
仮想記憶:記憶容量の拡張
計算機は、作業をするための場所として、主記憶装置というものを使います。これは、よく机の広さに例えられます。机が広ければ広いほど、たくさんの書類を広げて作業できますが、机が狭いと、作業できる書類の量も限られてしまいます。仮想記憶は、この机の広さを仮想的に広げる技術です。
実際の机は小さいままですが、使っていない書類を一時的に別の場所に保管することで、机の上を広く使えるようにします。この別の場所にあたるのが、補助記憶装置です。補助記憶装置は、机の引き出しのようなもので、主記憶装置よりも容量は大きいですが、書類を取り出す速度は遅くなります。
計算機が作業をする際には、必要な書類を机の上、つまり主記憶装置に置いておきます。そして、一時的に使わない書類は、引き出し、つまり補助記憶装置にしまっておきます。そして、再びその書類が必要になった時には、引き出しから取り出して机の上に置きます。
この書類の出し入れは、計算機が自動的に行います。利用者は、机の広さを意識することなく、たくさんの書類を扱うことができます。まるで、実際よりも大きな机を使っているかのように感じられます。これが、仮想記憶の仕組みです。
仮想記憶のおかげで、計算機は大きなプログラムを動かすことができますし、複数のプログラムを同時に動かすこともできます。もし仮想記憶がなかったら、計算機は今のようにたくさんの仕事をこなすことはできなかったでしょう。仮想記憶は、現代の計算機には欠かせない、重要な技術なのです。