広域ネットワーク:世界をつなぐ技術
ITを学びたい
先生、「広域ネットワーク(ワイドエリアネットワーク)」ってよく聞くんですけど、どういう意味ですか?
IT専門家
そうだね。「広域ネットワーク」とは、離れた場所にある複数のコンピュータネットワークを接続して、一つの大きなネットワークとして機能させる仕組みのことだよ。たとえば、東京の本社と大阪の支店を繋いで、データのやり取りをする場合などに使うんだ。
ITを学びたい
なるほど。インターネットも広域ネットワークの一つですか?
IT専門家
その通り!インターネットは世界中のコンピュータネットワークが繋がった、とても大きな広域ネットワークと言えるね。他にも、企業が独自に構築した広域ネットワークもあるんだよ。
wide area networkとは。
『広域ネットワーク』と呼ばれる情報技術の用語について説明します。これは、略して『ワン』とも呼ばれます。
広域ネットワークとは
広域ネットワーク、略して広域網とは、地理的に離れた複数の構内網を繋ぎ合わせ、広範囲に渡る網の目を構築する技術のことです。身近な例としては、世界規模の情報網であるインターネットも広域網の一つです。インターネットは世界中の計算機網を相互に接続し、情報を共有できるようにしています。
企業では、本社と支社、あるいは複数の拠点間を繋ぐために広域網を利用するのが一般的です。このように、広域網は距離の壁を越えて、情報や資源の共有を可能にする重要な役割を担っています。例えば、遠く離れた支社から本社の機械に接続して情報を見たり、あるいは自宅から会社の網に接続して仕事をすることも、広域網によって実現されています。広域網は現代社会の情報通信の土台として、なくてはならない存在と言えるでしょう。
広域網を構築する技術には様々な種類があります。一つは専用線を使う方法です。これは、通信事業者から物理的な回線を借りて、拠点間を直接繋ぐ方法で、通信の安定性が高いのが特徴です。もう一つは公衆網を使う方法です。これは、インターネットなどの誰もが使える網を利用する方法で、コストを抑えることができます。また、近年では仮想私設網(VPN)と呼ばれる技術も広く利用されています。これは、公衆網上に仮想的な専用線を構築する技術で、セキュリティとコスト効率の両立を図ることができます。
広域網の技術は常に進化を続けており、より速く、より安全な通信を実現するための研究開発が続けられています。将来、さらに革新的な技術が登場し、私たちの生活をより豊かにしてくれることでしょう。広域網は、社会の情報化を支える重要な技術であり、今後の発展に大きな期待が寄せられています。
広域網(WAN)とは | 概要 | 例 |
---|---|---|
定義 | 地理的に離れた複数の構内網(LAN)を繋ぎ合わせ、広範囲に渡る網の目を構築する技術 | インターネット |
企業利用例 | 本社と支社、あるいは複数の拠点間を繋ぐ | 支社から本社へのアクセス、在宅勤務 |
構築技術 | 専用線、公衆網、仮想私設網(VPN) | – |
専用線 | 通信事業者から物理的な回線を借りて拠点間を直接繋ぐ。通信の安定性が高い。 | – |
公衆網 | インターネットなどの誰もが使える網を利用する。コストを抑えることができる。 | – |
仮想私設網(VPN) | 公衆網上に仮想的な専用線を構築する。セキュリティとコスト効率の両立。 | – |
将来展望 | より速く、より安全な通信を実現するための研究開発が続けられている。 | – |
広域ネットワークの種類
情報を遠く離れた場所に届けるための通信網を広域ネットワークと言います。この広域ネットワークには幾つかの種類があり、それぞれ特徴が違います。目的に合ったものを選ぶことが大切です。
まず、回線を独り占めして使うものとして専用線があります。通信会社から提供される物理的な回線を占有するため、通信の質が安定していて、安全性も高いです。決まった相手と常に大量の情報をやり取りする場合に向いています。
次に、小さなデータの塊に分割して送る方法に、フレームリレーというものがあります。これは、必要な時に必要なデータだけを送るので、回線を効率的に使うことができます。料金を抑えたい場合や、それほど通信の質にこだわらない場合に適しています。
動画配信など、大容量の情報を送る場合は、ATMという方法が有効です。これは、情報を小さな細胞のように分割して、高速に送受信する技術です。リアルタイムで動画を見たり、大きなファイルをやり取りしたりするのに向いています。
インターネットを使って、あたかも専用線のように使える仕組みに、IP-VPNというものがあります。これは、インターネット上でありながら、安全に情報をやり取りできる仕組みです。複数の拠点間で安全に情報を共有したい場合に適しており、専用線を引くよりも費用を抑えることができます。
最後に、職場内などで使われている通信技術を、広域ネットワークにも応用したのが広域イーサネットです。これは、比較的安価に高速な通信を実現できるので、近年注目を集めています。
このように広域ネットワークには様々な種類があり、それぞれに利点と欠点があります。通信速度、安全性、費用などを考慮し、最適なものを選ぶことが重要です。
広域ネットワークの種類 | 特徴 | メリット | デメリット | 用途 |
---|---|---|---|---|
専用線 | 回線を独占 | 通信の質が安定、安全性が高い | 費用が高い | 決まった相手と常に大量の情報をやり取り |
フレームリレー | データを分割して送信 | 料金が安い、回線を効率的に使える | 通信の質は専用線ほどではない | 料金を抑えたい、通信の質にこだわらない |
ATM | 情報をセルに分割して高速送受信 | 大容量データの送受信に最適 | – | 動画配信、大きなファイルのやり取り |
IP-VPN | インターネット上で専用線のように利用 | 安全な通信、専用線より安価 | – | 複数の拠点間での安全な情報共有 |
広域イーサネット | 職場内の技術を広域に応用 | 安価で高速な通信 | – | – |
広域ネットワークの構成要素
広域ネットワークは、地理的に離れた場所にある複数の構内ネットワークを繋ぎ、組織全体で情報を共有するための重要な仕組みです。情報をスムーズにやり取りするためには、様々な機器や技術が組み合わさって、一つのシステムとして機能しています。
まず、通信回線は、データが流れる道のようなものです。光ファイバーケーブルや電話回線、無線通信など様々な種類があり、それぞれ速度や費用、安定性などが異なります。広域ネットワークを構築する際には、通信距離や必要な速度、予算などを考慮して適切な通信回線を選ぶ必要があります。
次に、ルーターは、データが正しい宛先に届くように道案内をする役割を担います。複数のネットワークが接続された場所で、データのパケットを見て、最適な経路を選んで転送します。まるで手紙を仕分ける郵便局のような働きです。
また、スイッチは、ネットワーク内部の通信を効率化する装置です。同じネットワーク内にある機器同士が通信する際に、データが適切な機器に届くように制御します。建物の内部で手紙を各部屋に配達するような役割です。
モデムは、デジタル信号とアナログ信号を変換する装置です。コンピューターが扱うデジタル信号を、電話回線などのアナログ信号に変換して送受信します。異なる言語を翻訳する通訳のような役割を果たします。
最後に、広域ネットワークの安全を守るためには、セキュリティ対策が不可欠です。ファイアウォールは、外部からの不正アクセスを遮断する壁のような役割を果たします。侵入検知システムは、ネットワークへの侵入を監視し、怪しい動きを検知すると管理者に知らせます。これらのセキュリティ対策を適切に導入することで、情報漏えいやシステム障害などのリスクを低減し、安心して広域ネットワークを利用できるようになります。
機器/技術 | 役割 | 例え |
---|---|---|
通信回線 | データが流れる道。種類によって速度、費用、安定性が異なる。 | – |
ルーター | データが正しい宛先に届くよう道案内。最適な経路を選んで転送。 | 手紙を仕分ける郵便局 |
スイッチ | ネットワーク内部の通信を効率化。適切な機器にデータが届くよう制御。 | 建物の内部で手紙を各部屋に配達 |
モデム | デジタル信号とアナログ信号を変換。 | 異なる言語を翻訳する通訳 |
ファイアウォール | 外部からの不正アクセスを遮断。 | 壁 |
侵入検知システム | ネットワークへの侵入を監視、怪しい動きを検知し管理者に通知。 | – |
広域ネットワークの利点
広域ネットワークは、複数の離れた場所を繋ぐことで、まるで一つの場所に居るように情報をやり取りできる仕組みです。地理的に離れた事業所同士でも、まるで同じ建物内にいるかのように連絡を取り合ったり、資料を共有したりすることが容易になります。 例えば、東京の本社と大阪の支店、福岡の工場が、一つのネットワークで繋がっていれば、場所を気にせずスムーズに連携できるわけです。
このような広域ネットワークには様々な利点があります。まず、情報共有がスムーズになることで、全体の仕事の効率が良くなります。例えば、新しい商品に関する情報は、ネットワークを通じて瞬時に全拠点に伝わり、迅速に販売活動を開始できます。また、会議のために遠方まで移動する必要がなくなり、移動時間や交通費の削減にも繋がります。テレビ会議システムなどを利用すれば、場所に縛られず、効率的に会議を行うことが可能です。
資源の共有も大きなメリットです。高価な機器や特別な機能を持つ計算機を、広域ネットワークを通じて複数の拠点で共有すれば、それぞれの拠点に同じものを設置するよりも費用を抑えられます。また、重要な書類やデータなどを一箇所にまとめて保管し、ネットワークを通じてアクセスできるようにすれば、場所を取らずに管理できます。
さらに、災害時における事業の継続にも役立ちます。ある拠点が災害に見舞われても、他の拠点がネットワークを通じて業務を引き継ぐことができます。主要な機器やデータの複製を別の場所に保管しておけば、たとえ一部の機器が被害を受けても、速やかに復旧して事業を継続できます。このように、広域ネットワークは企業にとって、なくてはならない技術と言えるでしょう。
広域ネットワークのメリット | 説明 | 具体例 |
---|---|---|
仕事の効率化 | 情報共有がスムーズになり、全体の仕事の効率が向上する | 新商品の情報を瞬時に全拠点に伝達し、迅速に販売活動を開始 |
移動時間と費用の削減 | 遠方への移動が不要になり、移動時間や交通費を削減できる | テレビ会議システムによる効率的な会議 |
資源の共有 | 高価な機器や特別な機能を持つ計算機などを複数の拠点で共有できる | 機器の設置費用削減、重要な書類やデータの一元管理 |
災害時の事業継続 | ある拠点が被災しても、他の拠点が業務を引き継ぐことができる | 主要な機器やデータの複製による迅速な復旧 |
広域ネットワークの課題
広い範囲を繋ぐ情報網は、企業活動にとって欠かせないものとなっています。多くの利点がある一方で、いくつかの難題も抱えています。まず、情報の安全を守ることは大変重要です。広い範囲を繋ぐ情報網は、外部からの不正アクセスや攻撃に晒される危険性が高いため、堅牢な安全対策を講じる必要があります。例えば、許可されていないアクセスを防ぐ仕組みや、情報の暗号化、不正侵入の検知システムなどを導入することで、大切な情報を守ることができます。
次に、通信にかかる費用の管理も重要な課題です。広い範囲を繋ぐ情報網を利用するには、通信回線の使用料や機器の維持管理費など、様々な費用が発生します。これらの費用を抑えるためには、通信回線の種類や契約内容を慎重に検討する必要があります。また、不要な通信を減らすための工夫や、通信機器の効率的な運用も重要です。
さらに、情報網の運用管理は複雑になりがちです。広範囲に広がる情報網を安定して動かすためには、専門的な知識や技術を持った担当者が必要です。また、障害発生時の迅速な対応や、定期的な点検・保守なども欠かせません。情報網の状態を常時監視し、問題発生の予兆を早期に発見することで、大きな障害を未然に防ぐことができます。
これらの課題を解決するためには、目的に合った技術を選び、適切な運用体制を築くことが不可欠です。常に最新の安全技術や費用削減策を取り入れることで、安全で効率的な情報網の運用を実現できます。また、担当者の教育訓練にも力を入れることで、専門知識や技術の向上を図り、より高度な運用管理を目指していく必要があります。
課題 | 対策 |
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情報の安全を守る |
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通信にかかる費用の管理 |
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情報網の運用管理の複雑さ |
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