
高速化の鍵、並列処理とは?
計算機は、本来、指示された作業を一つずつ順番に行います。しかし、複数の作業を同時に進める方法があり、これを並列処理と言います。並列処理とは、大きな作業を小さな作業に分割し、それらを複数の処理装置で同時に実行することで、全体の処理時間を短縮する技術です。
例えるなら、一つの大きな部屋を掃除する場合を考えてみましょう。一人で掃除機をかけ、拭き掃除をし、家具の埃を払うと、多くの時間がかかります。しかし、三人で役割分担し、それぞれが同時に掃除機、拭き掃除、埃払いを担当すれば、作業全体を早く終えることができます。これが並列処理の考え方です。
計算機の世界では、複数の処理装置がそれぞれの作業を担当します。これにより、複雑な計算や大量のデータ処理を高速に行うことが可能になります。例えば、天気予報の計算では、膨大な量の気象データを使って複雑な計算を行う必要があります。並列処理を用いることで、これらの計算を複数の計算機で分担して行い、予報にかかる時間を大幅に短縮できます。
並列処理は、現代の情報処理において不可欠な技術となっており、様々な分野で活用されています。動画の編集や画像処理、人工知能の学習など、処理に時間のかかる作業を高速化するために、並列処理は重要な役割を果たしています。今後、計算機の性能が向上していくにつれて、並列処理の重要性はさらに高まっていくと考えられます。