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打ち切り誤差:精度と計算コストのせめぎ合い

計算機は、一見するとどんな計算でも間違えずにこなす魔法の箱のように思えます。しかし、現実には計算機にも限界があるのです。魔法ではなく、電気仕掛けで動いている以上、使える資源には限りがあります。特に、数字を扱う際には、その限界が顕著に現れます。 例えば、円を描く時に使う円周率や、自然対数の底といった数学でよく使う数字は、無限に続く小数です。これを紙に書くときも、計算機で扱うときも、全てを書き表すことはできません。そこで、ある程度のところで切り捨てて、近似した値を使います。 計算機の中では、数字は0と1の組み合わせで表現されます。この組み合わせの数も有限なので、近似値を使う必要があるのです。この近似によって生じるわずかな誤差は、たいていの場合は問題になりません。しかし、複雑な計算を何度も繰り返すと、小さな誤差が積み重なって、最終的な結果に大きな影響を与えることがあります。 例えば、宇宙ロケットの軌道計算や、天気予報、経済予測など、高度な計算を必要とする分野では、この誤差の影響を無視することはできません。計算機の限界を理解し、誤差をなるべく小さくする方法や、誤差の影響を予測する方法を考え出すことは、計算機を使う上で非常に大切なことなのです。まるで、料理で使う調味料の分量を調整するように、計算でも誤差を調整する工夫が求められます。そうすることで、より正確で信頼できる結果を得ることができるのです。