
複数処理の利点と課題:並列処理で高速化
複数処理とは、複数の演算装置を使って複数の作業を同時に行うことです。料理に例えると、一つのコンロで順番に料理を作るのではなく、複数のコンロを使って同時に複数の料理を作るようなものです。これにより、全体の調理時間が大幅に短縮されます。
一つの演算装置を使う場合、作業は順番に一つずつ行われます。例えば、文章を書きながら音楽を聴く場合、演算装置は文章作成と音楽再生を交互に、ごく短い時間で切り替えながら行います。しかし、切り替えの速度が非常に速いため、私たちは複数の作業を同時に行っているように感じます。これが、以前から広く使われている擬似的な複数処理です。
真の複数処理では、複数の演算装置がそれぞれの作業を同時に行います。例えば、二つの演算装置がある場合、一つは文章作成を、もう一つは音楽再生を行います。これにより、作業の切り替えにかかる時間がなくなり、より効率的に作業を進めることができます。
私たちの身近にある機器、例えば持ち運びできる情報端末や卓上計算機などでも、複数処理は広く使われています。動画を見ながら電子郵便を作成したり、複数の応用処理を同時に開いたりできるのも、複数処理のおかげです。また、大きな計算処理が必要な科学技術計算や気象予測など、幅広い分野で活用され、現代の情報処理技術には欠かせないものとなっています。複数処理は処理速度を向上させるだけでなく、機器全体の性能向上にも貢献しています。