECCの仕組みや種類、活用事例などを、より詳しく説明していきます。