インターネット上の住所:完全修飾ドメイン名
ITを学びたい
先生、『完全修飾ドメイン名』って一体何でしょうか?インターネットで調べてみたのですが、難しくてよく分かりません。
IT専門家
なるほど。『完全修飾ドメイン名』、略してFQDNは、インターネット上で住所のようにコンピュータを特定するための名前だよ。例えば、『〇〇小学校.〇〇市.jp』のように、階層構造になっているのが特徴だね。
ITを学びたい
階層構造…ですか?住所みたいというのは何となく分かりますが、もう少し詳しく教えて下さい。
IT専門家
例えば、『〇〇小学校.〇〇市.jp』の場合、『jp』が一番上の階層で国を表し、『〇〇市』がその下の階層で市を表し、『〇〇小学校』がその下の階層で具体的な場所を表しているんだ。このように、階層を組み合わせることで、世界中で重複することなくコンピュータを特定できるんだよ。
完全修飾ドメイン名とは。
「情報技術」に関する言葉、「完全限定網域名」(略して「完全限定域名」)について
完全修飾ドメイン名とは
インターネットの世界では、どの機械とどの機械がやり取りをしているのかを正しく理解することがとても大切です。そのために、それぞれの機械には、人間の世界でいう住所のようなものが必要になります。この住所の役割を果たすのが、完全修飾網域名です。完全修飾網域名は、階層構造になっていて、まるで家の住所のように、大きな範囲から徐々に細かい範囲へと絞り込んでいきます。
例えば、手紙を送る場面を考えてみましょう。日本という国の中から、東京都という都道府県、そしてさらに細かい市区町村、番地を指定することで、初めて手紙は相手に届きます。これと同じように、インターネット上でも、世界中の機械の中から特定の機械に情報を送るためには、段階的に範囲を絞り込む必要があります。
完全修飾網域名は、階層のそれぞれの部分を「.」で区切って表現します。一番右側は一番大きな範囲を示し、左に進むにつれてより細かい範囲を示していきます。例えば、「example.co.jp」という完全修飾網域名を考えてみます。「jp」は国を表す部分で、日本を示します。「co」は会社を示す部分です。「example」はその会社の具体的な名前です。このように、右から左へ段階的に絞り込むことで、世界中のどの機械を指しているのかが明確になります。
もし、住所の一部が欠けていたら、手紙は相手に届きません。同じように、完全修飾網域名が不完全であれば、インターネット上でも情報を正しく送受信できません。そのため、完全修飾網域名は、インターネット上で情報をやり取りする上で非常に重要な役割を担っていると言えるでしょう。
概念 | 説明 | 例 |
---|---|---|
完全修飾網域名 | インターネット上の機械の住所。 階層構造を持ち、右から左へ範囲を絞り込むことで特定の機械を指定する。 |
example.co.jp |
階層構造 | 住所のように、大きな範囲から徐々に細かい範囲へと絞り込んでいく構造。 | jp → co → example |
.(ドット) | 階層のそれぞれの部分を区切る記号。 | example.co.jp |
右側の部分 | 一番大きな範囲を示す。 | jp (日本) |
左側の部分 | より細かい範囲を示す。 | example (会社名) |
完全性の重要性 | 住所の一部が欠けると手紙が届かないように、完全修飾網域名が不完全だと情報は正しく送受信できない。 | – |
階層構造とドメイン名
完全修飾ドメイン名(FQDN)は、まるで住所のように階層構造で表されます。住所で言うと、都道府県名から市町村名、町名、番地へと、広い範囲から狭い範囲へと順に絞り込んでいくのと似ています。FQDNも同様に、右側から左側へ、より一般的な区分から具体的な区分へと絞り込まれていきます。
例として、「example.co.jp」というFQDNを見てみましょう。一番右側の「jp」は国別コードトップレベルドメインと呼ばれ、この場合は日本を表します。次に左隣の「co」はセカンドレベルドメインで、日本では企業を表す際に用いられます。さらに左隣の「example」はサードレベルドメインで、特定の組織やウェブサイトを表します。このように、ピリオドで区切られた階層構造によって、世界中の膨大な数のコンピュータを一つ一つ区別することが可能になります。
この階層構造は、住所のように名前の重複を防ぐ役割を果たします。例えば、同じ「example」という名前の組織が複数あったとしても、「example.co.jp」と「example.com」のように、異なるドメイン名にすることで区別できます。これは、番地が同じでも、市町村名が異なれば別の場所だと分かるのと同じ考え方です。
また、階層構造は効率的な管理にも役立ちます。例えば、ある国に割り当てられたトップレベルドメインの下にあるセカンドレベルドメインは、その国が責任を持って管理できます。同様に、セカンドレベルドメインの下にあるサードレベルドメインは、それぞれの組織が管理できます。このように、階層化することで、管理責任を適切に分割し、インターネット全体の円滑な運用を実現しています。
階層 | 名称 | 説明 | 例 |
---|---|---|---|
トップレベルドメイン | 国別コードトップレベルドメイン | 国を表す | jp |
セカンドレベルドメイン | 日本では企業を表す | co | |
サードレベルドメイン | 特定の組織やWebサイトを表す | example |
完全修飾と部分修飾
名前解決において、名前の付け方には大きく分けて二つの方法があります。一つは完全修飾、もう一つは部分修飾です。完全修飾とは、階層構造の頂点から末端まで、住所で例えるなら国名から番地まで、すべてを漏れなく記す方法です。インターネットの世界では、これを完全修飾ドメイン名(えふきゅーでぃーえぬ)と呼びます。
完全修飾ドメイン名は、階層構造の最上位にあるルートドメインから始まります。ルートドメインは目には見えませんが、すべてのドメインの基礎となる重要な存在です。ルートドメインの下には、国別コードトップレベルドメイン(例えば「.jp」など)や汎用トップレベルドメイン(例えば「.com」や「.org」など)といった上位ドメインが存在し、さらにその下に組織や個人が所有するドメインが続きます。完全修飾ドメイン名は、これらの階層をすべて繋げて記述するため、世界中でその名前が唯一のものとなります。例えば、「example.co.jp」は完全修飾ドメイン名の一例です。
一方、部分修飾とは、名前の一部だけを記述する方法です。社内ネットワークのような限られた環境では、コンピュータの名前だけを指定しても、どのコンピュータを指すのかが分かります。これは、名前解決を行う仕組み(でぃーえぬえすサーバー)が、不足している部分を自動的に補完してくれるからです。例えば、「example」という名前だけを指定した場合、でぃーえぬえすサーバーは、あらかじめ設定された情報に基づいて、これを「example.local」や「example.co.jp」のように解釈します。
部分修飾は、限られた範囲内では便利ですが、インターネット全体で利用することはできません。インターネットのように広大なネットワークでは、同じ名前を持つコンピュータが無数に存在する可能性があります。部分修飾では、どのコンピュータを指すのかを特定できないため、通信が正しく行われない可能性があります。そのため、インターネットで通信を行う場合は、必ず完全修飾ドメイン名を用いる必要があるのです。完全修飾ドメイン名を使うことで、世界中どこからでも、目的のコンピュータを正しく識別し、通信を行うことができます。
項目 | 説明 | 例 |
---|---|---|
完全修飾 | 階層構造の頂点から末端まで全てを記述する方法。 インターネットでは完全修飾ドメイン名(FQDN)と呼ばれる。 |
example.co.jp |
部分修飾 | 名前の一部だけを記述する方法。 DNSサーバーが不足部分を補完する。 |
example (example.localやexample.co.jpと解釈される) |
インターネットとIPアドレス
世界規模の連絡網であるインターネットでは、それぞれの機器が固有の番号で識別されています。この番号のことを「インターネット・プロトコル・アドレス」、略して「アイピーアドレス」と呼びます。人間にも分かりやすい住所のように、それぞれの機器に割り当てられた住所と考えれば良いでしょう。
アイピーアドレスは、実際には数字の並びです。しかし、この数字の並びを人間が覚えるのは大変です。電話番号を覚えるのも一苦労なのに、世界中の機器一つ一つに割り当てられた番号を全て覚えるのは不可能でしょう。そこで、人間にとって分かりやすい名前で機器を特定するために、「完全修飾ドメイン名」、略して「エフ・キュー・ディー・エヌ」が使われます。例えば、「example.com」のようなものです。これは、インターネット上での住所の「番地」に当たるアイピーアドレスを、「町名」や「建物名」のように分かりやすい名前で表現したものと言えるでしょう。
エフ・キュー・ディー・エヌとアイピーアドレスの変換を担っているのが、「ディー・エヌ・エス・サーバー」です。ディー・エヌ・エス・サーバーは、インターネット上の電話帳のような役割を果たしています。私たちはウェブサイトを見たい時、ブラウザにエフ・キュー・ディー・エヌを入力します。すると、ブラウザはディー・エヌ・エス・サーバーに問い合わせ、そのエフ・キュー・ディー・エヌに対応するアイピーアドレスを探し出します。そして、そのアイピーアドレスを使って目的の機器と通信を行うことで、私たちはウェブサイトを見ることができるのです。
このように、ディー・エヌ・エス・サーバーのおかげで、私たちは複雑な数字の並びであるアイピーアドレスを意識することなく、分かりやすい名前を使ってインターネットを利用できます。まるで、住所を番地ではなく、建物名で指定して手紙を送ることができるようなものです。この仕組みによって、インターネットはより使いやすく、便利なものになっていると言えるでしょう。
まとめ
完全限定ドメイン名(FQDN)は、インターネット上で特定のコンピュータを見つけるための住所のようなものです。私たち人間にとって理解しやすい名前でコンピュータを識別することができます。たとえば、「www.example.co.jp」のような形式です。これは階層構造になっており、「jp」が国別コード、「co」が会社の種類、「example」が組織名、「www」がその組織内の特定のコンピュータを示しています。
このFQDNは、インターネットの住所録のような役割を果たすDNSサーバーによって、コンピュータが理解できる数字の羅列であるIPアドレスに変換されます。たとえば、「www.example.co.jp」は「192.0.2.1」のようなIPアドレスに変換されます。私たちがウェブサイトにアクセスする際には、FQDNを入力しますが、裏側ではDNSサーバーがこのFQDNをIPアドレスに変換し、目的のコンピュータに接続します。そのため、私たちは複雑な数字を覚えることなく、世界中のウェブサイトやサービスにアクセスできるのです。
DNSサーバーは、世界中に分散して配置されており、互いに連携して動作します。あるDNSサーバーが目的のFQDNに対応するIPアドレスを知らない場合は、他のDNSサーバーに問い合わせを行い、最終的にIPアドレスを見つけ出します。この仕組みのおかげで、私たちは迅速にウェブサイトにアクセスすることができます。
FQDNは、インターネットを支える重要な仕組みの一つです。FQDNを理解することで、インターネットの仕組みをより深く理解し、より安全に利用することに繋がります。例えば、フィッシング詐欺サイトなどは、FQDNを巧妙に偽装している場合があります。FQDNを正しく理解していれば、このような偽装を見抜き、被害を防ぐことができるでしょう。FQDNはインターネットを安全に利用するための重要な知識と言えるでしょう。
項目 | 説明 |
---|---|
完全限定ドメイン名(FQDN) | インターネット上で特定のコンピュータを見つけるための住所のようなもの。人間にとって理解しやすい名前でコンピュータを識別できる。例: www.example.co.jp |
FQDNの階層構造 | jp(国別コード).co(会社の種類).example(組織名).www(特定のコンピュータ) |
DNSサーバーの役割 | FQDNをIPアドレスに変換する。インターネットの住所録のような役割。 |
IPアドレス | コンピュータが理解できる数字の羅列。例: 192.0.2.1 |
DNSサーバーの連携 | 世界中に分散して配置され、互いに連携して動作する。あるDNSサーバーが目的のFQDNに対応するIPアドレスを知らない場合は、他のDNSサーバーに問い合わせを行い、最終的にIPアドレスを見つけ出す。 |
FQDNの重要性 | インターネットを支える重要な仕組みの一つ。FQDNを理解することで、インターネットの仕組みをより深く理解し、より安全に利用することに繋がる。 |
FQDNとセキュリティ | フィッシング詐欺サイトなどは、FQDNを巧妙に偽装している場合がある。FQDNを正しく理解していれば、このような偽装を見抜き、被害を防ぐことができる。 |
日常生活との関連
私たちが日々、当然のように利用しているインターネット。その裏側では、様々な技術が複雑に絡み合い、円滑な情報のやり取りを支えています。その中でも、普段は意識することのない「完全修飾ドメイン名」、略して「FQDN」は、インターネットを支える重要な役割を担っています。
たとえば、気になる情報を探したり、買い物をしたりするために、ウェブサイトを閲覧する場面を考えてみましょう。ウェブサイトを見るためには、まずウェブサイトの場所を示す文字列を打ち込みます。この打ち込んだ文字列こそがFQDNです。
このFQDNは、いわばウェブサイトの住所のようなものです。しかし、コンピュータは、この住所をそのまま理解することはできません。コンピュータが理解できるのは、数字で表された「IPアドレス」と呼ばれるものです。そこで、「DNSサーバ」と呼ばれる、インターネット上の住所録のような役割を持つコンピュータが登場します。
ウェブサイトを見たいと思った時、私たちのコンピュータは、まずDNSサーバにFQDNを送信し、そのFQDNに対応するIPアドレスを問い合わせます。DNSサーバは膨大なデータベースの中から該当するIPアドレスを探し出し、問い合わせてきたコンピュータに返します。すると、私たちのコンピュータは、そのIPアドレスを頼りに、目的のウェブサイトがあるコンピュータにたどり着き、ウェブサイトの情報を受け取ることができるのです。
このように、FQDNとIPアドレスの変換は、私たちがインターネットを利用する度に、裏側で自動的に行われています。FQDNのおかげで、私たちは数字の羅列であるIPアドレスを覚えることなく、分かりやすい文字列でウェブサイトにアクセスできます。FQDNは、まさにインターネットの基盤を支え、私たちの日常生活をより便利で豊かなものにしていると言えるでしょう。