ダビング10

記事数:(2)

規格

ダビング10:録画をもっと自由に

皆さんは、好きな芸能人の出ている番組や、話題のドラマを見逃したくないですよね。録画予約をしておけば、仕事や用事でリアルタイムに見られない場合でも、後でゆっくりと楽しむことができます。しかし、録画した番組を、例えば家族が別の部屋のテレビで見たい場合や、持ち運びできる機器に入れて外出先で見たい場合など、録画した機器以外で視聴したいということもあるでしょう。ただ、録画した番組を他の機器に移動したり、複製を作ったりする際には、著作権という考え方が関わってきます。番組制作者や出演者の権利を守るため、勝手にコピーされ放題では困りますよね。そこで登場したのが「ダビング10」という仕組みです。 この「ダビング10」は、デジタル方式で録画した番組を、コピーを10回まで許可する仕組みです。10回までと言っても、全く同じコピーを10枚も作れるわけではありません。正確にはコピーを9回まで、そして移動を1回まで行うことができます。つまり、元の録画を別の機器に移動すると、元の機器では見られなくなってしまいます。これを「ムーブ」と呼びます。コピー9回とムーブ1回の合計が10回なので「ダビング10」と呼ばれています。この仕組みのおかげで、録画した番組を家庭内でより柔軟に楽しむことができるようになりました。例えば、リビングの録画機で録画した番組を寝室のテレビに移動して見たり、持ち運びできる機器にコピーして通勤電車の中で楽しむことも可能です。ただし、コピー回数には限りがあるので、注意が必要です。むやみにコピーを繰り返すと、後で必要な時にコピーできなくなってしまうかもしれません。また、ダビング10はコピーガード信号が付加されていない番組はコピー回数が無制限です。ダビング10は、著作権を保護しつつ、録画番組を便利に利用するための、大切な仕組みと言えるでしょう。
規格

コピーワンス:デジタル放送の著作権保護

近頃では、テレビ放送が高画質化し、家庭でも美しい映像を楽しめるようになりました。しかし、高画質化は複製を容易にする側面もあり、違法に複製物を配布するといった著作権侵害行為の増加につながる懸念も生じています。そこで、著作権を守るために考え出されたのが「コピーワンス」という技術です。 コピーワンスとは、デジタル放送の番組を録画する際に、最初の録画は可能にするものの、その録画物を再び複製することを制限する仕組みです。たとえば、録画した番組を別の録画機器にダビングしたり、空のディスクに複製したりすることができなくなります。この技術は、海賊版の蔓延を防ぎ、著作権者の権利を守る上で大きな役割を果たしてきました。 コピーワンスは、録画機器とディスクのやり取りの中で機能します。録画機器は、ディスクに録画する際に特殊な信号を書き込みます。そして、複製しようとする際には、この信号を読み取り、複製を許可するかしないかを判断します。信号が「コピー不可」を示していれば、複製はできません。このようにして、一度録画した番組の無制限な複製を防いでいます。 しかし、コピーワンスは利便性を損なう側面もありました。例えば、録画した番組を別の部屋のテレビで見たい場合や、古い録画機器から新しい機器に番組を移したい場合など、正当な理由で複製したい場合でも、コピーワンスによって制限されてしまうケースがありました。そのため、利用者からは不便だという声も上がっていました。 そこで、近年ではコピーワンスに代わる新しい技術が登場しています。それは、「ダビングテン」などと呼ばれる技術です。この技術は、コピーワンスのように複製を完全に禁止するのではなく、一定回数(例えば10回)までの複製を許可するものです。これにより、正当な理由での複製は可能になりつつ、海賊版の流通は抑制できるようになりました。技術の進歩とともに、著作権保護と利用者の利便性の両立が図られています。