ブートストラップ:コンピュータの始動
ITを学びたい
先生、「ブートストラップ」って、よく聞きますけど、どういう意味ですか?「ブート」と同じ意味なんですよね?
IT専門家
そうだね。「ブートストラップ」は「ブート」とだいたい同じ意味で、コンピューターを起動する、という意味で使われることが多いよ。もっと詳しく言うと、電源を入れた直後から、基本的なプログラムを読み込んで、コンピューターが使えるようになるまでの一連の動作のことなんだ。
ITを学びたい
じゃあ、なんで「ブート」じゃなくて「ブートストラップ」って言うんですか?
IT専門家
いい質問だね。「ブートストラップ」の語源は、「自分の靴ひもを引っ張って持ち上げる」という、まるで不可能なことを表す言葉から来ているんだ。コンピューターも、何もない状態からどうやって動き始めるのか不思議に思われたことから、この名前が付けられたんだよ。今では短く「ブート」と呼ばれることも多いけどね。
bootstrapとは。
「情報技術」に関する言葉である「ブートストラップ」(略して「ブート」ともいう)について
始動とは
計算機を仕事ができる状態にすることを「始動」と言い、専門的には「ブート」あるいは「ブートストラップ」と呼びます。これは、朝起きてから活動できる状態になるまでの準備に似ています。人は、朝、目を覚ましたばかりでは、ぼんやりとして何もできません。顔を洗い、歯を磨き、服を着替え、朝食を食べるなど、一連の準備をして初めて活動できる状態になるのです。
計算機も同じです。電源を入れたばかりの状態では、何もできません。人が活動するために準備をするように、計算機も決められた手順に従って様々な準備を行います。この準備作業こそがブートストラップです。ブートストラップとは、計算機を何もない状態から使える状態へと段階的に準備していく過程を指します。小さなプログラムを使って少し大きなプログラムを動かし、その大きなプログラムを使ってさらに大きなプログラムを動かす、というように段階を踏んで準備を進めていきます。まるで、小さな力で大きなものを動かす「てこ」の原理のようです。
ブートストラップが完了すると、基本となるソフトウェアである「基本処理機構」(OS)が起動します。基本処理機構が動き出すと、ようやく様々な応用処理機構が利用できるようになります。例えば、電子郵便を読んだり、文章を作成したり、情報を調べたりといった、計算機の様々な機能が使えるようになるのは、このブートストラップのおかげです。ブートストラップは、計算機が正常に動作するために欠かせない、とても重要な準備作業なのです。もし、ブートストラップがうまく完了しないと、計算機は正常に動作しません。これは、朝起きても頭が働かず、活動できない状態と似ています。計算機にとって、ブートストラップは一日の始まりを告げる大切な手順と言えるでしょう。
用語 | 説明 | 人間に例えると |
---|---|---|
始動(ブート/ブートストラップ) | 計算機を仕事ができる状態にするための準備作業。小さなプログラムから大きなプログラムへと段階的に起動していく。 | 朝起きて、顔を洗い、歯を磨き、服を着替え、朝食を食べるなど、活動できる状態になるまでの一連の準備。 |
ブートストラップの完了 | 基本処理機構(OS)が起動し、様々な応用処理機構が利用可能になる。 | 一日の活動準備が整い、仕事や勉強など、様々な活動ができる状態になる。 |
ブートストラップの重要性 | 計算機が正常に動作するために欠かせない準備作業。 | 朝きちんと準備をしないと、頭が働かず、活動できないのと同じくらい重要。 |
仕組み
計算機が動き出す仕組み、すなわち「立ち上げ」の仕組みは、幾つかの段階に分かれています。まず、計算機に電源が入ると、読み出し専用の記憶装置に保存されている小さな制御手順が動き出します。この小さな制御手順は、いわば計算機の目覚まし時計の様なもので、眠っている計算機を目覚めさせます。この目覚まし時計の役割は、次の段階の準備をすることにあります。
次に、この小さな制御手順は、情報を保存しておく装置、例えば、硬い円盤や半導体を使った記憶装置から、もっと大きな制御手順を読み込みます。この大きな制御手順は、計算機のあらゆる動作を管理する基本手順、つまり基本制御手順を動かすために必要な様々な手順を読み込んで、実行します。これは、人が朝起きてから身支度をするのと同じです。まず、目覚まし時計で目を覚まし、それから歯を磨いたり、顔を洗ったり、服を着たりと、順番に準備を進めていきます。
計算機の場合も同様に、それぞれの小さな制御手順が次の手順を動かす準備を行い、最終的に基本制御手順が動き出します。この一連の手順の読み込みと実行は、複雑に連携し合って行われています。もし、どれか一つでも欠けてしまうと、正常に立ち上げることができません。これは、人が身支度をする際に、歯ブラシがなかったり、服がなかったりすると、準備ができないのと同じです。 小さな手順から大きな手順へと、順番に制御を受け渡していくことで、最終的に計算機全体が利用できる状態になります。この、小さな手順が大きな手順を次々と呼び出し、最終的に基本制御手順を動かす仕組みが「立ち上げ」と呼ばれています。
種類
始動には、大きく分けて二つの方法があります。それは、完全に電源を切った状態から始める方法と、動作中に再始動する方法です。
前者は、ちょうど人が朝目覚めて活動を始めるときのように、計算機にとっても一日の始まりです。全ての部品が停止状態から動き始め、計算機の頭脳とも言える基本的な仕組みを読み込み、その後、様々な仕事をするための準備を整えます。そのため、机の上を片付けてから仕事に取り掛かるように、計算機も内部の整理から始めるので、どうしても時間がかかります。
後者は、まるで人が気分転換に少し休憩してから仕事に戻るように、計算機も一度作業を中断し、再び作業を再開します。この場合、既に一部の作業準備は整っているので、最初から準備するよりも早く作業に戻ることができます。机の上の書類をそのままにして休憩に戻るようなもので、すぐに作業を再開できるのです。
どちらの方法も、計算機をきちんと動かすために必要な手順です。状況に応じてどちらの方法を選ぶかが重要になります。例えば、計算機が作業中に動かなくなってしまった場合や、新しい道具を導入した場合は、少し休憩するだけでは解決しません。しっかりと休み、最初から準備をやり直す必要があります。まるで、気分転換では解決しない大きな問題に直面した時、しっかり睡眠をとってから改めて問題に取り組むのと同じです。
このように、計算機の始動方法には二種類あり、それぞれに役割と利点があります。状況に応じて適切な方法を選ぶことで、計算機をより効率的に利用できます。
始動方法 | 説明 | アナロジー | メリット | デメリット | 適用状況 |
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電源オフからの始動 | 完全に電源を切った状態から起動する | 朝起きて活動開始 | 内部の整理から始めるので、問題が少ない | 時間がかかる | ・計算機が動かなくなった場合 ・新しい道具(ソフトウェアなど)を導入した場合 |
再起動 | 動作中に再起動する | 休憩後、作業再開 | 既に作業準備が整っているので早い | 深刻な問題には対処できない場合がある | 軽微な問題が発生した場合 |
用語の由来
計算機を立ち上げる際に使われる『起動する』という言葉の言い換えとして、『ブートストラップ』という用語をよく耳にします。この言葉は、英語の『pull oneself up by one’s bootstraps』という表現に由来しています。この表現を日本語に訳すと、『自分の靴紐を引っ張って自分を持ち上げる』という意味になり、物理的に見て不可能な動作を表しています。
しかし、計算機の世界では、この一見不可能なことが実現されています。計算機の電源を入れると、まず小さなプログラムが動き出します。この小さなプログラムは、自分よりも少し大きな別のプログラムを読み込み、実行します。そして、そのプログラムがさらに大きなプログラムを読み込むという作業を繰り返します。この連鎖的なプログラムの読み込みによって、最終的には複雑で巨大な基本ソフトと呼ばれるプログラムが起動します。
この一連の起動過程は、まるで小さなプログラムが自分自身を引っ張り上げて、巨大な基本ソフトという存在を作り出しているように見えます。この様子が、自分の靴紐を引っ張って自分を持ち上げるという、一見不可能な動作に例えられたことから、計算機の起動過程はブートストラップと呼ばれるようになりました。
一見すると矛盾しているように見えるこの命名ですが、限られた資源を有効に活用して大きな成果を生み出すという、計算機技術の驚くべき発展を象徴していると言えるでしょう。小さなプログラムがまるで魔法のように巨大な基本ソフトを起動させる様子は、現代技術の奇跡と言えるかもしれません。
重要性
計算機を立ち上げる際に欠かせない手順のことを「立ち上げ処理」と言います。この立ち上げ処理は、計算機が動き出す上でとても大切な役割を担っています。この処理がうまくいかないと、計算機は正常に作動しません。私たち人間で例えるなら、朝起きても何もできない状態と同じです。
立ち上げ処理とは、計算機を初期状態から使える状態へと切り替える、いわば儀式のようなものです。この儀式が滞りなく進むことで、私たちは初めて計算機の様々な機能を使えるようになります。立ち上げ処理は、計算機の動作開始を支える、陰で活躍する大切な存在と言えるでしょう。この処理が正常に動作するおかげで、私たちは日々快適に計算機を使えているのです。
立ち上げ処理は大きく分けて三つの段階に分かれています。最初の段階では、計算機に内蔵された小さなプログラムが読み込まれ、主要な部品の動作確認が行われます。次の段階では、計算機の心臓部である処理装置が起動し、記憶装置から基本的な操作手順を読み込みます。最後の段階では、読み込まれた操作手順に基づいて、画面表示や外部機器との接続など、計算機を使うための準備が整えられます。
立ち上げ処理の重要性を理解することは、計算機の仕組みを理解する上で欠かせない要素と言えるでしょう。毎日の生活を始めるための朝の習慣と同じように、計算機にとっても立ち上げ処理は欠かせない手順なのです。この立ち上げ処理のおかげで、私たちは複雑な計算や情報処理を簡単に行うことができ、日々の生活や仕事に役立てることができるのです。立ち上げ処理は、目に見えないところで私たちの計算機利用を支える、縁の下の力持ちと言えるでしょう。
立ち上げ処理とは | 計算機を初期状態から使える状態へと切り替える手順 |
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重要性 | 計算機の動作開始を支える、計算機の仕組みを理解する上で欠かせない要素 |
三つの段階 |
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