機械語プログラム:性能を引き出すネイティブの力
ITを学びたい
先生、『ネイティブプログラム』ってどういう意味ですか?
IT専門家
簡単に言うと、コンピュータが直接理解できる言葉で書かれたプログラムのことだよ。 人間が使う言葉に近いプログラミング言語で書かれたプログラムは、一旦コンピュータが理解できる言葉に翻訳する必要があるんだけど、ネイティブプログラムは最初からコンピュータが理解できる言葉で書かれているから、翻訳の手間が省けて速く動くんだ。
ITを学びたい
つまり、コンピュータの種類ごとに専用の言葉で書かれたプログラムってことですか?
IT専門家
その通り! 例えば、Windowsで動くコンピュータ専用の言葉で書かれたネイティブプログラムは、Macでは直接動かないんだ。それぞれのコンピュータの種類に合わせた言葉で書かれているからね。だから、同じプログラムを違う種類のコンピュータで動かすには、それぞれのコンピュータ専用の言葉に翻訳し直す必要があるんだよ。
native programとは。
情報技術の用語で「ネイティブプログラム」というものがあります。これは、機械語で書かれたプログラム、つまりコンピュータが直接理解できる言葉で書かれたプログラムのことです。
機械語プログラムとは
機械語命令とは、計算機がそのまま理解し、実行できる命令のことです。人が読み書きしやすい言葉で書かれた命令は、最終的にこの機械語命令に変換されなければ、計算機は動きません。この変換の作業は、翻訳機のような役割を持つ特別な道具である翻訳器によって行われます。翻訳器は、高級な言葉で書かれた命令を読み込み、それを計算機の頭脳である演算装置が直接解釈できる機械語命令に変換します。
この機械語命令で書かれた指示は、特定の計算機の設計に依存します。そのため、異なる種類の演算装置を持つ計算機では、そのままでは動きません。例えば、ある会社の演算装置向けに作られた機械語命令は、別の会社の演算装置では動きません。それぞれの演算装置は、独自の命令の理解の仕方を持っており、理解できる機械語命令の形が異なるからです。
機械語命令は、計算機の物理的な部品と密接に関係しているため、実行速度が非常に速いという利点があります。他の形式の命令と比べると、間の手順や解釈の手順が不要なため、より効率的に動きます。高い性能が求められる応用や基本的な道具などによく使われています。また、物理的な部品に直接働きかけることができるため、計算機の資源を最大限に使うことができます。
例えば、画面に文字を表示するといった単純な動作でも、それを機械語命令に翻訳すると、複雑な数値の羅列になります。これは人が直接理解するのは困難ですが、計算機にとっては最も効率的な指示です。このように、機械語命令は計算機を動かすための根本的な言葉であり、計算機の動作を理解する上で重要な要素です。
項目 | 説明 |
---|---|
機械語命令とは | 計算機が直接理解し実行できる命令。他の命令は最終的に機械語に変換される必要がある。 |
翻訳器の役割 | 人が書いた命令を機械語命令に変換する。 |
計算機への依存性 | 機械語命令は特定の計算機の設計に依存するため、異なる計算機では互換性がない。 |
実行速度 | 非常に高速。他の形式の命令と比べて、間の手順や解釈が不要なため。 |
用途 | 高い性能が求められる応用や基本的な道具によく使われる。 |
資源利用 | 物理的な部品に直接働きかけることができるため、計算機の資源を最大限に使える。 |
命令の例 | 画面に文字を表示するといった単純な動作でも、複雑な数値の羅列になる。 |
重要性 | 計算機を動かすための根本的な言葉であり、計算機の動作を理解する上で重要。 |
機械語とオブジェクトコードの関係
計算機が直接理解できる言葉である機械語と、オブジェクトコードと呼ばれるものは、深い繋がりがありますが、全く同じものとは言えません。プログラムを作るための命令を人間が分かりやすい言葉で書いたものを、計算機が理解できる言葉に変換する作業を、翻訳のようなものと考えてみましょう。この翻訳作業を行うのが、翻訳機のような役割を持つコンパイラです。コンパイラが翻訳を行うと、オブジェクトコードと呼ばれる中間的なものが生成されます。
オブジェクトコードの中には、機械語の命令が含まれています。しかし、これだけでは計算機はまだプログラムを実行できません。なぜなら、オブジェクトコードには、プログラムの中で使われる部品のようなもの、例えば関数や変数といったものの情報が、完全には揃っていないからです。例えるなら、設計図の一部がまだ完成していないような状態です。
この未完成の状態の設計図を完成させるのが、リンカと呼ばれる別の道具です。リンカは、複数のオブジェクトコードや、既に完成している部品の集まりであるライブラリファイルなどを組み合わせ、プログラムの実行に必要な全ての情報を揃えます。計算機が理解できる言葉で書かれた設計図を、実際に動く部品を組み合わせて完成させるような作業です。
そして最終的に、計算機がすぐに実行できる完全な機械語のプログラム、つまり、その計算機専用のプログラムが完成します。つまり、オブジェクトコードとは、機械語のプログラムの中間段階と言えるでしょう。リンカによって処理されることで、初めて完全な機械語のプログラムとなるのです。オブジェクトコード自体は、バラバラの機械語の命令の集まりであり、実行可能なプログラムにするためには、リンカによる結合と整理整頓が欠かせません。
このように、機械語とオブジェクトコードは、翻訳された言葉と、翻訳途中の中間生成物のような関係にあると言えるでしょう。オブジェクトコードは機械語を含んでいますが、リンカによる処理を経て、初めて完全な機械語プログラムとして実行可能になります。
機械語プログラムの利点
計算機が直接読み解ける言葉で書かれた指示書のようなもの、それが機械語プログラムです。このプログラムは、人間が書いたプログラムを計算機が理解できる形に変換する必要がないため、実行速度が非常に速いという大きな利点があります。ちょうど、外国語で書かれた文章を読むのに比べ、母国語で書かれた文章を読む方が速く理解できるのと同じです。
特に、複雑な計算や膨大な量の情報を扱う場合、この速度の差は際立ちます。例えば、写実的な映像で動きが滑らかな最新のゲームや、宇宙の成り立ちを解き明かすための科学技術計算、高精細な動画の編集作業など、高い性能が求められる場面では、機械語プログラムはなくてはならないものとなっています。
また、機械語プログラムは計算機の部品に直接指示を出すことができるため、計算機の持つ力を最大限に引き出すことができます。これは、限られた電力や記憶容量の中で効率的に動作しなければならない、家電製品などに組み込まれた小さな計算機などにおいて、特に重要な要素です。資源を無駄なく使うことで、小さな計算機でも複雑な動作をこなせるようになります。
さらに、機械語プログラムは、一度計算機が理解できる形に変換されると、特定の計算機環境で最適に動作するように調整されます。そのため、一度きちんと動作することを確認すれば、その後も安定して動き続けることが期待できます。これは、社会的に重要な役割を担う計算機や、長時間動き続ける必要のある情報提供用の計算機などにおいて、非常に重要な点です。安定した動作は、私たちの生活を支える様々な場面で、信頼できるサービスを提供するための基盤となっています。
機械語プログラムのメリット | 詳細 | 具体例 |
---|---|---|
実行速度が非常に速い | 人間が書いたプログラムを変換する必要がないため、母国語を読むように理解できる。特に複雑な計算や膨大な量の情報を扱う場合に有効。 | 最新のゲーム、科学技術計算、高精細な動画編集 |
計算機の持つ力を最大限に引き出せる | 計算機の部品に直接指示を出せるため、限られた資源でも効率的に動作可能。 | 家電製品などに組み込まれた小さな計算機 |
安定した動作 | 特定の計算機環境で最適に動作するように調整されるため、一度動作確認すれば安定して動き続ける。 | 社会的に重要な役割を担う計算機、長時間動き続ける必要のある情報提供用の計算機 |
機械語プログラムの欠点
機械語で書かれたプログラムは、コンピュータが直接理解できる言葉で記述されているため、処理速度が速いなどの利点があります。しかし、いくつかの重要な欠点も存在します。
まず、特定の計算機の構造に強く依存しているという点が挙げられます。機械語は、計算機の心臓部である中央処理装置(CPU)の設計に密接に結びついています。そのため、ある種類のCPU向けに作られた機械語プログラムは、異なる種類のCPUではそのままでは動きません。例えば、パソコンに使われているCPU向けに作られたプログラムは、携帯電話に使われているCPUではそのままでは動きません。異なる種類のCPUで動かすには、そのCPU専用の機械語に書き直す必要があります。これは、プログラムを作る手間を増やし、様々な機器で使えるようにするのを難しくします。
次に、機械語は計算機の部品と密接に関係しているため、部品構成の変化や基本となる制御プログラムの更新によって、プログラムが正しく動かなくなることがあります。これは、プログラムの維持管理や更新作業を難しくする要因となります。部品構成が変わったり、基本となる制御プログラムが新しくなったりするたびに、機械語プログラムを修正する必要があるかもしれません。
さらに、機械語は人間にとって理解しにくい言葉で書かれています。数字の羅列である機械語を理解し、修正するのは非常に困難です。これは、プログラムを作る費用を増やし、誤りを作り込んでしまう危険性を高めます。また、誤りを見つけて修正する作業も難しくなります。そのため、大規模なプログラムを機械語で作るのは現実的ではありません。
このように、機械語プログラムは処理速度という点で優れているものの、様々な種類の計算機で動かすのが難しく、維持管理も大変で、人間にとって理解しにくいという欠点があります。これらの欠点を克服するために、人間にとって理解しやすいプログラミング言語が開発されてきました。
メリット | デメリット |
---|---|
処理速度が速い | 特定の計算機の構造に強く依存しているため、異なるCPUではそのままでは動かない |
計算機の部品と密接に関係しているため、部品構成の変化や基本となる制御プログラムの更新によって、プログラムが正しく動かなくなる | |
人間にとって理解しにくい言葉で書かれているため、プログラム作成費用が増加し、誤り発生のリスクが高まる |
他のプログラムとの比較
計算機が直接理解できる言葉である機械語で書かれた命令以外で動く命令にはいくつか種類があります。例えば、命令を一つずつ解釈しながら実行する通訳のような方式や、一度別の形に変換してから、仮想的な計算機の上で動かす方式などがあります。
命令を一つずつ解釈しながら実行する方式は、人間が書いた命令をその場で計算機が理解できる言葉に変換しながら実行します。これは、まるで通訳者が逐次翻訳しながら話を進めるようなものです。この方式は、様々な種類の計算機で動かすことができるという利点があります。なぜなら、それぞれの計算機ごとに通訳者がいれば、同じ命令で動かすことができるからです。しかし、その都度翻訳が必要なため、どうしても実行速度が遅くなってしまいます。
一度別の形に変換してから仮想的な計算機の上で動かす方式では、人間が書いた命令を一度仮想的な計算機が理解できる形に変換します。そして、その変換された命令を仮想的な計算機の上で実行します。この方式は、異なる種類の計算機でも、同じ仮想的な計算機を用意すれば動かすことができるため、様々な環境で利用できます。しかし、仮想的な計算機の上で動かすため、直接計算機上で動かす命令に比べると実行速度が劣ってしまいます。
このように、それぞれの方式には得意な点と不得意な点があります。そのため、どのような命令の書き方を選ぶかは、作るものや開発環境によって適切に判断する必要があります。例えば、計算速度が何よりも重要な場合は、機械語で直接命令を書くのが適しています。一方、様々な環境で使えるようにしたい、あるいは開発にかかる手間を減らしたい場合は、通訳方式や仮想計算機方式が適していると言えます。
命令実行方式 | 説明 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|---|
通訳方式 | 命令を一つずつ解釈しながら実行 (逐次翻訳) | 様々な種類の計算機で動作可能 | 実行速度が遅い |
仮想計算機方式 | 一度別の形に変換してから仮想的な計算機上で実行 | 異なる種類の計算機でも、同じ仮想計算機を用意すれば動作可能 | 直接計算機上で動かす命令に比べて実行速度が劣る |
機械語 (直接実行) | 計算機が直接理解できる機械語で記述 | 実行速度が速い | – |