フロッピーディスク:過去の主力記憶媒体

フロッピーディスク:過去の主力記憶媒体

ITを学びたい

先生、「フロッピーディスク」って聞いたことはあるんですけど、どんなものかよく分かりません。教えてください。

IT専門家

フロッピーディスクは、薄い円盤に磁気を利用して情報を記録するものです。カセットテープのように情報を記録したり、読み出したりできる、昔の記録媒体です。今はほとんど使われていませんね。

ITを学びたい

カセットテープみたいなものですか。でも、どうして今は使われていないのですか?

IT専門家

フロッピーディスクは容量が1MB程度と小さく、CDやUSBメモリなどの記録媒体が登場し、それらが主流になったため、フロッピーディスクは使われなくなりました。手軽に持ち運べる点は便利でしたが、容量の小ささがネックでしたね。

floppy diskとは。

コンピュータ関係の言葉で「フロッピーディスク」というものがあります。これは、薄い円盤状の記録媒体で、磁気を帯びることができる素材に、保護用のプラスチックのカバーをつけたものです。1980年代から1990年代の前半にかけて、パソコンやワープロなどによく使われていました。容量は1メガバイトほどです。「フロッピーディスク」は「FD」と略されるほか、「ディスケット」と呼ばれることもあります。データの読み書きには、フロッピーディスクドライブという専用の装置を使います。

概要

概要

薄くてぐにゃりと曲がる円盤状の記憶装置、それがフロッピーディスクです。硬いプラスチックの箱に収められた、この薄い円盤には磁気を帯びた物質が塗られており、ここにデータを記録します。磁気ヘッドと呼ばれる部品が、この円盤の表面をなぞるように動いて、データを読み書きするのです。まるでレコード盤の針が溝を読み取るように、磁気ヘッドは目に見えない磁気の変化を読み取ってデータを取り出し、また磁気の変化を書き込んでデータを保存します。

フロッピーディスクという名前は、このディスクの柔らかさに由来します。初期のフロッピーディスクは、8インチ(約20センチ)と大きく、本当に floppy(柔らかい)でした。後に、5インチ(約13センチ)、そして3.5インチ(約9センチ)と小型化が進み、全体が硬いケースで覆われるようになり、見た目にはあまり柔らかく見えなくなりましたが、それでもフロッピーディスクという名前は残り続けました。

1980年代から1990年代にかけて、フロッピーディスクはパソコンやワープロで広く使われました。ちょっとした書類やプログラムを保存するには十分な容量があり、手軽に持ち運ぶこともできました。当時、気軽にデータを別の機械に移動できる方法は限られており、フロッピーディスクはその貴重な手段の一つでした。

フロッピーディスクの記憶容量は、現在主流の記憶装置と比べると大変小さいです。主流だったものは1.44メガバイトで、これは現在のスマートフォンの写真一枚分の容量にも満たないこともあります。しかし、当時は貴重な記憶媒体として、多くのデータを保存し、人々の間をやり取りされました。今ではほとんど見かけることはなくなりましたが、パソコンの歴史を語る上で欠かせない存在です。

項目 内容
形状 薄くてぐにゃりと曲がる円盤状
材質 硬いプラスチックの箱に収められた、磁気を帯びた物質が塗られた薄い円盤
データの読み書き 磁気ヘッドが円盤表面をなぞることでデータを読み書き
名前の由来 ディスクの柔らかさ(floppy)から
サイズ 8インチ→5インチ→3.5インチと小型化
普及時期 1980年代~1990年代
用途 パソコンやワープロでの書類やプログラムの保存、データの持ち運び
記憶容量 1.44メガバイト(主流)
現在 ほとんど使われていない
備考 パソコンの歴史上重要な存在

構造と仕組み

構造と仕組み

薄くて柔らかなプラスチックの円盤に、磁気を帯びる素材が塗られています。これがフロッピーディスクの心臓部と言える部分で、この磁性体の表面にデータが磁気の形で記録されます。磁気は目には見えませんが、N極とS極を持つ小さな磁石のようなものを想像してみてください。このN極とS極の向きを変えることで、0と1のデジタルデータを表し、膨大な情報を記録することが可能でした。

データの読み書きには、フロッピーディスクドライブと呼ばれる専用の機械を使います。フロッピーディスクをこのドライブに差し込むと、ドライブ内部の読み書きヘッドと呼ばれる部分が、回転するディスクの表面に近付きます。このヘッドは電磁石の性質を持っており、ディスク表面の磁気を変化させることでデータの書き込みを行い、逆にディスク表面の磁気を読み取ることでデータの読み出しを行います。まるでレコードプレーヤーの針がレコード盤の溝を読むように、ヘッドがディスクの表面をなぞることで情報を読み取っている様子を想像してみてください。

フロッピーディスクは、薄いプラスチックのケースに収められており、このケースは、繊細な磁気記録面を塵や埃、指紋などから守る役割を担っていました。また、このケースには小さな窓があり、読み書きヘッドがこの窓からディスクの磁気記録面にアクセスします。さらに、フロッピーディスクには書き込み禁止用の小さなタブが付いています。このタブをスライドさせることで、物理的に書き込みを禁止する仕組みがあり、大切なデータの誤消去や上書きを防ぐ工夫が凝らされていました。不用意にデータを消してしまわないように、このタブは重要な役割を果たしていたのです。

構成要素 機能
磁性体を塗布した円盤 データが磁気の形で記録される心臓部
読み書きヘッド ディスク表面の磁気を変化させてデータの書き込み、読み取りを行う
プラスチックケース 磁気記録面を塵や埃、指紋などから保護
書き込み禁止タブ 物理的に書き込みを禁止し、データの誤消去や上書きを防止

容量と種類

容量と種類

情報を記録するための薄い円盤をプラスチックのケースに入れたフロッピーディスクには、いくつか種類がありました。大きさと記録できる情報量に違いがありました。よく使われていたのは、直径が約13センチメートルのものと、約9センチメートルのものです。

大きい方は5インチディスクと呼ばれ、フロッピーディスクの中でも初期に使われていました。小さい方は3.5インチディスクと呼ばれ、後によく使われるようになりました。5インチディスクに比べると小さく、持ち運びにも便利でした。

記録できる情報量は時代とともに増えていきました。初期の頃は数百キロバイトしか記録できませんでしたが、最終的には1.44メガバイトまで記録できるようになりました。キロバイトは情報量の単位で、千バイトを意味します。メガバイトはさらに大きな単位で、百万バイトを意味します。フロッピーディスク一枚でおよそ新聞紙一枚分の情報を記録できました。

しかし、他の記録装置の性能が向上するにつれ、フロッピーディスクの容量では足りなくなってきました。例えば、コンパクトディスクやUSBメモリは、フロッピーディスクよりもはるかに多くの情報を記録できました。そのため、フロッピーディスクは次第に使われなくなり、今ではほとんど見かけることはなくなりました。

種類 サイズ 容量
5インチディスク 約13cm 数百キロバイト
3.5インチディスク 約9cm 1.44メガバイト

使用用途

使用用途

書類を保存するための道具として、フロッピーディスクは広く使われていました。例えば、文章を作るソフトで作った文章や、計算をするソフトで作った表などを保存するのに便利でした。紙に印刷する前に、フロッピーディスクに保存しておけば、内容を書き換えるのも簡単です。また、持ち運びにも便利なので、職場や学校に持って行って、別の機械で内容を確認したり、印刷したりできました。

フロッピーディスクは、ゲームソフトの記録媒体としても活躍しました。ゲーム機にフロッピーディスクを入れて、ゲームを起動したり、ゲームの途中で保存したりすることができました。ゲームのデータだけでなく、様々な種類のコンピュータプログラムもフロッピーディスクに保存して配布されていました。当時は、今のようにインターネットが普及していなかったので、フロッピーディスクはソフトウェアを配布する重要な手段でした。

インターネットが普及する前は、データのやり取りにもフロッピーディスクがよく使われました。学校で作ったレポートをフロッピーディスクに保存して先生に提出したり、職場で作成した資料をフロッピーディスクで同僚と共有したりしていました。フロッピーディスクがなければ、大量の紙を印刷して配布する必要があり、大変な手間がかかりました。今では、電子メールやUSBメモリなどで簡単にデータのやり取りができますが、当時はフロッピーディスクがデータ共有の主役でした。学校や職場などで、フロッピーディスクを何枚も持ち歩いている人や、フロッピーディスクドライブの読み書きの音があちこちから聞こえてくるのは、当時の当たり前の光景でした。

主な用途 詳細
書類の保存 文章、表など
内容の書き換えが簡単
持ち運び 職場や学校への持ち運び
別の機械での確認、印刷
ゲームソフトの記録媒体 ゲームの起動、保存
コンピュータプログラムの保存・配布 様々な種類のプログラム
データのやり取り レポートの提出、資料の共有
データ共有の主役

衰退と現在

衰退と現在

1990年代後半に入ると、記録できる情報量の多さ読み書きの速さを兼ね備えた新たな記録装置が登場し始めました。書き換え可能な光ディスクであるCD-Rや、小型で持ち運びに便利なUSBメモリなどが代表的な例です。これらの新しい記録装置は、フロッピーディスクよりも多くの情報をより速く扱うことができました。このため、次第にフロッピーディスクは使われなくなっていきました。

2000年代に入ると、パソコンにフロッピーディスクを読み書きする装置が組み込まれていることは珍しくなり、現在ではほとんど見ることができません。フロッピーディスク自体も店頭で見かけることはなくなり、手に入れるのが難しくなっています。かつてはパソコンに欠かせないものとして、情報のやり取りに広く使われていたフロッピーディスクですが、技術の進歩とともに、過去の物になりつつあります。

フロッピーディスクの容量は、現在の記録装置と比べると非常に小さく、1枚あたり1.44メガバイトしか記録できません。これは、高画質の画像一枚を保存するのにも足りないほどの容量です。また、読み書きの速度も遅く、大きなファイルを扱う際にはかなりの時間がかかっていました。しかし、フロッピーディスクは、パソコンが広く普及する上で重要な役割を果たしました。

フロッピーディスクが登場した当時は、ハードディスクはまだ高価で、一般の人々には手の届かないものでした。そのため、フロッピーディスクは、情報の保存や持ち運びのための主要な手段として活躍しました。また、フロッピーディスクは、プログラムの配布やデータのバックアップにも使われていました。フロッピーディスクは、パソコンの歴史において、データ保存の手段の中心を担い、その後の技術発展の礎を築いた重要な記録装置として、人々の記憶に残ることでしょう。

時代 状況 フロッピーディスクの特徴
1990年代後半 CD-RやUSBメモリなど、大容量・高速な記録装置が登場 容量少、速度遅 → 使われなくなる
2000年代 フロッピーディスクドライブがパソコンに搭載されなくなる → 入手困難に
フロッピーディスク登場当時 ハードディスクが高価だった 容量少、速度遅 でも、
情報の保存・持ち運び、
プログラム配布、
データバックアップに利用
→ データ保存の中心的役割

フロッピーディスクの別称

フロッピーディスクの別称

フロッピーディスクは、薄い円盤状の記録媒体で、かつてはパソコンでデータの保存や持ち運びに広く使われていました。このフロッピーディスクには、いくつかの別称があります。

一つは「エフディー」です。これは、フロッピーディスクの英語表記「Floppy Disk」の頭文字「FD」をそのまま日本語読みしたものです。簡潔で発音しやすいことから、フロッピーディスクの略称として普及しました。特に、パソコンに詳しい人は「エフディー」と呼ぶことが多く、会話の中でもよく使われていました。

もう一つの別称は「ディスケット」です。これは、フロッピーディスクの心臓部である記録媒体が、薄いプラスチックでできており、柔軟性があることに由来します。英語で「Diskette」と書きますが、これもフロッピーディスクと同じものを指します。

フロッピーディスク本体は、四角いプラスチックのケースに収められており、このケースも柔らかく曲がることがあります。しかし、ディスケットという呼び名は、ケースではなく、内部の記録媒体の柔らかさからきています。

これらの呼び名は、フロッピーディスクが主流だった時代には広く知られていました。現在では、新しい記録媒体の登場により、フロッピーディスク自体が使われる機会は少なくなりましたが、年配のパソコン利用者の中には、今でも「エフディー」と呼ぶ人がいます。これらの別称を知っておくことで、世代を超えた会話がスムーズになるでしょう。

別称 由来 補足
エフディー (FD) Floppy Disk の頭文字「FD」を日本語読み 特にパソコンに詳しい人が使用
ディスケット (Diskette) 記録媒体が薄いプラスチックでできており、柔軟性があるため フロッピーディスクと同じものを指す