絶対パスを理解する
ITを学びたい
先生、『絶対パス』ってよく聞くんですけど、どういう意味ですか?
IT専門家
そうだね。コンピュータの中のファイルやフォルダのある場所を示す住所のようなものだよ。絶対パスは、一番上の階層(ルートディレクトリ)から目的のファイルやフォルダまでのすべての道のりを示したものなんだ。
ITを学びたい
住所みたいなもの…ですか? 例えばどんな感じでしょうか?
IT専門家
例えば、Windows なら C:\Users\<ユーザー名>\Documents\report.txt のようなものだね。Cドライブから順に、report.txtファイルのある場所までをすべて記述している。これが絶対パスだ。
full pathとは。
「情報技術」に関する言葉である「完全な経路」(絶対パス。つまり絶対パス)について
はじめに
計算機の世界では、情報や命令の集まりは、整理された階層構造の中に保管されています。この構造は、書類を整理するための棚のようなもので、様々な場所に情報や命令を仕分けることができます。この階層構造の中で、特定の情報や命令の置き場所を正確に示すために、「道順」という考え方を使います。この道順は、目的の場所までたどり着くための地図のようなもので、様々な種類があります。
その中で、出発点から目的地までの道順を全て示したものを「絶対道順」と呼びます。例えば、建物の入り口から特定の部屋まで行く際に、階数や通路、部屋番号などを全て指定することで、迷わずにたどり着くことができます。これと同じように、計算機の中では、情報の保管場所の最上位から目的の情報や命令の場所まで、全ての階層を順番に指定することで、その場所を明確に示すことができます。これが絶対道順の役割です。
絶対道順は、計算機に情報の置き場所を正確に伝えるために不可欠な要素です。例えば、命令を実行する際、計算機は命令が書かれた情報の置き場所を知る必要があります。このとき、絶対道順を使うことで、計算機は迷わずに目的の命令を見つけることができます。また、複数の利用者が同じ計算機を使う場合でも、絶対道順を使うことで、それぞれの利用者が自分の情報に確実にアクセスできます。
一方、現在地からの道順を示す「相対道順」という考え方もあります。これは、例えば、現在いる部屋から隣の部屋へ行く際に、「隣の部屋」とだけ言えば済むようなものです。絶対道順と相対道順は、それぞれに利点と欠点があり、状況に応じて使い分けることが重要です。この記事では、絶対道順の基本的な考え方や役割、そして相対道順との違いなどを詳しく説明し、より深く理解することを目指します。
道順の種類 | 説明 | 例 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
絶対道順 | 出発点から目的地までの道順を全て示す。情報の保管場所の最上位から目的の情報や命令の場所まで、全ての階層を順番に指定する。 | 建物の入り口から特定の部屋まで行く際に、階数や通路、部屋番号などを全て指定する。 | 計算機に情報の置き場所を正確に伝えることができる。複数の利用者が同じ計算機を使う場合でも、それぞれの利用者が自分の情報に確実にアクセスできる。 | 道順が長くなる可能性がある。 |
相対道順 | 現在地からの道順を示す。 | 現在いる部屋から隣の部屋へ行く際に、「隣の部屋」とだけ言えば済む。 | 道順が短くなる可能性がある。 | 現在地がわからないと使えない。 |
絶対パスの書き方
場所を示す書き方の一つである絶対パスは、情報のありかを根っこから全て書き出す方法です。まるで住所のように、出発点から目的地までの道筋を一つ一つ示すことで、迷わずにたどり着けるようにします。
この書き方では、まず全体の出発点となる根っこの場所を示す必要があります。この根っこにあたる場所をルートと言います。家の住所で例えるなら、国や都道府県に当たる部分です。このルートの書き方は、パソコンによって異なります。例えば、ウィンドウズという種類のパソコンでは、シーコロンと円マーク(C\)のように、アルファベットと記号を組み合わせてルートを表します。ディーコロンと円マーク(D\)のように、使うアルファベットが変わることもあります。これは、家の住所で複数の場所に部屋を持っているような場合に、どの部屋を探すかを指定するようなものです。一方、マックやリナックスといった種類のパソコンでは、ルートは単に円マーク(/)で表されます。
ルートを指定した後は、目的の情報のある場所まで、順々に階層を書き加えていきます。ウィンドウズでは円マーク(\)、マックやリナックスでは円マーク(/)を使って区切りながら、ルートから目的の情報までの道筋を一つずつ書いていきます。例えば、ウィンドウズでシーのルートにある、ユーザーという場所の中にある、ユーザーいちという場所の中にある、書類という名前の情報にたどり着きたい場合は、「C\ユーザー\ユーザーいち\書類」と書きます。マックやリナックスでは、「/家/ユーザーいち/書類」のように書きます。このようにルートからの道筋を全て書くことで、誰でも同じように情報を見つけ出すことができます。これは、家の住所を番地まで詳しく書くことで、誰にでも確実に家を特定できるのと同じです。
項目 | 説明 | 例 |
---|---|---|
絶対パス | 情報のありかをルートから全て書き出す方法 | 家の住所のように、出発点から目的地までの道筋を一つ一つ示す |
ルート | 全体の出発点となる根っこの場所 OSによって表記が異なる |
Windows: C:\, D:\ Mac/Linux: / |
階層 | ルートから目的の情報までの道筋 | Windows: \ (円マーク)で区切る Mac/Linux: / (円マーク)で区切る |
Windowsの例 | C:\ユーザー\ユーザーいち\書類 | Cドライブのユーザーフォルダ内のユーザーいちフォルダ内の書類 |
Mac/Linuxの例 | /家/ユーザーいち/書類 | ルートディレクトリの家ディレクトリ内のユーザーいちディレクトリ内の書類 |
絶対パスの役割
全体から見た位置を示す書き方である絶対パスは、計算機の中の資料や入れ物のある場所をピンポイントで示すために使われます。
例えば、絵を加工する道具を使う場面を考えてみましょう。加工したい絵がどこにしまってあるかを道具に教える必要があります。この時、絵のある場所を全体から見た位置で伝えるのが絶対パスです。机の上の棚の右から二番目の引き出し、というように全ての位置情報を含めて伝えることで、道具は迷わず目的の絵を見つけられます。
指示を出すための言葉を使う場面でも、絶対パスは重要です。例えば、ある資料を別の場所に複製したい場合、元の資料と複製先の場所を両方とも指示する必要があります。この時、両方の場所を絶対パスで指定することで、どの資料をどこに複製するのかを計算機に正確に伝えることができます。もし、場所の指示が曖昧だと、計算機は間違った資料を複製したり、複製先に失敗したりするかもしれません。
また、計算機の中の様々な道具を組み合わせる場合にも、絶対パスは役立ちます。例えば、ある道具で作った結果を別の道具で処理したい場合、最初の道具が出力した結果の場所を次の道具に伝える必要があります。この時、結果の場所を絶対パスで指定することで、次の道具は迷わず正しい資料を読み込み、処理を続けることができます。
このように、絶対パスは計算機が資料や入れ物を正しく見つけるために欠かせない情報です。場所を全体から見た位置で正確に示すことで、計算機に意図した通りの作業をさせることができます。
絶対パスの役割 | 具体的な例 | メリット |
---|---|---|
計算機の中の資料や入れ物のある場所をピンポイントで示す | 絵を加工する際に、絵のある場所を道具に指示する | 目的の資料を迷わず見つけられる |
資料の複製元と複製先の場所を正確に指定する | ある資料を別の場所に複製する際に、両方の場所を指示する | どの資料をどこに複製するのかを計算機に正確に伝えられる。誤操作を防ぐ。 |
異なる道具間で処理を行う際に、資料の場所を正確に伝える | ある道具で作った結果を別の道具で処理する際に、結果の場所を指示する | 次の道具は迷わず正しい資料を読み込み、処理を続けられる |
相対パスとの違い
「絶対パス」と「相対パス」は、コンピュータ内のファイルやフォルダの位置を示す住所のようなものです。それぞれ書き方や特徴が異なり、状況に応じて使い分ける必要があります。
絶対パスは、家の住所を都道府県名から番地まで全て書くようなものです。ルートと呼ばれるコンピュータ全体の起点から目的のファイルやフォルダまでの経路を全て記述します。例えば、パソコン全体を家の敷地とすると、ルートはその敷地の入り口にあたり、そこから目的の部屋(ファイル)までの道順を全て書くことになります。家の敷地入り口から玄関、廊下を通って自分の部屋、というように、全てを指定するので、どの部屋から出発しても、目的のファイルにたどり着くことができます。家の外から帰ってきても、迷わず自分の部屋にたどり着けるのと同じです。このように、絶対パスはどんな場所からでも目的のファイルを一意に特定できるという利点があります。
一方、相対パスは、今いる部屋から目的の部屋までの道順を説明するようなものです。例えば、自分の部屋から隣の部屋へ行くには、「隣の部屋」とだけ言えば済みます。わざわざ家の入り口から説明する必要はありません。相対パスも同様に、現在いる場所(作業ディレクトリ)を基準として、目的のファイルまでの経路を記述します。現在いる場所が「/家/自分の部屋」で、目的のファイルが「/家/自分の部屋/書類/資料.txt」の場合、「書類/資料.txt」とだけ記述すれば目的のファイルにたどり着けます。このように、相対パスは記述が簡潔で済むというメリットがあります。しかし、出発地点が変わると、同じ道順では目的のファイルにたどり着けない可能性があります。例えば、台所から「隣の部屋」と言っても、自分の部屋にはたどり着けません。同様に、作業ディレクトリが変わると、相対パスは目的のファイルを正しく指し示せなくなることがあります。
このように、絶対パスと相対パスはそれぞれ特徴があります。絶対パスは常に同じ場所を指し示すことができ、相対パスは記述が簡潔になります。状況に応じて使い分けることで、ファイルの指定をより効率的に行うことができます。
項目 | 絶対パス | 相対パス |
---|---|---|
説明 | ルートからの完全な経路を指定 | 現在の場所からの相対的な経路を指定 |
例 | C:/Users/user/Documents/report.txt | Documents/report.txt |
メリット | どの場所からでも目的のファイルを特定できる | 記述が簡潔 |
デメリット | 記述が冗長になる場合がある | 現在の場所が変わると、パスが正しくなくなる可能性がある |
絶対パスの利用場面
全て書き出す道筋は、様々な資料や道具の在り場所を示す際に非常に役立ちます。例えば、幾つもの部品を組み合わせて装置を作る場合、設計図には部品それぞれの保管場所を全て書き出す必要があります。保管場所が分からなければ、装置を組み立てることができません。これと同様に、計算機の中の資料や道具、つまりは様々な書類や部品に対応する計算機書類やプログラム部品の在り場所を示す際にも、全て書き出す道筋が用いられます。これがいわゆる全て書き出す道筋です。
設定書類においては、全て書き出す道筋は欠かせません。設定書類は、計算機で動く道具が正しく働くために必要な様々な情報を記録したものです。例えば、道具が使う計算機書類や部品の在り場所を設定書類に全て書き出す道筋で書いて保存しておけば、計算機の環境が変わっても、道具は設定書類に書かれた道筋に従って目的の計算機書類や部品を見つけ出し、正しく動くことができます。もし道筋を一部省略した書き方で書いてしまうと、環境の変化によって目的の計算機書類や部品が見つからず、道具が動かなくなる可能性があります。
命令をまとめた書類や、繰り返し行う作業を自動化する指示書のようなものにおいても、全て書き出す道筋は重要です。これらの書類には、計算機に行わせる作業の手順が細かく書かれています。作業対象の計算機書類や道具を全て書き出す道筋で指定することで、これらの書類を別の計算機に持って行っても、同じ作業を同じように行うことができます。つまり、別の計算機への移植を容易にするために、全て書き出す道筋が役立ちます。
画面に絵や模様、文字などを表示するための指示書においても、全て書き出す道筋は欠かせません。絵や模様、文字などを表示するために必要な部品の在り場所を全て書き出す道筋で指定することで、絵や模様、文字などを正しく表示することができます。もし道筋を一部省略した書き方で書いてしまうと、部品が見つからず、正しく表示されないことがあります。このように、全て書き出す道筋は、計算機の様々な場面で重要な役割を果たしています。
種類 | 全て書き出す道筋の利用方法 | メリット |
---|---|---|
設計図(装置の組み立て) | 部品の保管場所を全て書き出す | 部品の場所が分かり、装置を組み立てることができる |
設定ファイル | 必要なファイルや部品の場所を全て書き出す | 環境が変わっても、ファイルや部品を見つけ出し、正しく動作する |
スクリプト/プログラム | 作業対象のファイルや部品の場所を全て書き出す | 別の環境へ移植しても同じ作業を再現できる |
画面表示(GUIなど) | 表示に必要な部品の場所を全て書き出す | 部品を見つけ出し、正しく表示できる |
まとめ
みなさんがパソコンの中のファイルや書類を探す場面を想像してみてください。目的の品物を見つけるには、保管場所を正確に知る必要がありますよね。まさに絶対パスとは、パソコン内のファイルや書類の保管場所を、迷うことなく一意に示すための住所のようなものです。出発点は常にパソコン全体の保管庫であるルートディレクトリです。ルートディレクトリから目的のファイルや書類がある場所まで、一つ一つ順にたどっていくことで、最終的に目的の場所にたどり着くことができます。
例えば、皆さんの家が、町内、市、都道府県、国というように、階層構造で表される住所を持っているように、パソコン内のファイルや書類も階層構造の中に存在しています。絶対パスは、これらの階層を全て明示的に示すことで、目的のファイルや書類の場所を特定します。現在自分がどの場所にいても、この住所さえ分かっていれば、必ず目的のファイルや書類を見つけることができるのです。
一方で、相対パスは、現在自分がいる場所から目的のファイルや書類までの道のりを示す方法です。例えば、今いる部屋から隣の部屋への行き方を説明するようなものです。相対パスは簡潔に表現できますが、自分がどこにいるかによって道のりが変わってしまうため、誤解が生じる可能性があります。
絶対パスは、相対パスに比べて記述が長くなることもありますが、ファイルの場所を明確に示すことができるため、様々な場面で使われています。特に、多くの設定ファイルやプログラムの中では、ファイルの場所を確実に指定するために絶対パスが用いられています。これらのファイルやプログラムは、様々な状況下で実行される可能性があるため、相対パスのように、現在の場所によって変わるような曖昧な指定方法は避けなければなりません。絶対パスを用いることで、プログラムが正しく動作することを保証できるのです。このように、絶対パスを正しく理解し、使いこなすことは、パソコンを上手に使いこなす上で、非常に重要な技術と言えるでしょう。
項目 | 説明 |
---|---|
絶対パス | ルートディレクトリからの完全なファイルパス。常に一意で、現在位置に依存しない。例: C:/Users/UserName/Documents/file.txt |
相対パス | 現在位置からの相対的なファイルパス。簡潔だが、現在位置に依存するため、誤解が生じる可能性がある。例: ./file.txt |
メリット・デメリット | 絶対パスは明確で誤解がないが、記述が長くなる場合がある。相対パスは簡潔だが、現在位置に依存するため注意が必要。 |
使用場面 | 絶対パスは設定ファイルやプログラムで多く使われ、ファイルの位置を確実に指定する。相対パスは、現在の作業ディレクトリからのファイル指定に便利。 |