
革新的なゲーム機、プレイステーションの歴史
1994年、平成6年の年の瀬に、ソニー・コンピュータエンタテインメントから画期的な家庭用遊戯機械、「プレイステーション」が発売されました。当時の遊戯機械市場では、ゲームの情報を収めた入れ物に、差し込み式の「カートリッジ」を用いるのが主流でした。しかし、プレイステーションは、音楽の記録などに用いられる円盤状の「コンパクトディスク」、いわゆる「CDロム」を採用したのです。この革新的な選択は、遊戯業界全体に大きな変化の波を引き起こしました。
従来のカートリッジと比べ、CDロムは遥かに多くの情報を記録できます。この大容量化は、遊戯機の表現力を飛躍的に向上させる力となりました。まず、絵や映像の表現、いわゆる「グラフィック」がより緻密で美しくなりました。まるで写真や映画を見ているかのような、写実的な表現も可能になったのです。また、物語や冒険を楽しむ時間も、以前よりずっと長くできるようになりました。CDロムの大容量化は、より長い時間楽しめる、壮大な物語の展開を可能にしたのです。そして、音楽も格段に豊かになりました。これまでの電子音のような音楽ではなく、本物の楽器で演奏したかのような、臨場感あふれる音楽がゲームの世界を彩るようになったのです。
これらの変化は、これまでの遊戯機械の常識を覆す、まさに革命的な出来事でした。プレイステーションの登場以前は、遊戯は主に子供向けの遊び道具と考えられていました。しかし、プレイステーションは、大人も夢中になれる本格的な娯楽作品を生み出す力を持っていたのです。緻密なグラフィック、壮大な物語、そして美しい音楽は、大人も楽しめる奥深い遊戯体験を提供し、遊戯に対するイメージを大きく変えました。こうしてプレイステーションは、遊戯を子供向けのおもちゃから、大人も楽しめる本格的な娯楽へと押し上げる、大きな原動力となったのです。