自由なソフトウエア:その真意を探る

自由なソフトウエア:その真意を探る

ITを学びたい

先生、『free software』(フリーソフトウェア)って、ただで使えるソフトウェアのことですよね?

IT専門家

いい質問ですね。ただで使えるという意味の『フリーウェア』と混同されがちですが、『free software』は無料という意味だけではありません。使える、変更できる、再配布できる自由があるソフトウェアのことです。ソースコードが公開されていて、誰でも中身をみて、改造したり、改良版を配ったりできるんです。

ITを学びたい

なるほど。つまり、自由に使える権利が保障されているソフトウェアなんですね。でも、無料ではない『free software』もあるんですか?

IT専門家

その通りです。配布やサポートに費用がかかる場合、有料で販売されることもあります。しかし、ソースコード公開などの『free software』の要件を満たしていれば、有料でも『free software』と呼ぶことができます。

free softwareとは。

『自由なソフトウェア』とは、コンピュータのプログラムの設計図にあたるソースコードを公開し、誰でも自由に書き換えたり、直したり、また他の人に配ったりできるソフトウェアのことです。ただ無料で使えるソフトウェアを指す『フリーウェア』とは違い、作った人が他の人にも同じように自由に使えるようにという考え方で作られています。

定義と誤解

定義と誤解

「無償で使えるもの」と「自由に使えるもの」の違い、それが「フリーソフトウエア」を考える上で重要な点です。多くの人が「フリーソフトウエア」と聞くと、お金をかけずに使えるものだと考えがちです。確かに、多くのフリーソフトウエアは無料で利用できますが、重要なのはそこではありません。フリーソフトウエアの真髄は、利用者に「自由」を与えることにあります。

具体的に説明すると、フリーソフトウエアは設計図にあたる「原始記号列」が公開されています。利用者はこの原始記号列を自由に複製したり、自分の使い方に合わせて書き換えたり、書き換えたものを他の人に配ったりすることができます。つまり、単に無料で使えるだけでなく、自分の好きなように作り変えたり、他の人と共有したりする自由が保障されているのです。これが、ただ無料で使えるだけの「無料利用許可もの」とは大きく異なる点です。無料利用許可ものの場合、無料で使えるとしても、原始記号列が非公開だったり、書き換えや再配布が制限されていることがあります。

フリーソフトウエアは、利用者に自由を与えることで、技術の共有と発展を促すことを目的としています。例えば、ある人がフリーソフトウエアを使って便利な機能を追加した場合、その変更点を公開することで、他の人も同じ機能を利用できるようになります。また、バグが見つかった場合にも、多くの利用者が修正に取り組むことができるため、迅速な改善につながります。このように、フリーソフトウエアは、集合知を活用することで、より良いものを作り上げていく仕組みと言えるでしょう。誰でも自由に使える、誰でも自由に書き換えられる、誰でも自由に配れる。この三つの自由が、フリーソフトウエアの根幹を成し、技術革新の原動力となっているのです。

項目 フリーソフトウエア 無料利用許可もの
費用 無料(多くの場合) 無料
原始記号列(ソースコード) 公開 非公開(場合あり)
複製 自由 制限あり(場合あり)
改変 自由 制限あり(場合あり)
再配布 自由 制限あり(場合あり)
目的 技術の共有と発展
メリット 集合知による改善、迅速なバグ修正

自由の基盤:コピーレフト

自由の基盤:コピーレフト

「ものの自由」を守るための大切な考え方の一つに「コピーレフト」というものがあります。これは、ものの複製や変更、またそれをみんなに広める権利といったものを、作者が作ったものだけでなく、そこから新たに作られたものにも、ずっと守り続けるための仕組みです。

普段私たちが使う「著作権」は、作者が作ったものを勝手に使われないようにするための権利です。しかしこのコピーレフトは、この著作権という仕組みをうまく使い、作ったものを自由に使えるようにする、という逆転の発想から生まれたものなのです。

具体的には、コピーレフトという特別な許可証をつけたものを作ると、それを元に誰かが変更を加えたとしても、その変更後のものにも同じ許可証をつけなければいけないという決まりができます。たとえば、ある人が無料で使える表計算ソフトに新しい機能を追加したとします。すると、その新しい機能がついた表計算ソフトもまた、無料でみんなが使えるようにしなければいけない、ということになります。

このように、一度誰かが自由に使えるようにしたものは、誰かが手を加えたとしても、ずっと自由に使える状態が保たれるのです。このおかげで、みんなで知恵を出し合い、より良いものを作っていくことができます。まるでバトンのように、自由に使える権利は人から人へと受け継がれていくのです。

このコピーレフトという考え方は、ただで使えるようにするだけでなく、みんなが自由に改良したり、それを広めたりできる権利を守る、という点でとても重要です。誰でも自由に使えるようにしたいと考える人にとっては、なくてはならないものと言えるでしょう。

項目 説明
コピーレフトの目的 ものの複製・変更・配布の権利を、作者が作ったものだけでなく、そこから新たに作られたものにも守り続けるための仕組み。
著作権との違い 著作権は作者の権利を守るもの。コピーレフトは著作権の仕組みを使い、作ったものを自由に使えるようにする。
コピーレフトの仕組み 特別な許可証をつけることで、変更を加えたものにも同じ許可証をつけなければいけないという決まりを作る。
コピーレフトの効果 一度自由に使えるようになったものは、変更が加えられても自由に使える状態が保たれる。みんなで知恵を出し合い、より良いものを作ることができる。
コピーレフトの重要性 無料で使えるだけでなく、改良・配布の権利も守る。誰でも自由に使えるようにしたいと考える人にとって重要。

共同開発と進化

共同開発と進化

誰でも使える無料の計算機や表計算機、文章作成機など、様々な種類の道具が、多くの人たちによる共同作業で、どんどん便利に使いやすくなっているのをご存知でしょうか。これらは、設計図にあたる「源始記号の集まり」が誰にでも公開されているおかげで実現しています。

世界中の人々が、この公開された設計図を見ながら、道具の改良や新機能の追加に取り組んでいます。まるで、大きな共同作業場のように、誰でも自由に道具作りに参加できるのです。例えば、道具に欠陥が見つかったときも、すぐに誰かが修理方法を考え出し、それを皆で共有することで、より早く、より確実に、道具の質を高めることができます。

このような開かれた開発体制を持つことで、無料の道具は驚くほどの速さで進化し、高品質なものへと成長を遂げます。お金を払って買う道具とは違い、特定の会社や組織だけが開発に関わるわけではないので、様々な考え方や技術が柔軟に取り入れられるのです。

例えば、ある人は計算機の表示を大きく見やすくする工夫をし、別の人は表計算機に新しい計算方法を追加するかもしれません。また、ある人は文章作成機に便利な機能を付け加えるかもしれません。このように、世界中の様々な人がそれぞれの得意分野を生かして開発に貢献することで、より革新的で使いやすい道具が生まれていくのです。無料の道具は、まさに集合知の力を最大限に活用した、新しいものづくりの形と言えるでしょう。

メリット 説明 具体例
より早く、より確実に、道具の質を高める 欠陥が見つかったとき、すぐに誰かが修理方法を考え出し、皆で共有することで、迅速かつ確実に品質が向上する。 計算機にバグが見つかった場合、世界中の開発者が協力して修正プログラムを作成し、すぐに公開される。
様々な考え方や技術が柔軟に取り入れられる 特定の会社や組織だけが開発に関わるわけではないので、多様な発想や技術が反映される。 ある開発者は計算機の表示を見やすくする工夫をし、別の開発者は新しい計算方法を追加する。
世界中の様々な人がそれぞれの得意分野を生かして開発に貢献することで、より革新的で使いやすい道具が生まれていく 集合知を活用することで、革新的で使いやすい道具が生まれる。 文章作成機に便利な機能が追加され、より使いやすくなる。

利用者の権利

利用者の権利

無償で使える一部の特別な仕組みを持つ計算機処理手順、いわゆる「自由な計算機処理手順」は、使う人に4つの大切な権利を与えています。

第一に、どのような目的であっても、この計算機処理手順を自由に動かす権利です。仕事で使う、趣味で使う、学習で使うなど、使う人の目的を制限されることはありません。自分の好きなように、好きな時に、この計算機処理手順を動かすことができます。

第二に、この計算機処理手順がどのように動くのかを理解し、自分の必要に合わせて変更する権利です。中身を詳しく調べ、どのように作られているのかを学ぶことができます。そして、自分の使いやすいように、機能を追加したり、不要な部分を削除したりといった変更を加えることも可能です。

第三に、この計算機処理手順の複製を作り、他の人と共有する権利です。家族や友人、あるいは地域社会の人々と、この計算機処理手順を自由に共有することができます。複製を作る数に制限はなく、多くの人々に利用してもらうことができます。

第四に、変更を加えた計算機処理手順を再び配布する権利です。自分が改良した計算機処理手順を他の人にも使ってもらうことができます。改良によって使いやすくなった機能や、新しく追加した機能を共有することで、他の人たちの役に立つことも可能です。

これらの4つの権利は、使う人が計算機処理手順を自分のものとして使いこなすための土台となります。ただ計算機処理手順を使うだけでなく、その仕組みを学び、改良し、共有することで、技術力の向上だけでなく、地域社会への貢献にも繋がる大きな可能性を秘めているのです。

自由な計算機処理手順が与える4つの権利 説明
実行の自由 どのような目的であっても、自由に計算機処理手順を動かすことができる。
調査および変更の自由 計算機処理手順の仕組みを理解し、必要に応じて変更を加えることができる。
複製および共有の自由 計算機処理手順の複製を作り、他の人と共有することができる。
変更後の再配布の自由 変更を加えた計算機処理手順を他の人に配布することができる。

社会への影響

社会への影響

無償で使えるソフトは、私たちの社会に大きな良い変化をもたらしました。インターネットの土台となる技術の多くは、実はこの無償で使えるソフトによって支えられています。世界中の人々が情報にアクセスし、繋がり合うことができるのも、こうしたソフトのおかげと言えるでしょう。

特に、学校や発展途上国といった、使えるお金が少ない場所では、このソフトの役割は非常に重要です。高価なソフトを買わなくても、誰でも自由にソフトを使えるため、学ぶ機会が平等になり、情報を持っている人と持っていない人の差を縮めることにも役立っています。子供たちは最新の技術に触れ、創造性を育むことができますし、企業は新しい事業を始めるためのコストを抑えることができます。

無償で使えるソフトは、ただソフトとして提供されるだけでなく、人々が協力してより良いものを作るための仕組みも持っています。世界中の人々が、プログラムの修正や機能の追加に貢献することで、ソフトは常に改良され、進化し続けています。これは、集合知の力を示す素晴らしい例と言えるでしょう。また、このような協力の精神は、ソフト開発の分野だけでなく、社会全体にも広がり、より良い社会を作る力となるでしょう。

無償で使えるソフトは、単なる道具ではなく、社会全体の進歩を促す強力な手段です。情報技術の発展を加速させ、教育の機会を広げ、経済活動を活発化させるなど、様々な側面から社会に貢献しています。今後も、無償で使えるソフトは、社会の様々な課題を解決し、より良い未来を築く上で重要な役割を果たしていくことでしょう。

メリット 説明 具体例
情報アクセスと繋がり インターネット技術の基盤を支え、世界中の人々が情報にアクセスし繋がり合うことを可能にする。
教育機会の平等化 特に学校や発展途上国で重要。高価なソフトがなくても誰でも自由に使えるため、学ぶ機会が平等になり、情報格差を縮小。 子供たちが最新技術に触れ創造性を育む。
経済活性化 企業は新しい事業を始める際のコストを抑えることができる。
継続的な改良と進化 世界中の人々がプログラムの修正や機能追加に貢献することで常に改良され進化。集合知の力を示す好例。
社会全体の進歩促進 情報技術の発展を加速させ、教育の機会を広げ、経済活動を活発化させるなど様々な側面から社会に貢献。

未来への展望

未来への展望

誰もが自由に使える情報技術は、これから先の社会を大きく変える力を持っています。特に、インターネットを通じて様々な情報を保管したり、処理したりする「雲の計算機」や、人間の知恵を機械に持たせる「人工知能」といった新しい技術は、急速に発展しています。これらの技術が発展していくためには、技術の仕組みや作り方を公開し、皆で協力して改良していくことが重要です。誰でも自由に利用したり、改良したりできる「無料の情報技術」は、まさにこのような共同作業の精神にぴったり合っています。

「無料の情報技術」は、これから多くの新しい技術やサービスの土台となることが予想されます。例えば、誰もが自由に使える基本的な道具を提供することで、様々な人がそれぞれの得意な分野で新しい道具を作り出すことができます。これは、まるで積み木を組み合わせて大きな作品を作るように、技術を積み重ねてより便利な社会を作り上げていくことに繋がります。

「無料の情報技術」は、これからの情報化社会を支える重要な役割を担うでしょう。技術の進歩を速め、より公平で持続可能な社会を作るためには、「無料の情報技術」を広め、育てていくことが欠かせません。例えば、教育の場において「無料の情報技術」を活用することで、誰もが平等に学習の機会を得ることができます。また、災害時の情報共有や地域社会の活性化などにも、「無料の情報技術」は大きな役割を果たすことが期待されます。

誰もが技術の恩恵を受けられるように、「無料の情報技術」の重要性を理解し、積極的に活用していくことが、未来の社会をより良くしていく鍵となるでしょう。今後、ますます発展していく情報技術の世界において、「無料の情報技術」がどのような役割を果たし、社会にどのような変化をもたらすのか、注目していく必要があります。

無料の情報技術のメリット 具体例
技術発展の促進 技術の仕組みや作り方を公開し、皆で協力して改良していく
新しい技術やサービスの土台 基本的な道具を提供し、様々な人が新しい道具を作り出す
情報化社会の支援 教育の場での活用、災害時の情報共有、地域社会の活性化
公平で持続可能な社会の実現 誰もが技術の恩恵を受けられるようにする