
通信を支える縁の下の力持ち:ターミナルアダプター
機器と回線の橋渡し役、それが端末接続装置です。まるで異なる言葉を話す人同士に通訳が必要なように、通信機器と通信回線の間で信号のやり取りを仲介する重要な装置です。
私たちの身の回りにあるパソコンや電話、ファックスなどは、それぞれ独自の言葉、つまり信号のやり方で情報を送受信しています。一方、情報を運ぶ通信回線にも、光ファイバーや電話線など種類があり、それぞれが独自の信号のやり方を持っています。これらの機器と回線を直接繋いでも、お互いの言葉が理解できないため、通信はできません。
そこで活躍するのが端末接続装置です。これは、異なる言葉を通訳する役割を果たし、機器と回線の信号を相互に変換します。例えば、パソコンがデジタル信号でデータを送信する場合、端末接続装置はそれをアナログ信号に変換して電話回線に送ります。反対に、電話回線からアナログ信号でデータを受信すると、それをデジタル信号に変換してパソコンに送ります。このように、端末接続装置は機器と回線の言葉の違いを解消し、スムーズな通信を可能にしているのです。
一昔前、高速なデジタル通信回線である総合デジタル通信網(ISDN)が普及していました。パソコンや電話をISDN回線に接続するには、必ず端末接続装置が必要でした。現在では光ファイバーや無線通信などが主流となり、端末接続装置を意識することは少なくなりましたが、様々な機器と回線を繋ぐというその役割は、今もなお通信の根幹を支えています。まるで縁の下の力持ちのように、私たちの円滑な通信を陰で支えている、なくてはならない存在と言えるでしょう。