家庭で活躍！ ＤＳＬ入門

家庭で活躍！ ＤＳＬ入門

電話線で高速通信

家庭にある電話線を使って、高速で情報のやり取りができる技術があります。それが、今回ご紹介する電話回線高速通信です。

皆さんのご家庭にもある電話線は、もともとは人の声を伝えるために作られたものです。しかし、電話回線高速通信は、この電話線に音ではなく、コンピュータが理解できるデジタル信号を流すことで、音声通話と同時に情報のやり取りを可能にしています。

電話回線高速通信の大きな魅力は、特別な工事や新しい配線を必要としないという点です。そのため、手軽に高速インターネットを始めることができます。

インターネットが普及した背景には、電話回線高速通信の存在が大きく影響しています。おかげで、多くの人が自宅で快適にインターネットを使えるようになりました。

電話線は全国津々浦々に張り巡らされています。そのため、電話回線高速通信は都市部だけでなく、地方でも利用できるというメリットがあります。地方でも高速インターネットが使えるようになったのは、電話回線高速通信の普及のおかげと言っても過言ではありません。

電話回線高速通信は既存の電話線をうまく活用した、まさに画期的な技術と言えるでしょう。電話回線高速通信によって、電話をかけるだけでなく、様々な情報を送受信できるようになり、私たちの生活はより便利で豊かになりました。

回線速度の向上や新たな通信技術の登場により、電話回線高速通信は主流ではなくなりつつありますが、その功績は大きく、インターネット普及の礎を築いた技術として、歴史に名を刻むでしょう。

ＤＳＬの種類

電話線を使って高速で情報のやり送りをする技術は、いくつもの種類があります。それぞれに得意なことが違うので、自分に合ったものを選ぶことが大切です。ここでは、よく使われている種類について説明します。

まず、「非対称デジタル加入者線」と呼ばれるものがあります。これは、情報の受け取り速度の方が、情報の送信速度よりも速くなっています。普段の暮らしでは、色々なサイトを見るために情報を受け取る方が多いので、このような仕組みに利点があるのです。

次に、「超高速デジタル加入者線」と呼ばれるものがあります。これは、先ほど説明したものよりも、更に速い情報のやり取りが可能です。この種類の中には、情報の受け取り速度と送信速度が同じものと、先ほど説明したように受け取り速度の方が速いものがあります。同じ速度のものは、「対称型」と呼ばれ、安定した通信が求められる場面で力を発揮します。例えば、会社の事務作業で大きな資料を送ったり、ビデオ会議をしたりする際に役立ちます。

このように、用途や通信環境によって最適な種類を選ぶことで、快適なインターネット環境を作ることができるのです。最近では光回線も普及してきましたが、電話線を使うこれらの技術も、特定の状況ではまだまだ活躍の場があります。それぞれの特性を理解し、賢く使い分けることが大切です。

仕組み

電話回線を使って高速で情報をやり取りする技術である、ディーエスエルの仕組みについて説明します。

家庭にある電話回線は、実は様々な音を伝えることができます。低い音は私たちが普段、音声通話で利用しています。ディーエスエルでは、この電話回線の中でも、人間には聞こえない高い音の部分を使って情報のやり取りを行います。まるで二階建ての建物のように、低い音と高い音の二つの空間を同時に使うことで、電話をかけながら、同時に情報を送受信できるのです。

情報を送受信するためには、ディーエスエルモデムと呼ばれる専用の機械が必要です。この機械は、計算機などの機器から送られてきた情報を、電話回線で送れる高い音の信号に変換する役割を担っています。反対に、電話回線から届いた高い音の信号を、計算機が理解できる情報に変換する役割も担っています。

電話局には、ディーエスエルエーエムと呼ばれる装置が設置されています。この装置は、複数の利用者からの高い音の信号をまとめて管理する役割を担います。利用者宅にあるディーエスエルモデムと、電話局にあるディーエスエルエーエムが信号をやり取りすることで、高速な情報の送受信が実現するのです。

このように、ディーエスエルは既存の電話回線を有効活用することで、特別な工事をすることなく高速な情報通信を可能にしています。まるで電話回線に隠された高速道路を利用しているようなものと言えるでしょう。

メリットとデメリット

電話線を使ったインターネット接続方法であるディーエスエルには、良い点と悪い点があります。まず、良い点としては、今ある電話線を使えるので、新たに工事をする必要がなく、始めるためのお金があまりかからないことが挙げられます。また、対応している地域が光ファイバーよりも広く、多くの場所で使えることも魅力です。インターネットを始める際のハードルが低いと言えるでしょう。

しかし、ディーエスエルには弱点もあります。電話局から家までの距離が遠いほど、通信速度が遅くなるのです。家の周りの環境や家の壁の中を通っている線の状態、周りの電気機器が出す雑音の影響を受けやすく、繋がりにくくなることもあります。快適に動画を見たり、大きなデータを送受信するには不向きな場合もあります。

最近は、光ファイバーを使ったインターネット接続が普及してきました。光ファイバーはディーエスエルよりも速く、安定した通信ができます。そのため、速さや安定性を求める人は光ファイバーを選ぶ傾向があります。ディーエスエルを選ぶのは、光ファイバーが対応していない地域に住んでいる人や、月々のお金を抑えたい人に限られてきていると言えるでしょう。

このように、ディーエスエルは手軽に始められる反面、速度や安定性に課題があると言えます。インターネットの使い方や住んでいる場所、予算などを考えて、自分に合った接続方法を選びましょう。

将来性

近ごろは、光回線が隅々まで行き渡りつつあり、電話回線を使った通信方式であるデジタル加入者線、いわゆるディーエスエルは、以前ほどは見かけなくなりました。しかし、光回線がまだ整備されていない地域では、ディーエスエルは今でもインターネットに接続するための大切な手段となっています。また、電話回線さえあれば使えるという手軽さから、今後も一定の需要は見込めるでしょう。

光回線が整っていない地域では、これからも高速なインターネット接続を提供する手段として、ディーエスエルは活躍していくと考えられます。さらに、あらゆる機器がインターネットにつながる時代、モノのインターネットと呼ばれる技術の広まりとともに、低い費用で広い範囲をカバーできるディーエスエルの強みが活かされる場面も増えてくるかもしれません。

技術の進歩によって、ディーエスエルの通信速度や安定性がさらに向上する可能性も秘めています。たとえば、雑音に強い新たな信号処理技術や、複数の回線をまとめて使う技術などが研究されています。これらの技術革新が実用化されれば、ディーエスエルはより高速で安定した通信手段として、再び注目を集めるかもしれません。

通信手段を一つに絞るのではなく、様々な種類の通信手段を用意しておくことは、災害時などの緊急時にも重要です。複数の通信手段を確保することで、どれか一つが使えなくなっても、他の手段で通信を維持できるからです。通信網の多様性を保つためにも、ディーエスエルはこれからも大切な選択肢の一つであり続けるでしょう。