信号分離

電話線一本で、電話もインターネットも同時に使えるようにする、それが分波器の役割です。電線を走る電気信号は、様々な高さの音色、すなわち周波数を持った信号が混ざり合った状態です。分波器は、この混ざり合った信号の中から、電話とインターネットで使う周波数の異なる信号を、まるで交通整理の達人のように、それぞれ振り分けて、電話とインターネットの機器に正しく送ります。 一本の電話線で送ることができる信号の量は限られています。これを道路の幅に例えると、電話とインターネットの信号を一緒に送ろうとすると、まるで狭い道路に多くの車が押し寄せ、渋滞してしまうように、互いに邪魔をしてしまいます。そこで、分波器はこの道路を、電話用の低い周波数の車線と、インターネット用の高い周波数の車線に分割することで、それぞれの信号がスムーズに流れるようにしています。 家庭でインターネットを使う場合、たいてい電話線の近くに置かれた機器と電話機との間に、小さな箱のようなものが接続されているはずです。これが分波器です。電話線から来た信号を、この小さな箱の中で、電話用の信号とインターネット用の信号に分け、それぞれの機器に送ることで、私たちは電話をかけながら同時にインターネットを楽しむことができるのです。 一見すると、ただの小さな箱で、その存在に気付かない人もいるかもしれません。しかし、この小さな分波器があるおかげで、私たちは快適に電話とインターネットを利用できているのです。まさに縁の下の力持ちと言えるでしょう。