圧縮アルゴリズム

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保存・圧縮

JPEG: 写真を美しく、小さく

写真や絵を計算機で扱うためには、画像の情報を数値データに変換する必要があります。しかし、そのままではデータ量が膨大になり、保存や伝送に時間がかかってしまいます。そこで、画像のデータ量を減らす技術である圧縮方式が用いられます。数ある圧縮方式の中でも、「ジェイペグ」は写真に特化した方式として広く使われています。 ジェイペグが写真に向いている理由は、人の目の特性をうまく利用している点にあります。人は、色のわずかな違いよりも、明るさの変化に敏感です。例えば、空の色が微妙に変わったとしても、気づきにくいものです。一方、明るい太陽と暗い影の濃淡ははっきりと認識できます。ジェイペグはこの特性に着目し、色の情報を少しだけ間引くことでデータ量を減らしています。明るさの情報はそのまま残すので、人の目には画質が大きく下がったようには感じられません。 色の情報を間引くとは、具体的には次のような処理です。まず、画像を小さなブロックに分けます。そして、それぞれのブロックの中で、似た色の部分は同じ色として扱います。例えば、空の青色の濃淡を平均化して、一つの青色で表現するのです。このように、色の種類を減らすことでデータ量を大幅に削減できます。 ジェイペグによって、ファイルの大きさは元の10分の1から100分の1程度まで小さくなります。このおかげで、たくさんの写真を記憶装置に保存したり、通信網を通して速やかに画像を送ったりすることが可能になります。携帯電話や計算機などで写真を見るのが当たり前になった現代社会において、ジェイペグはなくてはならない技術と言えるでしょう。
保存・圧縮

ロスレス圧縮:データの劣化を防ぐ技術

「ロスレス圧縮」とは、元の情報を変えることなく、データの大きさを縮める技術のことです。まるで折り紙のように、紙の形は変わりますが、紙の内容は変わらないのと同じように、データの内容はそのままに、容量だけを小さくします。圧縮されたデータを元に戻すと、折り紙を広げるように、元のデータと全く同じ状態に戻ります。 この技術の最大の利点は、情報の劣化が全くないことです。写真や音楽などを圧縮すると、時には画質や音質が下がってしまうことがありますが、ロスレス圧縮ではそのような変化は一切ありません。そのため、データの正確さが求められる場面で特に重要となります。例えば、病院で使われるレントゲン写真や、建築物の設計図、重要な契約書など、データの欠落や変化が許されない場合は、ロスレス圧縮が欠かせません。 ロスレス圧縮は、様々な方法で実現されています。よく使われる例として、同じ文字が連続して出現する場合に、その文字と繰り返しの回数を記録する方法があります。例えば、「あああああ」という文字列は、「あ」と5回という情報に変換することで、データ量を減らすことができます。他にも、よく出現するデータのパターンを短い記号に置き換える方法など、様々な工夫が凝らされています。 ただし、ロスレス圧縮にも欠点があります。画質や音質を落とす圧縮方法に比べると、データの縮小率は低くなる傾向があります。これは、情報を完全に保持したまま圧縮するため、データ量を小さくする効果が限定的になるためです。容量を大幅に減らしたい場合は、多少の劣化を許容する別の圧縮方法を選択する必要があります。このように、ロスレス圧縮はデータの完全性を重視する場合に最適な技術と言えるでしょう。