オブジェクト指向

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ソフトウェア

部品を組み立てるように作る、オブジェクト指向とは

物の見方、考え方を変えることで、複雑な仕組みを作る方法を学びます。これまで、計算機に仕事をさせるには、手順を順々に細かく書き出す必要がありました。例えば、ご飯を炊く手順を説明するように、米を研ぎ、水を入れ、スイッチを押す、といった具合です。しかし、この方法だと、手順が複雑になるにつれて、全体を把握するのが難しくなります。そこで登場するのが、物の見方を変える方法、つまり「もの中心の考え方」です。 もの中心の考え方では、まず、何が必要かを考えます。ご飯を炊く例で言えば、炊飯器が必要です。炊飯器には、米を研ぐ、水を入れ、加熱する、蒸らすといった機能が備わっています。私たちは、炊飯器の内部の仕組みを知らなくても、ボタンを押すだけでご飯を炊くことができます。このように、機能をまとめたものを「もの」として捉え、その「もの」同士を組み合わせることで、複雑な作業を単純化できます。 計算機の仕組み作りにも、この考え方を取り入れることができます。それぞれの「もの」には、データと、そのデータを扱う手順が備わっています。例えば、画面に文字を表示する「もの」、計算を行う「もの」、データを保存する「もの」などです。これらの「もの」は、互いに情報をやり取りしながら、連携して動作します。 もの中心の考え方を使う利点は、大きく分けて二つあります。一つ目は、仕組み全体の把握が容易になることです。それぞれの「もの」の役割が明確になるため、全体像が見えやすくなります。二つ目は、変更や修正が容易になることです。ある「もの」に変更を加えても、他の「もの」に影響を与える可能性が低いため、修正作業が楽になります。 このように、もの中心の考え方は、複雑な仕組みを理解しやすく、扱いやすくする効果的な方法です。おもちゃのブロックを組み合わせて、様々な形を作るように、計算機の仕組みも、「もの」を組み合わせて、多様な機能を実現できます。
開発

C++入門:進化したプログラミング言語

シー・プラス・プラスとは、シー言語を土台にして作られた、様々な用途に使えるプログラミング言語です。シー言語の持つ、コンピュータ資源を効率的に使うという特徴や、手続き型のプログラミング手法に加えて、部品のようにプログラムを組み立てるオブジェクト指向プログラミングの考え方を取り入れています。これらの特徴を組み合わせることで、規模が大きく複雑なソフトウェア開発にも対応できる柔軟性と強力さを実現しています。 シー・プラス・プラスは、その高い性能と多様な機能から、様々な分野で活用されています。例えば、パソコンや携帯電話の基本となるソフトウェア(オペレーティングシステム)や、処理速度が求められるゲーム開発、家電製品などに組み込まれる小さなプログラム(組み込みシステム)、科学技術計算などの高度な計算処理(高性能計算)など、多岐にわたります。 さらに、シー・プラス・プラスは標準化されているため、様々な種類のコンピュータで動くプログラムを作ることができます。これは、開発者がパソコンでも携帯電話でも同じプログラムの設計図を使えることを意味し、開発にかかる時間と手間を大幅に削減することに繋がります。 加えて、シー・プラス・プラスは活発な利用者集団によって支えられています。そのため、プログラム開発を助ける様々な部品(ライブラリ)や道具(ツール)が豊富に揃っています。これらの資源を活用することで、開発者はより効率的に質の高いソフトウェアを作ることができるのです。つまり、シー・プラス・プラスは、性能、柔軟性、開発効率の良さを兼ね備えた、現代のソフトウェア開発にとって重要なプログラミング言語と言えるでしょう。
ソフトウェア

パッケージ:3つの意味

電子部品はとても壊れやすいものです。湿気や衝撃、静電気といった外部からの刺激によって、その機能を失ってしまう恐れがあります。そのため、これらの繊細な部品を保護するために、部品を覆う「パッケージ」と呼ばれる外枠が重要な役割を担っています。 パッケージは、樹脂やセラミック、金属など、様々な材料で作られています。これらの材料は、外部環境から部品を守る盾となります。湿気から守るための防湿性、衝撃から守るための耐衝撃性、静電気による損傷を防ぐための帯電防止性など、それぞれの部品に合わせた最適な材料が選ばれます。パッケージは、単に部品を包む箱ではなく、部品の性能を最大限に引き出すための重要な要素なのです。 パッケージには、部品と外部をつなぐ電極の形状や配置も含まれます。電極は、電子部品にとって心臓部とも言える重要な部分です。電極の配置や形状が適切でなければ、部品は本来の性能を発揮できません。パッケージは、電極を最適な位置に配置し、理想的な形状を保つことで、電子部品が持つ能力を最大限に引き出す手助けをしています。 近年、電子機器はますます小型化、高性能化しています。それに伴い、電子部品も小さく、複雑になってきています。小さな部品を保護し、複雑な回路を正しく機能させるためには、より高度なパッケージ技術が必要となります。より小さく、より高性能なパッケージを作るために、様々な新しい技術が開発され、日々進化を続けています。電子機器の進化を支える陰には、このように、小さな部品を守るための高度な技術が隠されているのです。
開発

オブジェクト指向:ITの設計思想

ものごとの全体を把握することは、複雑な仕組みを理解する第一歩です。特に、現代の多くの情報処理の仕組み作りでは「もの」を中心にした考え方、すなわち、もの指向という設計の考え方が重要です。もの指向とは、複雑な仕組みを、それぞれが独立した働きを持つ「もの」という部品に分解して考える方法です。ちょうど、時計を分解すると、歯車やぜんまい、針といった部品に分かれるように、情報処理の仕組みも、様々な部品、つまり「もの」から成り立っていると考えるのです。 それぞれの「もの」は、情報と、その情報を操作する手順を内包しています。例えば、時計の針という「もの」は、現在の時刻という情報と、時刻に合わせて動くという手順を持っています。そして、「もの」同士は互いに連携することで、複雑な処理を実現します。時計で言えば、歯車が回転することでぜんまいがほどけ、その力が針を動かすといった具合です。もの指向の利点は、変更に強いことです。もし、時計の針のデザインを変えたい場合でも、針という「もの」だけを交換すれば済みます。他の部品に影響を与えることなく、変更できるのです。 従来の情報処理の仕組み作りでは、手順を中心に考えていました。これは、料理のレシピのように、手順を一つずつ記述していく方法です。しかし、この方法では、手順が複雑になると全体を把握しにくくなり、変更にも弱くなります。もの指向では、「もの」に情報と手順をまとめることで、仕組み全体を整理し、変更にも柔軟に対応できるようになります。また、作った「もの」は他の仕組み作りでも再利用できます。一度作った時計の針を、別の時計にも使えるようにです。このように、もの指向は、複雑な情報処理の仕組みを、理解しやすく、作りやすく、変更しやすいものにするための、現代の情報処理の仕組み作りには欠かせない考え方なのです。