絶対パスを理解する
ITを学びたい
『絶対パス』って、最上位の階層から全部の道筋を書かないといけないんですよね?難しそう…
IT専門家
そうですね。家を例に考えてみましょう。あなたの家の住所を全部伝えるのが絶対パスです。『〇〇県〇〇市〇〇町…〇〇番地』のように、番地まで全て伝えます。
ITを学びたい
なるほど!家の住所全体みたいなものですね。じゃあ、相対パスは何ですか?
IT専門家
相対パスは、今いる場所から目的地までの道順です。例えば、あなたの部屋から台所への行き方を『廊下を出て右』と伝えるようなものです。絶対パスと違って、出発点が変わるので、道順も変わります。
絶対パスとは。
コンピューターの記憶装置の中にあるファイルやフォルダの位置を示す方法の一つに、『絶対パス』というものがあります。これは、一番上の階層から目的のファイルやフォルダがある階層まで、すべての道筋を順に書いて位置を示す方法です。反対に、ある場所を基準として、そこからの相対的な位置でファイルやフォルダを示す方法は『相対パス』といいます。『絶対パス』は『フルパス』とも呼ばれます。コンピューターの記憶装置は、一つのフォルダの中にファイルやフォルダが入っていて、それらのフォルダの中にもまたファイルやフォルダが入っている、といった入れ子構造になっています。階層が深くなるほど、枝分かれのようにフォルダが分かれていきます。
場所を示す情報
計算機の中の書類や入れ物も、住所のように、ある場所にしまわれています。これらの場所を示すものを「道筋」といいます。道筋には、大きく分けて絶対道筋と相対道筋という二つの書き方があります。
絶対道筋とは、書類や入れ物の場所を根元からすべて書く方法です。家の住所で例えるなら、国名から都道府県名、市町村名、番地までを漏れなく書くようなものです。例えば、東京都千代田区霞が関1丁目2番3号のように、場所が一つに決まる書き方です。この方法で書けば、誰でも迷わずその場所に行き着くことができます。計算機の中でも、この道筋を使うことで、どの場所からでも目的の書類や入れ物にたどり着けます。
一方、相対道筋とは、今いる場所から目的の書類や入れ物までの道のりを書く方法です。家の住所で例えるなら、近所の友達の家へ行く際に「3つ目の角を右に曲がって、2軒目の家」のように伝えるようなものです。例えば、今いる場所から見て、一つ上の階層に「資料」という入れ物があり、その中に「報告書」という書類がある場合、「資料/報告書」のように書きます。これは、今いる場所を基準にしているため、状況が変わると同じ書き方でも違う場所を指してしまう可能性があります。例えば、別の場所から同じように「資料/報告書」と書いても、そこには「資料」という入れ物も「報告書」という書類もないかもしれません。
絶対道筋は、場所がはっきりと決まるため、誤解が生じにくいという利点があります。誰が見ても、どの場所から見ても、同じ書き方で目的の書類や入れ物にたどり着けます。しかし、道筋が長くなりがちです。一方、相対道筋は、道筋が短く書きやすいという利点がありますが、今いる場所によって意味が変わってしまうため、注意が必要です。どちらの書き方も、それぞれ利点と欠点があるため、状況に応じて使い分けることが大切です。
道筋の種類 | 説明 | 例 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|---|---|
絶対道筋 | 根元からすべて書く方法 | 東京都千代田区霞が関1丁目2番3号 | 場所がはっきりと決まるため、誤解が生じにくい。誰でも迷わずその場所に行き着くことができる。 | 道筋が長くなりがち |
相対道筋 | 今いる場所から目的の場所までの道のりを書く方法 | 3つ目の角を右に曲がって、2軒目の家 資料/報告書 |
道筋が短く書きやすい | 今いる場所によって意味が変わってしまうため、注意が必要 |
階層構造の理解
電算機の情報は、整然と整理された階層構造で管理されています。これは、書類を仕分けるための棚とよく似ています。棚には引き出しがあり、引き出しの中には書類挟みがあり、書類挟みの中には書類が保管されています。このように、入れ子状に構成されているのが階層構造です。
一番上の階層は、根幹となる場所であり、根幹一覧と呼ばれます。根幹一覧の下には、様々な区画(書類挟みに相当)が設けられ、その区画の下にさらに区画が作られる、といった具合に構成されています。それぞれの区画には、名前が付けられており、この名前と階層構造によって、目的の情報が整理・保管されています。
情報を特定するための道筋を示す方法として、絶対道筋という表現があります。これは、根幹一覧から目的の情報まで、階層構造を一つずつ辿ることで、その場所を明確に示す方法です。例えば、根幹一覧を「書庫」、その中の引き出しを「業務」「個人」、さらに「業務」の中に「企画書類」「報告書類」という区画があるとします。「企画書類」区画の中の「提案書類.文書」という情報の絶対道筋は、「書庫/業務/企画書類/提案書類.文書」のように記述できます。
このように、絶対道筋を使うことで、どの電算機でも、階層構造が同じであれば、目的の情報に一意に辿り着くことができます。これは、書庫の中の特定の書類を探す際に、書庫全体から探すのではなく、棚、引き出し、書類挟みと順を追って探すのと同じ要領です。階層構造と絶対道筋は、膨大な情報を整理し、迅速にアクセスするために欠かせない仕組みです。まるで図書館で、書名や著者名ではなく、本の分類番号を使って目的の本を探すようなものです。電算機の中の情報を整理し、必要な情報をすぐに見つけ出すために、この階層構造は非常に重要な役割を担っています。
記述方法
情報を記録した電子的な入れ物を取り扱う時、その入れ物の場所を示す書き方にはいくつか種類があります。特に、電子計算機の全体から見た時の、入れ物の完全な位置を示す書き方を『絶対場所の書き方』と言います。この書き方は、電子計算機を動かす仕組みである基本ソフトの種類によって少し違います。
例えば、窓辺の景色という基本ソフトでは、まず記録装置の名前を最初に書きます。記録装置にはそれぞれ名前が付けられており、例えば『しい』のように、名前の後に『』を付けます。次に、入れ物を整理するための階層構造を、『¥』記号を使って繋いでいきます。例えば、『利用者』という階層の下にある『書類』という階層の中の『報告書.文章』という入れ物を指定する場合、『しい¥利用者¥書類¥報告書.文章』のように書きます。この時、階層を繋ぐ記号は『¥』であり、『/』ではないことに注意が必要です。
一方、林檎やペンギンなどの基本ソフトでは、階層を繋ぐ記号に『/』を使います。一番上の階層は『/』のみで表し、そこから階層を下っていくごとに『/』で区切って繋いでいきます。例えば、『利用者』の下の『書類』の中の『報告書.文章』は、『/利用者/書類/報告書.文章』と書きます。このように、基本ソフトによって書き方が異なるため、どの基本ソフトを使っているかを意識して、正しい書き方を選ぶことが大切です。間違った書き方をすると、電子計算機は目的の入れ物を見つけられず、作業がうまく進まないことがあります。
基本ソフト | 階層構造の書き方 | 例 | 注意点 |
---|---|---|---|
窓辺の景色 | 記録装置名 + 階層を\でつなぐ | しい\利用者\書類\報告書.文章 | \を使う(/ではない) |
林檎, ペンギンなど | / + 階層を/でつなぐ | /利用者/書類/報告書.文章 | 最上位階層は/ |
使用場面
絶対的な道案内情報とも言える絶対パスは、様々な場面で力を発揮します。特に、場所が固定されているファイルを参照する場合に役立ちます。
例えば、様々な機能を設定するための設定ファイルや、計算機全体の動作に関わるシステムファイルなどを考えてみましょう。これらのファイルは、決まった場所に置かれていることで、計算機が正しく動作します。もし、これらのファイルを参照する際に、相対パスのような、見る場所によって変わる道案内情報を使ってしまうと、計算機がファイルを正しく見つけられない可能性があります。そこで、絶対パスを使うことで、ファイルの場所を明確に指定し、計算機が確実にファイルを見つけられるようにするのです。
また、文字を打ち込んで計算機に指示を出す、命令の窓口のような場所でファイル操作を行う場合にも、絶対パスはよく使われます。例えば、ある場所にある書類の写しを別の場所に作りたいとします。この時、写しを作る元の書類の絶対的な道案内情報と、写しを置く場所の絶対的な道案内情報を指定することで、正確に書類の写しを作成できます。もし、現在の見ている場所によって変わる相対パスを使ってしまうと、写しをどこに置くか、あるいはどの書類を写すかが分からなくなってしまいます。
このように、絶対パスはファイルの位置が重要な場面で、その真価を発揮するのです。常に同じ場所を指し示す絶対パスを使うことで、計算機がファイルを確実に見つけ、指示通りに操作を行うことを保証します。そのため、設定ファイルやシステムファイルの参照、命令の窓口でのファイル操作など、様々な場面で不可欠な存在となっています。
絶対パスのメリット | 具体的な場面 |
---|---|
場所が固定されているファイルを確実に参照できる | 設定ファイル、システムファイルなど |
ファイルの場所を明確に指定できる | コマンドラインでのファイル操作(コピーなど) |
計算機が指示通りに操作を行うことを保証する | 設定ファイルやシステムファイルの参照、コマンドラインでのファイル操作など |
相対パスとの違い
道のりを説明する方法には、大きく分けて二つの方法があります。一つは、出発点に関わらず、常に同じ目印を使って目的地まで案内する方法です。もう一つは、現在地から目的地までの道のりを説明する方法です。これらの方法は、それぞれ道のりを表す際に用いる「絶対パス」と「相対パス」に例えることができます。
絶対パスは、まるで地図上の正確な住所のように、ファイルの場所を起点から全て記述する方法です。例えば、家の住所を伝える際に、「東京都千代田区千代田1-1」のように伝えるのが絶対パスです。これは、どこから出発しても、この住所を見れば一意に目的地を特定できます。コンピュータ上でも、常に同じ場所を示すため、プログラムの移動やファイルの共有において、参照先が変わらないという利点があります。複雑な階層構造の中でも、目的のファイルやフォルダを確実に指定できるため、混乱を防ぐことができます。
一方、相対パスは、現在地からの道のりを説明するように、ファイルの相対的な位置関係を表す方法です。例えば、目の前にいる人に「3軒隣の赤い家」と伝えるのが相対パスです。これは、伝える人の位置によって、3軒隣の赤い家が変わる可能性があります。相対パスは、現在位置からの道のりが短い場合、記述が簡潔になり便利です。例えば、同じフォルダ内にあるファイルを参照する場合は、ファイル名だけを記述すれば済みます。しかし、現在地が異なると、同じ相対パスでも異なる場所を指してしまう可能性があるため、プログラムの移動やファイル構成の変更に伴い、パスを修正する必要があるかもしれません。
このように、絶対パスと相対パスはそれぞれ特徴があります。絶対パスは常に同じ場所を指し示すため、確実性が高い反面、記述が長くなる場合があります。相対パスは簡潔に記述できる場合もありますが、現在位置に依存するため、注意が必要です。状況に応じて使い分けることで、プログラムの可読性や保守性を高めることができます。
項目 | 絶対パス | 相対パス |
---|---|---|
説明 | 起点からの完全な道のりを記述 | 現在地からの相対的な道のりを記述 |
例 | 東京都千代田区千代田1-1 | 3軒隣の赤い家 |
利点 | 参照先が変わらない、確実性が高い | 記述が簡潔になる場合がある |
欠点 | 記述が長くなる場合がある | 現在位置に依存、パス修正の可能性 |
用途 | プログラムの移動、ファイルの共有 | 同じフォルダ内のファイル参照 |
まとめ
情報の整理や管理を行う際に、目的の資料を迷わず探し出すことはとても大切です。まるで建物を訪れる際に住所を使うように、コンピューターの中の情報にも住所のようなものが必要になります。これが「絶対パス」と呼ばれるものです。
コンピューターの中の情報は、階層構造で整理されています。建物の住所が、国、都道府県、市町村、番地のように階層的に表されるのと似ています。絶対パスは、コンピューターの最上位階層(ルートディレクトリ)から目的のファイルや資料のある場所までを順にたどる道筋を示します。ルートディレクトリとは、コンピューターのデータ全体を保管する、いわば国のような最上位の場所です。そこから都道府県、市町村と階層を下りていくように、フォルダー(書類入れのようなもの)を順にたどっていくことで、目的のファイルにたどり着くことができます。
この絶対パスは、どの場所から出発しても、必ず目的の情報にたどり着けるという利点があります。例えば、東京駅から目的地に行く場合、出発点が新宿駅でも渋谷駅でも、東京駅からの道筋が分かっていれば、東京駅まで行ってからその道筋に従えば目的地にたどり着けます。絶対パスも同じで、どのフォルダーから操作を開始しても、ルートディレクトリからの道筋が示されているので、迷わず目的の情報にアクセスできます。
ただし、この道筋の書き方は、使っているコンピューターの種類によって少し異なります。例えば、住所の書き方が国によって異なるように、各々のコンピューターの種類(OS)によって書き方が変わるため注意が必要です。しかし、基本的な考え方は同じなので、一度理解すれば、どのコンピューターでも応用できます。絶対パスは、コンピューター内の情報を扱う上で非常に重要な概念です。しっかりと理解することで、情報の管理や操作がよりスムーズに行えるようになるでしょう。
概念 | 説明 | メリット | 注意点 |
---|---|---|---|
絶対パス | ルートディレクトリから目的のファイル/資料への完全な道筋 階層構造で表現(例:住所) |
どの場所から出発しても、必ず目的の情報にたどり着ける | OSによって書き方が異なる |