
プログラムの実行単位:プロセス
計算機を動かすには、手順書が必要です。この手順書は、計算機に特定の仕事をさせるための指図の集まりです。しかし、手順書は、そのままでは計算機で実行できません。手順書を実行するためには、計算機上で適切に管理される必要があります。その管理の単位となるのが「過程」です。
過程は、手順書の実行単位であり、計算機の資源を適切に利用するために重要な役割を担っています。計算機の資源とは、計算機の部品である演算装置や記憶装置、そしてそれらをつなぐ経路といった、計算機が仕事をするために必要なものすべてを指します。これらの資源は限られていますから、複数の仕事を同時に行うには、資源をうまく分け与える必要があります。過程は、この資源分配の単位となるわけです。
一つの手順書から複数の過程が作られることもあります。例えば、表計算の手順書を使って、複数の表を同時に編集したいとします。この場合、表ごとに一つの過程が作られ、それぞれの過程が資源を割り当てられて、同時に作業が進められます。また、同じ手順書を複数の人が同時に使う場合も、利用者ごとに異なる過程が作られます。
過程は、計算機内部で様々な情報を持ちながら管理されています。これには、手順書がどこにあるかという情報や、現在どの指図を実行しているかといった情報が含まれます。さらに、計算機が過程に割り当てた資源の情報も記録されています。これらの情報は、計算機が複数の仕事を効率よく、かつ安全に処理するために不可欠です。
このように、過程は、手順書を実行するための環境を提供し、計算機の資源を適切に管理することで、私たちが複数の仕事を同時に行うことを可能にしています。この記事では、過程のより詳しい仕組みや役割について、さらに詳しく説明していきます。