ドットフォント

記事数:(1)

画像

ビットマップフォント:点描で描く文字の世界

画面に映る文字は、どのように作られているのでしょうか。今は、どんな大きさにしても滑らかに見える文字が主流ですが、昔ながらの点で表現する文字も、まだ使われています。点で文字を描く方法は、まるで方眼紙に塗り絵をするように、一つ一つの点を並べて文字の形を作ります。この方法を「点絵文字」と呼びます。点絵文字は、初期の計算機や印刷機でよく使われていました。なぜなら、当時の計算機は性能が低く、記憶できる情報量も少なかったため、簡単な方法で文字を表示する必要があったからです。 点絵文字を作るには、まず文字の形を決めます。次に、その形を方眼紙のように細かい升目に区切り、文字のある部分を黒く塗りつぶし、ない部分を白く残します。この白と黒の点の集まりが、文字の形を表す情報になります。計算機はこの情報を記憶しておき、必要な時に画面や紙に表示します。点絵文字は、文字の大きさを変えると、点が粗くなってしまう欠点があります。例えば、小さな文字を大きく表示しようとすると、一つ一つの点が大きくなり、文字がギザギザに見えてしまいます。これは、点絵文字が点の集まりでできているため、拡大すると点と点の間の隙間が目立ってしまうからです。 一方、今の主流である滑らかに見える文字は「輪郭文字」と呼ばれます。輪郭文字は、文字の形を線で表現します。この線は、計算式を使って描かれるため、どんな大きさにしても滑らかに表示できます。例えば、文字を大きくする場合、計算機は輪郭の線を再計算し、滑らかな曲線を保ったまま文字を拡大します。そのため、輪郭文字は点絵文字のようにギザギザになることはありません。このように、輪郭文字は点絵文字の欠点を克服し、より美しい文字表示を可能にしました。しかし、点絵文字は構造が単純で扱いやすいという利点があるため、今でも特定の用途で使われています。例えば、限られた表示能力しかない機器や、独特の雰囲気を出したい場合など、点絵文字は今でも活躍しています。