
画像の輝き調整:ガンマ補正とは
私たちが普段見ている写真は、撮影したままの状態で表示されているわけではありません。カメラは光の量をそのまま記録しますが、私たちの目は光の量をそのまま感じているわけではありません。
人間の目は、暗い部分の変化には敏感で、わずかな明るさの変化も見分けることができます。例えば、暗い部屋でろうそくの火が灯ると、その明るさの変化をはっきりと感じ取ることができます。一方、明るい部分の変化には鈍感で、大きな明るさの変化でなければ、その違いに気付きにくいです。晴れた日の屋外でさらに明るい照明を点けても、明るさの変化はあまり感じられないでしょう。
この目の性質に合わせて画像を表示しないと、暗い部分は細部が分からず真っ黒につぶれてしまい、明るい部分は明るすぎて色が飛んで白っぽくなってしまいます。そこで、画像の明るさを調整する「階調補正」という技術が必要になります。その階調補正技術の一つが「ガンマ補正」です。
ガンマ補正は、画像の明るさの値を、ある特定の数値を累乗することで調整します。この数値を「ガンマ値」と呼びます。ガンマ値を調整することで、暗い部分の明るさを上げて細部が見えるようにし、明るい部分の明るさを抑えて白飛びを防ぎます。
ガンマ補正は、画面表示を行う機器(例えば、液晶画面やブラウン管)だけでなく、画像を印刷する機器(例えば、印刷機)、画像を読み込む機器(例えば、スキャナー)など、様々な機器で使われています。それぞれの機器に合わせて適切なガンマ値を設定することで、より自然で鮮やかに見える画像を作り出し、私たちが見ている世界をより忠実に再現することが可能になります。