
EUC:多言語対応の文字コード
計算機の世界では、文字を数字で表す必要があります。文字一つ一つに特定の数字を割り当て、計算機はそれを処理することで文字を表示したり、保存したりしています。この文字と数字の対応表を文字符号と呼びます。様々な文字符号が存在しますが、その中で多言語対応を可能にした重要な体系の一つが拡張UNIX符号です。
拡張UNIX符号は、1985年にアメリカの電話会社、エー・ティー・アンド・ティー社が、日本語UNIX組織協議会の提案を受けて定めました。UNIXは当時、計算機で使われていた基本操作をするための手順の集まりでしたが、様々な国の言葉を扱うには、漢字のような複数の単位で表される文字に対応する必要がありました。そこで開発されたのが拡張UNIX符号です。この符号は、それまでの文字符号では難しかった様々な言語の文字を、計算機で扱うことを可能にしました。具体的には、基本的な英数字や記号は1単位、漢字などの多単位文字は2単位以上の数字で表すことで、多様な文字を表現できるようにしました。
拡張UNIX符号は、様々な言語に対応できる柔軟性を持っていました。それぞれの国や地域でよく使われる文字の種類に合わせて、使う数字の範囲を調整することができたのです。これにより、日本語だけでなく、中国語、韓国語など、多くの言語を一つの計算機システムで扱うことができるようになりました。
拡張UNIX符号の登場は、異なる言語を使う人々が同じ計算機上で情報のやり取りをできる道を開きました。これは、世界中の人々が繋がる、いわゆる国際化の時代を支える技術革新と言えるでしょう。異なる文化や言語を持つ人々が情報共有できる基盤を作り、国際的な協力や交流を促進する上で大きな役割を果たしました。