ラインプリンター:高速印刷の仕組み

ラインプリンター:高速印刷の仕組み

ITを学びたい

先生、『line printer』(ラインプリンター)って、どういうものですか?

IT専門家

一行ずつ印刷するプリンターのことだよ。文字を一つずつ印刷するプリンターと比べて、印刷の速度が速いのが特徴だね。

ITを学びたい

なるほど。一行ずつ印刷するから、速いんですね。ということは、たくさんの資料を印刷するときなどに便利そうですね。

IT専門家

その通り!大量に印刷する必要があるビジネスの現場などで、特に重宝されていたんだよ。

line printerとは。

コンピューター関係の言葉で「ラインプリンター」というものがあります。これは、一行ずつ印刷するプリンターの総称です。一文字ずつ印刷するプリンターよりも速く印刷できます。

ラインプリンターとは

ラインプリンターとは

ラインプリンターとは、一度に一行全体を印刷する印刷機の事です。その名前の通り、一列に並んだ文字を一度の動作で紙に転写します。一つずつ文字を印刷する印刷機と比べて、印刷速度が速いという特徴があります。

活版印刷のように、一行分の型を一度に紙に押し付ける事で印刷します。このため、大量の書類や多くの情報の印刷が必要な業務に向いています。かつては、銀行の計算書や企業の請求書など、大量の印刷物を速く出力する必要がある場面で広く使われていました。

ラインプリンターは、その印刷方法から、衝撃式印刷機の一種に分類されます。衝撃式印刷機とは、インクを染み込ませたリボンに物理的な衝撃を与える事で、文字を紙に転写する印刷機の事です。タイプライターと同じように、ハンマーのような部品を使ってリボンを叩き、その衝撃でインクを紙に転写する事で印字します。この方法は、カーボン紙を複数枚重ねて印刷する事で、一度に複写を作成できるという利点もあります。

また、点で文字を作る印刷機とは違い、印字の質が非常に高く、はっきりとした文字を印刷できる事も大きな特徴です。近年では、印刷技術の進歩により、より速く、より静かな印刷機が登場したため、ラインプリンターを見かける機会は少なくなりました。しかし、その独特の印刷方式と、複写作成能力の高さから、特定の用途では今でも利用されています。

項目 説明
印刷方式 一行全体を一度に印刷
印刷速度 速い
向いている業務 大量の書類や多くの情報の印刷が必要な業務
印刷原理 インクを染み込ませたリボンに物理的な衝撃を与え、文字を紙に転写(衝撃式印刷)
複写作成 可能(カーボン紙使用)
印字の質 非常に高く、はっきりとした文字
現状 近年は衰退傾向だが、特定の用途では利用

ラインプリンターの種類

ラインプリンターの種類

活字を一行ずつまとめて高速に印刷する装置、ラインプリンター。その種類について詳しく見ていきましょう。大きく分けて、太鼓のような形をした回転体に文字が刻印されている太鼓式と、鎖のように文字が繋がったものが循環する鎖式(帯式)の二種類があります。

まず、太鼓式について説明します。太鼓式は、プリンターの中に太鼓のような回転体があり、その表面には印刷に必要な様々な文字がびっしりと刻印されています。この太鼓が回転し、印刷したい文字が紙とインクリボンの前に来た瞬間に、ハンマーが紙の裏側から叩きつけられます。すると、インクリボンを介して紙に文字が転写され、印刷が完了します。太鼓式は構造が比較的単純なため、製造にかかる費用が抑えられるという利点があります。そのため、かつては広く普及していました。

次に、鎖式について説明します。鎖式は、プリンター内部に文字が刻印された鎖状の部品が循環しています。これも太鼓式と同様に、印刷したい文字が紙の前に来た時にハンマーが作動し、インクリボンを介して紙に文字を印刷します。鎖式は太鼓式に比べて印刷速度が速いという長所があります。これは、鎖が循環する速度を速くすることで、印刷速度を向上させることができるためです。ただし、構造が複雑なため、製造費用は太鼓式よりも高くなる傾向があります。

近年では、印刷技術の進歩により、太鼓式や鎖式以外にも様々な方式のラインプリンターが開発されています。例えば、インクを噴射して印刷する方式や、レーザー光を用いて印刷する方式などがあります。これらの新しい方式は、従来のラインプリンターに比べて、より高品質な印刷を実現できるだけでなく、騒音も抑えることができます。

種類 仕組み 速度 コスト その他
太鼓式 回転体に刻印された文字をハンマーで叩きつける 遅い 低い 構造が単純
鎖式(帯式) 循環する鎖状の部品に刻印された文字をハンマーで叩きつける 速い 高い 構造が複雑
その他 (近年) インク噴射式、レーザー式など 高品質、低騒音

シリアルプリンターとの比較

シリアルプリンターとの比較

連続用紙に一行単位で高速印刷を行うラインプリンターと、一文字ずつ印刷するシリアルプリンターは、印刷方式が根本的に異なります。ラインプリンターは、ドラムやバンド、チェーンといった機構を用いて、一行分の文字を一度に印字するため、大量の帳票や伝票印刷などの高速処理が必要な業務用途で活躍してきました。一方、シリアルプリンターは、印字ヘッドが一文字ずつ紙の上を移動しながら印刷を行います。代表的なものとしては、点で文字を形成するドットマトリックスプリンター、インクを噴射して印刷するインクジェットプリンター、そしてトナーを用いて高画質印刷を実現するレーザープリンターなどが挙げられます。これらのプリンターは、ラインプリンターに比べて印刷速度は遅いものの、小型化や低価格化が進み、家庭や小規模事業所などで広く利用されています。

ラインプリンターとシリアルプリンターの印刷速度の差は、印刷量が多いほど顕著になります。例えば、数千ページに及ぶ大量の書類を印刷する場合、ラインプリンターであれば短時間で処理できますが、シリアルプリンターでは数時間、あるいはそれ以上かかることもあります。しかし、近年の技術革新により、シリアルプリンターの印刷速度も大幅に向上しています。特に、レーザープリンターの中には、ラインプリンターに匹敵する速度で印刷できる機種も登場しており、高速印刷と高画質の両立が求められる場面で活躍しています。また、シリアルプリンターはカラー印刷や画像印刷にも対応しており、表現力豊かな印刷物を手軽に作成できるという利点もあります。そのため、用途に応じて適切なプリンターを選択することが重要です。

項目 ラインプリンター シリアルプリンター
印刷方式 一行単位 一文字ずつ
印刷速度 高速 低速 (近年高速化)
用途 大量帳票・伝票印刷 家庭・小規模事業所
特徴 高速処理 小型・低価格、カラー/画像印刷、高画質
代表例 ドラム式、バンド式、チェーン式 ドットマトリックス、インクジェット、レーザー

ラインプリンターの利点

ラインプリンターの利点

ラインプリンターには、多くの利点があります。まず挙げられるのは、その圧倒的な印刷速度です。一般的なプリンターと比べて桁違いに速く、大量の書類を短時間で印刷できます。一枚一枚印刷する方式ではなく、一行まとめて印刷する仕組みのため、一度に多くの情報を紙に転写できるのです。特に、企業などで毎日発行される伝票や、決算書のような帳票類など、同じ形式の書類を大量に印刷する場合には、ラインプリンターの速度は大きな力を発揮します。ラインプリンターを使うことで、業務にかかる時間を大幅に短縮し、仕事の効率を高めることが可能になります。

次に、ラインプリンターは一度に複数枚の複写を作成できます。カーボン紙などを挟むことで、一度の印刷で同じ内容の書類を複数枚作成することができるのです。これは、契約書や納品書など、同じ内容の書類を複数部署で保管する必要がある場合に非常に便利です。また、手書きで複写を作る手間を省き、ミスの発生も防ぐことができます。

さらに、ラインプリンターは印字品質も高く、鮮明な文字を印刷できます。これは、長期間保存する必要がある書類や、顧客に提出する重要な書類にとって大きなメリットです。文字がかすれたり、にじんだりすることなく、はっきりと読みやすい書類を作成することで、信頼感を高めることにも繋がります。長く使っても印字品質が劣化しにくいという点も、ラインプリンターの大きな魅力と言えるでしょう。

利点 説明
圧倒的な印刷速度 一般的なプリンターと比べて桁違いに速く、大量の書類を短時間で印刷可能。特に、同じ形式の書類を大量に印刷する場合に効果を発揮。
一度に複数枚の複写 カーボン紙などを挟むことで、一度の印刷で同じ内容の書類を複数枚作成可能。契約書や納品書など、同じ内容の書類を複数部署で保管する必要がある場合に便利。
高品質な印字 鮮明な文字を印刷でき、長期間保存する書類や顧客に提出する重要な書類に最適。信頼感の向上にも繋がる。

ラインプリンターの欠点

ラインプリンターの欠点

ラインプリンターは、一度に一行分の文字を印刷する仕組みで、高速に大量の帳票類を印刷できるという大きな利点があります。しかし、その仕組みや特性からいくつかの欠点も存在します

まず、設置スペースの問題があります。ラインプリンターは、その構造上、本体がどうしても大きくなってしまいます。そのため、設置する場所の広さを十分に確保する必要があります。限られたスペースの事務所などでは、設置が難しい場合もあります。

次に、騒音の問題です。ラインプリンターは、高速で印字を行う際に大きな動作音を発生させます。この動作音は、周囲の作業環境に影響を及ぼす可能性があり、特に静かな環境が求められる場所では問題となるでしょう。防音対策が必要となる場合もあります。

さらに、消費電力も大きな課題です。ラインプリンターは、その高速印刷を実現するために、多くの電力を消費します。そのため、他の印刷方式に比べて電気料金が高くなる傾向があります。近年は、省電力化が進んだ機種も出てきていますが、それでも一文字ずつ印刷するシリアルプリンターと比較すると、消費電力は大きいです。

また、印刷できる内容にも制限があります。ラインプリンターは、主に文字の印刷に特化しており、複雑な図形や写真の印刷には適していません。そのため、図表や画像を多用する資料の作成には不向きです。

最後に、維持管理の手間も挙げられます。ラインプリンターは、その複雑な構造から、定期的な保守点検や部品交換が必要になります。そのため、維持管理に手間と費用がかかる場合があります。

このように、ラインプリンターは高速印刷という利点がある一方で、設置スペース、騒音、消費電力、印刷内容の制限、維持管理の手間など、いくつかの欠点も持ち合わせています。導入を検討する際には、これらの欠点を十分に理解し、用途や環境に合った機種を選ぶことが重要です。

メリット デメリット
高速に大量の帳票類を印刷できる 設置スペースの問題(本体が大きい)
騒音の問題(高速印字時の動作音)
消費電力の問題(高速印刷のための電力消費)
印刷内容の制限(文字印刷に特化、複雑な図形や写真は苦手)
維持管理の手間(定期的な保守点検や部品交換が必要)