部品を組み立てるように作る、オブジェクト指向とは

部品を組み立てるように作る、オブジェクト指向とは

ITを学びたい

『オブジェクト指向』って、どういう意味ですか?難しそうでよくわからないです。

IT専門家

そうですね。簡単に言うと、プログラムを作る時に、機能ごとに部品を作って、それを組み合わせてシステムを作る方法のことです。例えば、家を建てる時に、壁や窓、ドアなどの部品を組み合わせて作るのと似ています。

ITを学びたい

なるほど!部品を作って組み合わせるんですね。でも、なぜそんな方法を使う必要があるんですか?

IT専門家

良い質問ですね。部品化することで、同じ処理を何度も書かなくて済むので、開発の効率が上がるんです。また、作った部品を別のシステムでも再利用できるので、開発期間の短縮にも繋がります。さらに、システムの変更や修正も部品単位で行えるので、全体への影響を抑えつつ、効率的に作業を進めることができます。

オブジェクト指向とは。

『もの中心』という考え方のことです。これは、コンピュータのプログラムを作る時の作り方、設計の考え方の一つです。プログラムを、順番に処理していく一連の手続きとして考えるのではなく、役割ごとに部品として考えます。そして、これらの部品を組み合わせてシステムを作っていきます。似たような処理は共通の部品としてまとめたり、作った部品を再利用したりすることで、開発を効率よく行うことができます。もの中心は英語でobject-orientedといい、それぞれの単語の頭文字をとってOO(オーオー)と呼ばれることもあります。

全体像をつかむ

全体像をつかむ

物の見方、考え方を変えることで、複雑な仕組みを作る方法を学びます。これまで、計算機に仕事をさせるには、手順を順々に細かく書き出す必要がありました。例えば、ご飯を炊く手順を説明するように、米を研ぎ、水を入れ、スイッチを押す、といった具合です。しかし、この方法だと、手順が複雑になるにつれて、全体を把握するのが難しくなります。そこで登場するのが、物の見方を変える方法、つまり「もの中心の考え方」です。

もの中心の考え方では、まず、何が必要かを考えます。ご飯を炊く例で言えば、炊飯器が必要です。炊飯器には、米を研ぐ、水を入れ、加熱する、蒸らすといった機能が備わっています。私たちは、炊飯器の内部の仕組みを知らなくても、ボタンを押すだけでご飯を炊くことができます。このように、機能をまとめたものを「もの」として捉え、その「もの」同士を組み合わせることで、複雑な作業を単純化できます。

計算機の仕組み作りにも、この考え方を取り入れることができます。それぞれの「もの」には、データと、そのデータを扱う手順が備わっています。例えば、画面に文字を表示する「もの」、計算を行う「もの」、データを保存する「もの」などです。これらの「もの」は、互いに情報をやり取りしながら、連携して動作します。

もの中心の考え方を使う利点は、大きく分けて二つあります。一つ目は、仕組み全体の把握が容易になることです。それぞれの「もの」の役割が明確になるため、全体像が見えやすくなります。二つ目は、変更や修正が容易になることです。ある「もの」に変更を加えても、他の「もの」に影響を与える可能性が低いため、修正作業が楽になります。

このように、もの中心の考え方は、複雑な仕組みを理解しやすく、扱いやすくする効果的な方法です。おもちゃのブロックを組み合わせて、様々な形を作るように、計算機の仕組みも、「もの」を組み合わせて、多様な機能を実現できます。

従来の考え方 もの中心の考え方
手順を順々に細かく書き出す

  • 例:ご飯を炊く手順を説明するように、米を研ぎ、水を入れ、スイッチを押す
  • 手順が複雑になるにつれて、全体を把握するのが難しくなる
何が必要かを考え、機能をまとめた「もの」として捉え、それらを組み合わせる

  • 例:炊飯器の機能を利用し、ボタンを押すだけでご飯を炊く
  • それぞれの「もの」には、データと、そのデータを扱う手順が備わっている
  • 例:画面に文字を表示する「もの」、計算を行う「もの」、データを保存する「もの」など
課題 利点
複雑な手順の全体把握が困難
  • 仕組み全体の把握が容易になる
  • 変更や修正が容易になる

部品の再利用

部品の再利用

ものを作るように、組み合わせで様々な種類の道具を作ることを考えてみましょう。例えば、車を作る場合、タイヤ、エンジン、ハンドルといった部品が必要です。これらの部品は、車の種類ごとに一から作るのではなく、多くの車種で共通して使えるように設計されています。

同じように、計算機で様々な仕事をするための指示を作る際にも、部品を組み合わせて作ることができます。これを「部品の再利用」と言います。例えば、一度作ったタイヤの部品は、乗用車を作る指示だけでなく、トラックやバイクを作る指示にもそのまま使うことができます

部品を再利用する大きな利点は、仕事の量と時間を減らせることです。もし、タイヤの部品を毎回一から作らなければならないとしたら、大変な手間がかかります。しかし、一度作った部品を繰り返し使えるようにしておけば、同じ作業を何度も繰り返す必要がなくなり、作業効率が大幅に向上します

また、部品の再利用は、指示全体の品質向上にも繋がります。何度も使われている部品は、それだけ多くの使用者によって問題点の指摘や改良が加えられているため、新しい部品よりも信頼性が高いと言えるでしょう。例えば、多くの車種で使われているタイヤは、既に安全性や性能が十分に検証されているため、安心して使うことができます。

このように、部品の再利用は、仕事の効率化と品質向上の両方に大きく貢献する、非常に重要な考え方です。

メリット 説明 具体例
仕事の量と時間の削減 同じ作業の繰り返しを避け、作業効率を向上 タイヤを毎回作る代わりに、既存のタイヤを再利用
指示全体の品質向上 多くの使用者による検証と改良により信頼性向上 多くの車種で利用されているタイヤは安全性が高い

共通化による効率向上

共通化による効率向上

同じような処理を部品のようにまとめて、何度も使えるようにすることを共通化といいます。これは、複数の物事をまとめて扱う考え方の利点の一つです。例えば、幾つもの画面に同じボタンを配置する場合を考えてみましょう。それぞれの画面ごとにボタンの処理を記述するのではなく、「ボタン」という部品を作って、どの画面でも使えるようにします。

このように部品を共通化することで、同じプログラムを何度も書く手間を省けます。もしプログラムの修正が必要になった場合でも、共通化した部品だけを直せば、全ての画面で修正が反映されます。修正する箇所が少なくなるため、間違いも減り、プログラムの保守管理がしやすくなります

例えば、ある商品の通販サイトで「買い物かごに入れる」ボタンがあるとします。このボタンのデザインを変更する場合、共通化されていれば、ボタンの部品を一箇所修正するだけで、全ての商品のページでボタンのデザインが変わります。もし共通化されていなければ、一つ一つの商品ページでボタンのデザインを修正しなければならず、大変な手間がかかりますし、修正漏れも発生しやすくなります。

共通化は、プログラム全体の整理にも役立ちます。プログラム全体が見やすくなり、開発チーム内で情報を共有しやすくなります。大人数で大きな仕組みを作る場合、共通化はとても大切です。

共通化によって、開発にかかる時間と費用を節約できるだけでなく、品質も向上させることができます。これは、プログラムを作る上で重要なポイントです。

共通化による効率向上

柔軟な設計

柔軟な設計

部品を組み合わせることで物を作り上げるように、計算機を使う仕組み作りでも同じように考えるのが、もの指向という考え方です。もの指向では、計算機を動かすための命令を、機能ごとに部品のようにまとめて扱います。

この考え方を使うと、仕組み作りの設計変更に柔軟に対応できるという利点があります。例えば、新しい機能を追加したい場合、既に作った部品を組み合わせたり、新たに部品を作ったりすることで対応できます。システム全体を作り直す必要がないため、変更にかかる手間や費用を減らすことができます。

部品ごとに開発を進められることも大きな利点です。複数人で同時に作業を進めることが容易になり、開発期間の短縮に繋がります。例えば、画面表示を担当する人と、計算処理を担当する人が、それぞれ独立して部品作りを進めることができます。それぞれの部品が完成したら、それらを組み合わせることでシステム全体が完成します。

また、部品の再利用性も高いです。一度作った部品は、他のシステム開発でも利用できます。例えば、会員情報の管理をする部品は、ショッピングサイトや予約システムなど、様々なシステムで利用できます。部品を再利用することで、開発効率をさらに向上させることができます。

このように、もの指向は、変化の激しい今の時代の仕組み作りにおいて、とても役に立つ考え方と言えるでしょう。次々と新しい技術やサービスが登場する中で、柔軟に対応できる仕組み作りは、ますます重要になっています。もの指向は、そうした変化への対応を容易にし、開発の効率化を実現する、強力な手法です。

もの指向のメリット 説明
柔軟な対応力 機能追加や変更に容易に対応でき、システム全体を作り直す必要がないため、手間や費用を削減。
並行開発 部品ごとに開発を進められるため、複数人での同時作業が可能になり、開発期間を短縮。
部品の再利用性 一度作った部品は他のシステムでも再利用できるため、開発効率を向上。

オブジェクト指向の略称

オブジェクト指向の略称

「もの中心」という考え方は、近頃の様々な道具作りにおいて、広く使われている考え方で、英語では object-oriented と言います。この英語の頭文字をとって、OO (オーオー)と短く表現することもあります。本や会話の中で OO という言葉が出てきたら、ほぼ間違いなく「もの中心」の考え方のことを指しています。

この「もの中心」という考え方は、今の道具作り、特に計算機で動く道具作りには欠かせないものとなっています。ですから、計算機関係の仕事をする人にとっては、必ず知っておくべき知識と言えるでしょう。

たとえば、計算機に指示を出すための言葉であるプログラム言語の多くは、この「もの中心」の考え方に基づいて作られています。よく知られているものとしては、ジャバ、シー プラスプラス、パイソンなどがあります。これらの言葉を学ぶ上では、「もの中心」の考え方を理解することがとても大切です。

では、「もの中心」とは一体どういう考え方なのでしょうか?簡単に言うと、ものごとの性質や動きをまとめて「もの」として捉え、これらの「もの」同士がやり取りをすることで、複雑な仕組みを作っていく、という考え方です。

たとえば、車を作る場面を想像してみましょう。車全体をいきなり作るのではなく、タイヤ、エンジン、ハンドルといった部品をそれぞれ「もの」として捉えます。それぞれの部品は、大きさや重さ、動きといった独自の性質を持っています。そして、これらの部品を組み合わせて、初めて「車」というものが完成します。

このように、「もの中心」の考え方は、複雑なものを細かい部品に分解し、部品同士の関係性を整理することで、分かりやすく、効率的にもの作りを進めることを可能にします。計算機上で動く道具は、非常に複雑な仕組みになりがちです。だからこそ、「もの中心」の考え方が重要になるのです。

キーワード 説明 具体例
もの中心 ものごとの性質や動きをまとめて「もの」として捉え、これらの「もの」同士がやり取りをすることで、複雑な仕組みを作っていく考え方。道具作り、特に計算機で動く道具作りには欠かせない。 車:タイヤ、エンジン、ハンドルなどの部品を組み合わせて作る。
OO (オーオー) object-oriented の略。「もの中心」と同じ意味。
もの中心の重要性 計算機関係の仕事をする人にとっては必須の知識。プログラム言語の多くはこの考え方に基づいて作られている。 Java, C++, Python
もの中心の考え方 複雑なものを細かい部品に分解し、部品同士の関係性を整理することで、分かりやすく、効率的にもの作りを進める。

まとめ

まとめ

物の見方考え方を変えることで、仕組作りを効率よく質の高いものにする強力な方法、それがオブジェクト指向です。まるで積み木を組み合わせるように、部品を組み合わせて仕組全体を作っていきます。この部品一つ一つが「もの」であり、それぞれに役割や性質を持っています。

同じ部品を何度も使える、つまり再利用できることが大きな利点です。例えば、一度作った部品「車輪」は、車を作る時だけでなく、自転車やバイクを作る時にも使えます。車輪を毎回一から作る必要がないので、開発にかかる時間や手間を大きく減らすことができます。

また、部品を共通化することで、仕組全体の整理が簡単になります。例えば、「動くもの」という部品の中に「車輪」や「エンジン」といった部品が含まれているとします。もし車輪の設計を変える必要が出た場合、「動くもの」の部品だけを修正すれば、車、自転車、バイク、全ての車輪が一度に変更されます。一つずつ修正するよりも、ミスが少なくなり、修正にかかる時間も短縮できます。

このように、オブジェクト指向を使うことで、開発にかかる費用を抑え、仕組の維持管理を楽にし、設計変更にも柔軟に対応できるようになります。仕組作りに関わる人にとって、オブジェクト指向を理解することは非常に大切です。これから仕組作りを学ぶ人はもちろん、既に経験がある人も、オブジェクト指向の考え方を深く理解することで、より良い仕組作りが可能になります。

オブジェクト指向の世界は常に進化を続けています。新しい技術や考え方が次々と生まれているので、常にアンテナを高くして最新の情報を探し続けることが重要です。そうすることで、より効率的で質の高い仕組作りに役立てることができます。

メリット 説明 具体例
再利用性 同じ部品(オブジェクト)を何度も使える 「車輪」という部品は、車、自転車、バイクなどで再利用できる
管理の容易性 部品の共通化により、仕組全体の整理が簡単になる 「動くもの」の中に「車輪」が含まれる場合、車輪の設計変更は「動くもの」の修正だけで済む
費用削減、維持管理の容易性、設計変更への柔軟性 開発効率向上による費用削減、共通化による維持管理の容易さ、部品交換による柔軟な設計変更