
印刷の待ち行列:スプーラーの役割
書類や絵を計算機で印刷するとき、私たちはそれがすぐに終わることを当然と思っています。しかし、印刷は計算機の中で行われる複雑な処理の一つで、多くの場合、他の処理と同時に行われています。この同時処理を可能にし、印刷を滞りなく進める重要な役割を担うのが「印刷待ち行列処理」です。印刷待ち行列処理とは、印刷の指示を一時的に保存し、印刷機が使えるようになった時に順番に印刷を実行する仕組みです。
例えるなら、料理店で順番待ちのお客さんを管理する係りのようなものです。印刷待ち行列処理は複数の印刷要求を整理し、印刷機への指示を効率的に行います。これにより、私たちは印刷が終わるのを待つことなく、他の作業を続けることができます。例えば、長い報告書を印刷している間に、別の資料を作成したり、電子郵便を確認したりすることが可能です。印刷待ち行列処理がなければ、印刷が終わるまで計算機を他の作業に使えず、作業効率が大幅に落ちてしまうでしょう。
印刷待ち行列処理は、印刷の指示を受け取ると、それを「印刷ジョブ」として一時記憶装置に保存します。このジョブには、印刷する書類の内容、用紙の種類、部数など、印刷に必要な情報がすべて含まれています。そして、印刷機が他のジョブの処理を終えて空くと、待ち行列処理は順番にジョブを取り出し、印刷機に指示を送ります。もし、印刷機が故障していたり、紙詰まりを起こしていたりする場合、待ち行列処理は印刷ジョブを保留し、問題が解決するまで待ちます。このように、印刷待ち行列処理は印刷ジョブの管理と実行を一手に行い、計算機の処理能力を最大限に活用することを可能にしています。一見目立たない機能ですが、私たちの計算機利用を支える重要な役割を担っていると言えるでしょう。