BGA実装:高密度実装を支える技術

BGA実装:高密度実装を支える技術

ITを学びたい

先生、『BGA』っていう用語がよくわからないんですけど、教えてもらえますか?

IT専門家

BGAは、電子部品のパッケージの一種だよ。小さな半球状の電極がたくさん並んでいて、基板に取り付けるんだ。碁盤の目のように電極が並んでいる様子を想像してみて。

ITを学びたい

電極がたくさんあるっていうことは、たくさんの信号を送ることができるってことですか?

IT専門家

その通り!電極が多いので、たくさんの信号をやり取りできるんだ。だから、高性能な電子機器によく使われているんだよ。

BGAとは。

集積回路などの電子部品の入れ物の一種である『BGA』について説明します。BGAは、小さな半球状の電極がたくさん格子状に並んでおり、プリント基板や専用の受け口に取り付けて使います。BGAは『ball grid array』の頭文字をとったものです。電極が平らなものは『LGA』と呼ばれます。

概要

概要

電子機器の小型化、高性能化が進む中、部品を基板に実装する技術も進化を続けています。その中で、球状グリッド配列(BGA)と呼ばれる実装技術は、様々な機器で重要な役割を担っています。

BGAは、電子部品の裏側に、はんだの玉を格子状に並べて配置する実装方法です。従来の、部品の側面から足が出ている実装方法と比べて、同じ面積でも多くの接続を確保できます。これは、部品の底面全体を使って基板と接続できるためです。

このBGAの利点は、高密度実装を可能にすることです。つまり、限られたスペースにより多くの機能を搭載できることを意味します。例えば、高性能の演算処理装置や、大容量の記憶装置などを小型の機器に搭載することが可能になります。この技術は、携帯電話や持ち運びできる計算機などの小型化に大きく貢献しています。

また、BGAは接続の信頼性も高いです。従来の足を持つ部品と比べて、はんだ付けする箇所が多いため、振動や衝撃に強い接続を実現できます。さらに、はんだの玉は表面張力によって自動的に位置が揃うため、実装の精度も向上します。

このように、BGAは小型化、高性能化、高信頼性の全てを満たす実装技術として、現代の電子機器に欠かせない存在となっています。今後、ますます高機能な機器が登場する中で、BGAの重要性はさらに高まっていくと考えられます。

BGAの特徴 詳細 メリット
実装方法 電子部品の裏側に、はんだの玉を格子状に並べて配置 同じ面積で多くの接続を確保可能
高密度実装 限られたスペースにより多くの機能を搭載可能 携帯電話や持ち運びできる計算機などの小型化に貢献
接続信頼性 はんだ付けする箇所が多く、振動や衝撃に強い 実装の精度向上
まとめ 小型化、高性能化、高信頼性を実現 現代の電子機器に欠かせない実装技術

仕組み

仕組み

電子部品を板に取り付ける方法の一つに、「球状格子配列」と呼ばれるものがあります。この方法では、部品の裏側に、小さな半球状のはんだの粒が、碁盤の目のように規則正しく並んでいます。このはんだの粒を「はんだボール」と呼び、これを利用して部品と板の配線を繋ぎます。

部品を取り付ける板には、あらかじめ電気を通すための場所が作られています。この場所を「端子」と呼びます。はんだボールは、この端子に合わせて配置されます。

部品と板をはんだボールで繋ぐためには、「加熱炉」と呼ばれる炉を使います。この炉の中で、はんだボールを加熱して溶かします。溶けたはんだは、部品の裏側にあるはんだボールと、板の端子にくっつきます。その後、炉から取り出して冷やすとはんだが固まり、部品と板がしっかりと固定されます。

このはんだボールは大変小さく、直径は0.3ミリメートルから1.0ミリメートル程度です。そのため、小さな部品にも数百から数千もの接続点を作ることができます。従来の、針のような足を持つ部品に比べて、はるかに多くの接続を狭い面積で行えるため、電子機器を小型化することに役立っています。

このように、小さなはんだボールを格子状に並べることで、電子部品を高密度に実装できる仕組みを実現しています。 この技術は、携帯電話やパソコンなど、様々な電子機器に広く使われています

項目 説明
名称 球状格子配列
はんだボール 部品の裏側に碁盤の目のように規則正しく並んだ半球状のはんだの粒。直径0.3mm~1.0mm。
端子 板にあらかじめ作られた電気を通すための場所。
加熱炉 はんだボールを加熱して溶かし、部品と板を繋ぐための炉。
接続点 小さな部品にも数百から数千もの接続点を作ることができる。
実装密度 高密度実装が可能。
用途 携帯電話、パソコンなど様々な電子機器。
効果 電子機器の小型化。

利点

利点

表面実装部品である球状格子配列(BGA)実装には、部品を高密度に配置できるだけでなく、多くの利点があります。まず挙げられるのは、接続の信頼性が高いことです。BGAは多数の半田の球を用いて部品とプリント基板を接続します。この半田の球は、従来のピンタイプの部品に比べて数が多いため、一つ一つの半田にかかる負担が少なく、振動や衝撃に対する耐性が向上します。また、複数の半田の球が電気的に接続されることで、冗長性も確保されます。仮に一部の半田が破損した場合でも、他の半田が機能するため、接続が維持されます。

次に、高速なデータ転送が可能な点も大きな利点です。BGAでは、半田の球が部品とプリント基板を直接接続するため、信号伝送経路が短くなります。ピンタイプの部品では、ピン自体が信号伝送経路の一部となるため、経路が長くなり、信号の遅延や減衰が発生しやすくなります。BGAは、この問題を解決し、高速なデータ転送を実現します。近年、電子機器の処理速度向上に伴い、高速データ転送の需要が高まっているため、この利点は非常に重要です。

さらに、BGAの半田の球は自己整合性を持つため、実装時の位置ずれを自動的に補正することができます。半田を溶かす際に、表面張力によって半田の球が最適な位置に移動し、部品とプリント基板の位置合わせが自動的に行われます。これにより、実装工程が簡素化され、作業効率が向上します。また、位置ずれによる実装不良が減るため、歩留まりも向上し、製造コストの削減に貢献します。

最後に、表面実装部品であるBGAは、プリント基板の両面に部品を実装することを可能にします。従来の貫通穴実装部品では、部品の足を通すための穴が必要でしたが、BGAは部品の足を必要としないため、基板の両面に部品を配置することができます。これにより、基板面積を削減し、電子機器の小型化に貢献します。小型化は携帯電話やパソコンなどの電子機器において重要な要素であり、BGAはこのニーズに応える技術として広く採用されています。

BGA実装の利点 説明
接続の信頼性が高い 多数の半田球による接続で、振動や衝撃への耐性、冗長性を確保。一部半田破損時でも接続維持。
高速なデータ転送が可能 半田球による直接接続で信号伝送経路が短く、信号遅延や減衰を抑制。高速データ転送需要に対応。
実装時の位置ずれ自動補正 半田球の自己整合性と表面張力による自動位置合わせで、実装工程簡素化、作業効率向上、実装不良減少、歩留まり向上、製造コスト削減。
プリント基板の両面実装 部品の足を必要としないため、基板両面への実装が可能。基板面積削減、電子機器の小型化に貢献。

欠点

欠点

表面実装部品の一つである球状格子配列パッケージ(以下、BGAと呼ぶ)は、多くの電子機器で採用されています。BGAは、他の実装方法と比べて多くの利点を持つ一方で、いくつかの欠点も存在します。BGAの最大の特徴であり、同時に欠点でもあるのが、はんだによる接続部分が部品の裏側に隠れている点です。そのため、部品が正しく実装されているかを目視で確認することができません。実装不良が発生した場合、通常の目視検査では発見が難しく、専用の検査装置、例えばエックス線検査装置などを用いる必要があります。こうした特殊な検査装置の使用は、検査にかかる費用を増大させる要因となります。

また、BGAは一度実装してしまうと、取り外して再実装するのが非常に困難です。ピンタイプの部品であれば、比較的容易に取り外して再実装できますが、BGAの場合はそうはいきません。BGAの再実装には、高い技術力と専用の設備が必要となります。そのため、実装ミスがあった場合の修正作業は、時間と費用がかかる複雑な工程となります。さらに、BGAは温度変化による膨張と収縮の影響を受けやすいという特性も持っています。温度変化が激しい環境で使用する場合、この特性は部品の信頼性に大きな影響を与えます。そのため、BGAを採用する際には、使用環境の温度変化を考慮した設計と、適切な材料の選定が不可欠となります。これらの点を踏まえると、BGAは高密度実装に適した優れた実装方法である一方、実装や検査、再実装、そして温度変化への対策など、いくつかの課題も抱えていると言えます。

項目 説明
特徴/欠点 はんだ接続部分が裏側にあるため、目視確認が困難。
検査 専用の検査装置(例:エックス線検査装置)が必要。費用増大の要因。
再実装 非常に困難。高い技術力と専用の設備が必要。時間と費用がかかる。
温度変化の影響 膨張と収縮の影響を受けやすい。信頼性に影響する可能性。
設計/材料選定 使用環境の温度変化を考慮した設計と適切な材料選定が不可欠。

種類

種類

はんだボール格子配列(BGA)には、様々な種類があります。はんだボールの材料、配置、間隔など、多くの選択肢があり、それぞれ特徴が異なります。用途や要求される性能、費用などをよく考えて、最適なBGAを選ぶことが大切です。

まず、はんだボールの材料に着目すると、従来の鉛を含むはんだを使ったものに加え、環境への影響を少なくするために鉛を使わないはんだを使ったBGAもあります。この鉛フリーはんだを使ったBGAは、環境規制に対応するために広く使われるようになっています。

次に、はんだボールの配置や間隔に着目すると、より小さな間隔で高密度実装を実現するマイクロBGAがあります。マイクロBGAは、小型化・軽量化が求められる電子機器において重要な役割を果たしています。従来のBGAよりもはんだボールの間隔が狭いため、限られた面積により多くの接続を設けることが可能になります。

さらに、BGAと似たパッケージとして、はんだボールの代わりに平らな電極を使った平面格子配列(LGA)もあります。LGAはBGAよりもさらに高密度な実装が可能で、より高度な電子機器に使われます。しかし、LGAはBGAに比べて実装費用が高くなる傾向があります。これは、LGAの実装にはより精密な作業と高度な技術が求められるためです。

このように、BGAには様々な種類があります。それぞれの種類には異なる特徴があり、製品の設計段階で適切な種類を選択することが重要です。材料、配置、間隔、そして費用を考慮し、最適なBGAを選び、製品の性能と信頼性を確保しましょう。

種類 特徴 用途
従来のBGA(鉛を含むはんだ) 従来から使用されている
鉛フリーBGA 環境への影響が少ない 環境規制への対応
マイクロBGA 小型、高密度実装が可能 小型・軽量化が求められる電子機器
LGA(平面格子配列) BGAより高密度実装が可能、実装費用が高い 高度な電子機器

将来展望

将来展望

電子機器は日々進化を続け、より高い性能と小型化が求められています。この流れの中で、部品実装技術の一つであるBGA(ボール・グリッド・アレイ)実装の重要性はますます高まっています。BGA実装は、電子部品の接続点を格子状に配置することで、多くの接続を小さな面積で実現できる技術です。

半導体技術の進化は目覚しく、今後もより微細な回路を持つ、より高性能な半導体が開発されるでしょう。それに伴い、BGAパッケージもさらに微細なピッチ、高密度化へと進化していくと予想されます。ピッチとは接続点の間隔のことで、これが小さくなるほど、より多くの接続を同じ面積に配置できます。高密度化も同様に、限られたスペースにより多くの部品を搭載することを可能にします。

実装技術そのものも進化していくでしょう。三次元実装技術は、部品を平面上に配置するだけでなく、立体的に積み重ねることで、実装密度を飛躍的に高める技術です。BGA実装と三次元実装技術を組み合わせることで、電子機器の更なる小型化、高性能化が実現すると期待されています。

BGA実装技術の進化は、電子機器の進化を支える重要な要素の一つです。スマートフォンやパソコンをはじめ、様々な電子機器の高性能化、小型化は、BGA実装技術の進化なくしては実現できません。今後もBGA実装技術は進化を続け、電子機器の発展に大きく貢献していくでしょう。

項目 説明
BGA実装 電子部品の接続点を格子状に配置することで、多くの接続を小さな面積で実現できる技術。
BGA実装の進化 微細なピッチ、高密度化へ進化。ピッチは接続点の間隔。高密度化は限られたスペースにより多くの部品を搭載すること。
三次元実装技術 部品を立体的に積み重ねることで実装密度を飛躍的に高める技術。BGA実装との組み合わせで更なる小型化、高性能化が期待される。
BGA実装の重要性 電子機器の進化を支える重要な要素。スマートフォンやパソコンをはじめ様々な電子機器の高性能化、小型化に不可欠。