動画圧縮

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動画圧縮の原点:MPEG-1

今では動画配信の場を使って、高画質の動画を手軽に楽しむことができます。少し前までは、貸出店へ行き、ビデオテープを借りて映画などを視聴するのが当たり前の光景でした。家庭用のビデオテープの画質は、決して高いとは言えず、現在の高画質映像とは比べ物になりません。ぼやけた映像やノイズに悩まされた方も多いのではないでしょうか。しかし、レンタルビデオの登場は、家庭で手軽に動画を楽しめるようになったという点で、革新的な出来事でした。 映画館に行かなくても、好きな時間に好きな映画を自宅で見ることができるようになったのです。この手軽さが、ビデオテープの人気を支えていました。その後、ビデオテープ並みの画質でありながら、CDに動画を記録できる技術が登場しました。これは動画の歴史における大きな転換点と言えるでしょう。比較的小さなCDに動画が記録できるようになったことで、動画の持ち運びや保存がより簡単になりました。そして、この革新的な技術こそが、今回紹介するMPEG-1なのです。 MPEG-1とは、動画と音声を圧縮して、データの大きさを小さくする技術です。動画や音声のデータはそのままでは非常に大きいため、記録媒体に保存するには、データの大きさを小さくする必要があります。MPEG-1はこの圧縮技術により、CDという比較的小さな記録媒体に、1時間程度の動画を保存することを可能にしました。これは当時としては画期的なことで、CDの普及を後押しする大きな要因の一つとなりました。MPEG-1は、その後の動画圧縮技術の基礎となる重要な技術であり、現在の高画質動画配信時代への礎を築いたと言えるでしょう。
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動画圧縮の技術 MPEG-4

動画圧縮とは、動画のデータ量を小さくする技術のことです。動画は、そのままでは膨大なデータ量になるため、通信回線を使って送ったり、機器に保存したりするには負担が大きすぎます。そこで、動画圧縮技術を使ってデータ量を減らすことで、円滑なやり取りや効率的な保存を可能にしています。 動画圧縮には、主に二つの種類があります。一つは「非可逆圧縮」と呼ばれるものです。非可逆圧縮は、画質を多少落とす代わりに、高い圧縮率を実現できます。つまり、データ量は大幅に減りますが、元の画質とは完全に同じではなくなります。もう一つは「可逆圧縮」です。可逆圧縮は、画質を全く落とさずに圧縮します。そのため、元の画質を完全に再現できますが、非可逆圧縮に比べると圧縮率は低くなります。どちらの方法を選ぶかは、求める画質とデータ量のバランスによって決まります。 動画圧縮技術は、様々な場面で活用されています。例えば、インターネットで動画を配信する際や、DVD、ブルーレイディスクなどに動画を記録する際にも使われています。近年、動画配信の利用者が増え、高画質動画への需要も高まっているため、動画圧縮技術の重要性はますます高まっています。より綺麗な映像を、より少ないデータ量で配信するために、常に新しい技術が開発されています。例えば、人工知能を用いた圧縮技術も研究されており、今後の更なる発展が期待されます。
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MPEG-2:動画と音声の圧縮方式

動画と音声の情報をぎゅっと小さくまとめる技術、エムペグツーについて説明します。正式には「動画と音声の符号化方式エムペグツー」と呼ばれ、その名の通り、動画と音声のデータを圧縮する技術です。この技術が登場するまでは、高画質の動画や高音質の音声を扱うには、膨大なデータ量が必要でした。そのため、限られた容量の記録媒体や、限られた帯域幅の電波では、高品質な動画や音声を扱うのは難しいことでした。 しかし、エムペグツーによって状況は大きく変わりました。エムペグツーは、人間の目や耳には感じにくい情報を削ったり、似た情報をまとめて表現したりすることで、データ量を大幅に減らすことができます。例えば、ほとんど変化のない背景の部分や、人間の耳には聞こえにくい高音域や低音域の音などは、データ量を減らす対象となります。このように、エムペグツーは人間の知覚特性をうまく利用することで、画質や音質を損なうことなく、データ量を圧縮することを実現しています。 エムペグツーは、様々な機器やサービスで利用されています。例えば、かつて広く普及した記録媒体であるデーヴィーディーでは、エムペグツーが標準の動画圧縮技術として採用されていました。また、電波を使って動画や音声を届ける地上デジタル放送でも、エムペグツーが活用されています。他にも、衛星放送やケーブルテレビなど、様々な場面でエムペグツーは活躍しています。エムペグツーは、私たちが日常的に高画質の動画や高音質の音声を楽しめるようになった背景には、このエムペグツーの技術が大きく貢献していると言えるでしょう。エムペグツーは、現代の映像、音声体験を支える重要な技術の一つです。
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動画圧縮のMPEGを詳しく解説

動画や音声を小さくまとめる技術のことを、エムペグと呼びます。正式には、「動く絵の専門家集団」という意味を持つ「Moving Picture Experts Group」と言い、その頭文字を取ってエムペグとなっています。この技術を生み出したのは、世界規模で規格を定める国際標準化機構と国際電気標準会議が共同で作った組織です。 エムペグは、動画や音声を扱う場面で欠かせない技術となっています。例えば、動画を保存したり、インターネットで動画を配信したり、動画を探す時にも、この技術が役立っています。私たちが普段見ている動画の多くは、エムペグによって小さく圧縮されているおかげで、手軽に見ることが出来るのです。 エムペグの技術は、様々な機器やサービスで使われています。例えば、映画などを楽しむためのデービーデーや、より綺麗な映像を見られるブルーレイディスク、テレビ放送やインターネットで動画を配信するサービスなど、幅広い分野でエムペグは活躍しています。 エムペグには、「エムペグいち」「エムペグに」「エムペグよん」「エムペグなな」など、様々な種類があります。面白いことに、「エムペグさん」「エムペグご」「エムペグろく」といった番号は使われていません。これは、技術の進歩や、市場の需要の変化など、様々な理由が重なった結果です。 このように、エムペグは動画や音声の圧縮技術において、とても重要な役割を担っています。私たちが手軽に動画を楽しめるのは、エムペグのおかげと言えるでしょう。
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動画圧縮の定番 H.264/MPEG-4 AVC

動画を小さく軽くするための技術的な方法、つまり動画圧縮のやり方の1つに「エイチ点ニーロクヨン」と呼ばれるものがあります。正式には「エムペグフォー パートテン アドバンスト ビデオ コーディング」という長い名前がついていますが、一般的には「エイチ点ニーロクヨン」または「エムペグフォー エーヴィーシー」と呼ばれています。 この技術は、画質を落とさずに動画のファイルサイズを小さくすることが得意です。そのため、インターネットで動画を見る時や、ブルーレイディスク、地上デジタル放送など、様々な場面で使われています。 以前よく使われていた「エムペグツー」という動画圧縮の方法と比べると、同じくらいの画質でファイルの大きさを半分くらいにできるので、記憶装置の容量を節約したり、通信にかかる負担を減らしたりするのに役立っています。 この「エイチ点ニーロクヨン」は、世界の電気通信のルール作りをしている「国際電気通信連合 電気通信標準化部門」と、動画の専門家集団である「動画像専門家グループ」が一緒に作ったので、信頼性が高く、世界中で広く使われています。 動画を圧縮する技術は、常に新しいものが開発されていますが、「エイチ点ニーロクヨン」は長い間、中心的な技術として活躍し、動画の世界を大きく発展させてきました。今でも多くの機器やサービスで使われていて、その影響はとても大きいものです。 高画質とファイルサイズの小ささを両立させた「エイチ点ニーロクヨン」は、まさに動画圧縮技術の代表格と言えるでしょう。この技術のおかげで、私たちは手軽に高画質の動画を楽しめるようになっているのです。
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動画圧縮の賢者、H.264

動画を小さく軽くする技術、「エイチ ドット 二六四」についてお話します。まるで魔法のように、動画の大きさを縮めることができます。しかも、画質はそのまま。まるで熟練した職人が丹念に不要な部分だけを削り落としていくような、そんな緻密な技術なのです。 この技術のおかげで、高画質の映画を場所を取らずに保存したり、携帯電話で手軽に動画を見たりできるようになりました。以前は大きなファイルサイズがネックで、高画質の動画を持ち運ぶのは大変でした。しかし、「エイチ ドット 二六四」によってそれが可能になったのです。まさに動画の世界に革命を起こした、画期的な技術と言えるでしょう。 この技術がどのように動画を小さくしているのかというと、動画の中で変化が少ない部分を巧みに利用しています。例えば、空の景色や静止している背景などは、フレームごとに大きな変化はありません。このような変化の少ない部分をまとめて記録することで、データ量を大幅に削減できるのです。また、変化の激しい部分も、どのように変化したかという情報だけを記録することで、効率的に圧縮しています。 このように、「エイチ ドット 二六四」は、様々な工夫を凝らして動画のサイズを小さくしています。高画質を維持しながらサイズを縮小できるため、映画やテレビ番組の配信、ビデオ会議、携帯電話での動画視聴など、幅広い場面で活躍しています。まさに、現代社会に欠かせない、万能な動画圧縮方式と言えるでしょう。
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データ圧縮の基礎: 不可逆圧縮とは

近ごろの情報化社会では、情報のやり取りが活発になり、動画や音楽、写真など、様々なデータが飛び交っています。これらのデータはどれも容量が大きく、そのままでは保存する場所がたくさん必要になったり、送受信に時間がかかったりしてしまいます。そこで重要となるのが、データの容量を小さくする圧縮技術です。圧縮技術には、大きく分けて元に戻せる圧縮方式と元に戻せない圧縮方式の二種類があります。この記事では、元に戻せない圧縮方式について詳しく説明します。元に戻せない圧縮方式は、データの一部を削除することで容量を小さくする仕組みです。例えば、人の目にはわからないような細かい色の違いや、聞こえにくい高い音などを削ってしまうことで、データのサイズを大幅に減らすことができます。この方式を使うと、元に戻せる圧縮方式よりも更に容量を小さくできるという大きな利点があります。しかし、一度削ってしまった情報は二度と戻ってこないため、画質や音質が少し劣化してしまう場合もあります。劣化の程度は圧縮率によって異なり、強く圧縮するほど画質や音質は下がりますが、容量は小さくなります。そのため、用途に合わせて適切な圧縮率を選ぶことが大切です。例えば、インターネットで動画を見る場合は、多少画質が落ちても読み込み速度が速い方が良いでしょう。しかし、大切な写真を保存する場合は、高画質を保つために、元に戻せる圧縮方式や、元に戻せない圧縮方式でも圧縮率を低く設定する方が良いでしょう。このように、元に戻せない圧縮方式は、容量を小さくする効果が高い反面、データの一部が失われてしまうという特徴を持っています。この特徴を理解した上で、状況に応じて使い分けることが大切です。
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画像と音声の圧縮技術:DCT入門

情報の変換方法を説明します。情報をそのまま記録すると多くの記憶場所が必要ですが、変換することで必要な記憶場所を減らすことができます。この変換は、例えば写真や音声といった情報に利用されます。 離散余弦変換(略称DCT)という方法で情報を周波数という波の成分に分解します。人間の目や耳には、高い周波数の成分はあまり聞き取ったり、見分けたりすることができません。高い周波数の成分は、写真の細かい部分や音のノイズに関係しています。重要なのは低い周波数の成分で、写真の全体の明るさや音の高さといった主要な情報を表しています。DCTでは、高い周波数の成分を省略することで記憶場所を減らしているのです。 具体的な方法としては、まず情報を小さな区画に分けます。次に、それぞれの区画に対してDCTを適用します。変換後の情報は、低い周波数から高い周波数の順に並べ替えられます。不要な高い周波数の情報は削除されます。このように、人間の目や耳の特徴に合わせて、重要な情報だけを残すことで、効率よく記憶場所を減らすことができます。 変換後の情報は、「量子化」という処理でさらに記憶場所を減らします。そして、最終的にファイルの大きさが小さくなります。元の情報に戻すためには、逆DCTという処理を行います。しかし、減らした情報があるので完全に元と同じには戻りません。情報の減少は、記憶場所の削減量と写真や音の質のバランスで調整されます。
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YUV:色の表現方法

私たちの周りは、鮮やかな色彩で溢れています。携帯電話で撮った写真や動画、テレビで流れる番組、パソコン画面に映し出される画像など、どれも何らかの方法で色を表現することで、私たちはそれを認識することができます。色の表現方法は実に様々ですが、今回は「YUV」と呼ばれる色の表現方法について詳しく説明します。 YUVは、人間の目の仕組みをうまく利用した、効率的な色の表現方法です。人間の目は、明るさの変化には敏感ですが、色の変化にはそれほど敏感ではありません。YUVはこの特性を利用し、明るさを表す情報と色の情報を分けて扱うことで、データ量を圧縮しつつ、人間の目には自然に見えるように工夫されています。具体的には、Yは明るさを表す輝度信号、UとVは色を表す色差信号です。輝度信号Yは、白黒画像を作る際に使われる信号と同じものです。色差信号UとVは、基準となる明るさからの色のずれを表しています。 このように、YUVでは明るさと色を分けて扱うため、人間の視覚特性に合わせた効率的なデータ圧縮が可能になります。例えば、動画を配信する場合、データ量が大きすぎると通信回線に負担がかかり、映像が途切れたり、画質が落ちたりすることがあります。YUVを用いることで、データ量を抑えつつ、高画質の映像を配信することができるのです。また、YUVは様々な機器やシステムとの互換性が高いため、多くの場面で活用されています。 YUVは、色の表現方法として、人間の目の特性をうまく利用することで、データの効率的な保存と伝送を実現していると言えるでしょう。私たちの身の回りにある様々な映像機器やサービスの裏側で、YUVは重要な役割を果たしているのです。
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動画形式WMVの基礎知識

動画を記録したファイルは、そのままでは容量が大きくなり、パソコンや記録装置の負担が大きくなってしまいます。この問題を解決するために、動画を小さくするための技術が「動画圧縮方式」です。数多くの動画圧縮方式がある中で、「ダブリューエムブイ」もその一つです。これは、有名な会社であるマイクロソフト社が作った動画圧縮方式です。「ダブリューエムブイ」は「ウィンドウズメディアビデオ」のそれぞれの単語の最初の文字を取ったものです。その名前の通り、マイクロソフト社製の動画再生ソフトである「ウィンドウズメディアプレーヤー」で再生できるように作られています。ファイルの種類を表す拡張子は「.wmv」です。 マイクロソフト社が作った基本ソフトであるウィンドウズは、世界中で多くの人が利用しています。ウィンドウズのパソコンには、「ウィンドウズメディアプレーヤー」が標準で入っていることが多いです。そのため、「ダブリューエムブイ」形式の動画ファイルはウィンドウズのパソコンで再生される機会が多く、広く利用されています。「ダブリューエムブイ」は、動画ファイルの容量を小さくするだけでなく、画質もある程度保つように工夫されています。また、動画の中に音声データを含めることもできます。動画に合わせて音楽や効果音、解説を入れることができるので、より豊かな表現が可能です。インターネットで動画を公開する場合、ファイルの容量が小さい方が早く読み込むことができます。「ダブリューエムブイ」は容量を小さくできるので、インターネットで動画を共有したり配信したりする際にも役立ちます。 しかし、「ダブリューエムブイ」にも弱点があります。ウィンドウズ以外の基本ソフト、例えばマックやスマホでは再生できないことがあります。そのため、異なる環境で動画を共有する場合には注意が必要です。場合によっては、他の動画圧縮方式に変換する必要があるでしょう。近年は様々な動画圧縮方式が登場しており、より高画質で容量も小さいものも開発されています。それぞれの動画圧縮方式には得意な点、不得意な点があるので、状況に応じて使い分けることが重要です。
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画像と音の魔法、離散コサイン変換とは?

視覚や聴覚といった人の感覚は、情報の変化に敏感で、情報の細かな違いを見分ける力を持っています。一方で、情報そのものの絶対的な大きさには鈍感です。例えば、明るい場所で小さな光の変化を見つけることは難しいですが、暗い場所では小さな光でもすぐに気が付きます。この性質を利用した技術が、離散コサイン変換です。 離散コサイン変換は、画像や音声、動画などのデジタルデータを、周波数成分と呼ばれる大小の波の重ね合わせとして表現する方法です。低い周波数は緩やかな変化、高い周波数は細かな変化に対応しています。そして、人間の感覚が鈍感な高い周波数成分をあえて省略することで、データ量を大幅に減らすことができます。 写真を例に考えてみましょう。写真の色の変化は、空のような緩やかな変化と、木の葉のような細かな変化が混ざり合っています。離散コサイン変換を使うと、これらの変化を周波数成分に分けることができます。そして、人間の目にはあまり影響がない高周波数成分、つまり細かな変化の情報の一部を捨て去ることで、データ量を小さくするのです。 このようにしてデータ量を小さくしても、残された低い周波数成分の情報から、元の画像のおおよその形や色を復元できます。そのため、見た目の印象は大きく変わらずに、データの容量だけを減らすことができるのです。まるで魔法のようにデータ量を操る離散コサイン変換は、現代のデジタル社会を支える重要な技術と言えるでしょう。