
音楽CDの秘密:CD-DA規格
音を楽しむ方法は、時代とともに変化してきました。より鮮明に、もっと手軽に音楽を聴きたいという人々の願いが、技術の進歩を促してきたのです。かつて主流だったレコードに代わり、より鮮明な音を実現する新たな記録媒体として登場したのが、コンパクトディスク(CD)です。CDが世に出たのは1980年代の初め頃のことです。
このCDの中核をなす技術が、CD-DA規格です。これは「コンパクトディスクデジタル音声」の略称で、音楽CDの土台となる技術仕様です。この画期的な規格は、1970年代に日本の電機メーカーであるソニーと、オランダの電機メーカーであるフィリップスという、世界に名だたる二つの企業が共同で開発しました。両社は長年にわたり研究開発に力を注ぎ、高音質の音声をデジタル形式で記録し、再生できる革新的な技術を生み出したのです。このCD-DA規格は、それまでのアナログ方式のレコードとは異なり、音をデジタルデータに変換して記録するため、原音に近い高品質な音声を再現することが可能となりました。また、CDはレコードに比べて小型で軽く、持ち運びにも便利でした。さらに、CDプレーヤーはレコードプレーヤーよりも操作が簡単で、誰でも手軽に音楽を楽しむことができるようになりました。
ソニーとフィリップスによるCD-DA規格の共同開発は、その後のデジタル音声時代の幕開けを告げる重要な出来事となりました。この技術は、後のMDやデジタル音声放送など、様々なデジタル音声技術の礎となり、音楽の楽しみ方を大きく変えたのです。CDの登場は、単に音楽を聴く手段が変わっただけでなく、音楽産業全体に大きな影響を与え、新しい時代を切り開いたと言えるでしょう。