バッカス・ナウア記法:プログラム言語の設計図

バッカス・ナウア記法:プログラム言語の設計図

ITを学びたい

先生、「バッカス・ナウア記法」って、何のことですか?難しそうでよくわからないです。

IT専門家

簡単に言うと、コンピューターの言葉の文法を決めるための書き方だよ。人間にも色々な国の言葉があるように、コンピューターにも色々な言葉があるんだけど、その言葉が正しく使われているかをチェックするための規則を書き記すのに使われているんだ。

ITを学びたい

なるほど。コンピューターの言葉の文法ですか。つまり、コンピューターの言葉がちゃんと通じるようにするためのルールブックみたいなものですか?

IT専門家

そうそう、まさにそういうことだよ。例えば、日本語で「私はご飯を食べる。」のように、語順が決まっているよね? バッカス・ナウア記法は、コンピューターの言葉でも同じように、正しい語順や書き方を決めるためのものなんだ。だから、プログラミング言語を作る人にとって、とても大切なものなんだよ。

バッカス・ナウア記法とは。

情報処理に関する言葉で、『バッカス・ナウア記法』というものがあります。これは、コンピューターのプログラムの書き方などを決める言葉を決めるために使われる言葉です。1959年にアメリカのジョン・バッカスという人が考え出し、その後デンマークのピーター・ナウアという人が修正しました。名前は二人の名前にちなんでいます。『バッカス記法』と略したり、『Backus-Naur form』の頭文字をとって『BNF』と言ったり、『BN記法』と言ったりもします。

言葉の文法を定義する

言葉の文法を定義する

私たちは日々、日本語や英語といった言葉を使って考えを伝えています。これらの言葉には、それぞれ文法というルールがあります。単語を並べる順番や、句読点の使い方など、様々な決まり事によって、文章は意味を持つようになります。同じように、計算機に指示を出すための言葉、つまりプログラムにも文法があります。このプログラムの文法を書き表す方法の一つに、バッカス・ナウア記法というものがあります。

バッカス・ナウア記法は、人と計算機が正しく意思疎通するための設計図のようなものです。たとえば、新しい計算機用の言葉を開発する場合、この記法を使って文法を定義することで、言葉の仕様を明確にすることができます。開発者同士で認識の違いが生じるのを防ぐのにも役立ちます。また、既に存在する計算機用の言葉の文法を理解するのにも役立ちます。複雑な文法の規則も、この記法を使えば簡潔に表現でき、計算機用の言葉を学ぶのが容易になります。

さらに、バッカス・ナウア記法は、プログラムを実行するための翻訳機を作る際にも重要な役割を担います。翻訳機は、バッカス・ナウア記法で記述された文法に基づいてプログラムを解読し、計算機が理解できる形に変換します。この翻訳機のおかげで、私たちは複雑な計算機用の言葉を直接理解する必要がなく、簡単に計算機に指示を出すことができます。このように、バッカス・ナウア記法は、人と計算機の橋渡し役として、様々な場面で活躍しています。計算機を使う上で、なくてはならない技術の一つと言えるでしょう。

バッカス・ナウア記法とは 役割・利点
プログラムの文法を書き表す方法 人と計算機が正しく意思疎通するための設計図
新しい計算機用の言葉の仕様を明確にする
開発者同士の認識の違いを防ぐ
既存の計算機用言語の文法理解を助ける
複雑な文法規則を簡潔に表現し、学習を容易にする
プログラム実行のための翻訳機の作成に重要な役割
人と計算機の橋渡し役

記法の成り立ち

記法の成り立ち

書き方の決まり事、つまり記法の成り立ちについて説明します。書き方の決まり事を定めることは、物事を伝える上でとても大切です。例えば、文章を書くときには、句読点を使ったり、段落を分けたりする決まり事があります。これらの決まり事があるおかげで、私たちは文章の意味を正しく理解することができます。同じように、計算機に指示を出すための言葉、つまりプログラミング言語にも、書き方の決まり事があります。この決まり事を記法と言います

今回取り上げるのは、バッカス・ナウア記法と呼ばれる、プログラミング言語の書き方を定める記法です。これは、1959年にアメリカのジョン・バッカスさんという方が考え出しました。バッカスさんは、アルゴルというプログラミング言語を作っている時に、その書き方を分かりやすく説明するために、この記法を考えました。その後、デンマークのピーター・ナウアさんという方が、この記法をより使いやすく改良しました。二人の名前をとって、バッカス・ナウア記法と名付けられました。

この記法は、プログラミング言語の書き方を、分かりやすく、間違いのないように表現できるという特徴があります。そのため、アルゴルだけでなく、多くのプログラミング言語の書き方を定めるために使われるようになりました。今では、プログラミング言語だけでなく、情報のやり取りの方法や、データの書き方を定めるときにも使われています。

バッカス・ナウア記法は、計算機科学の発展に大きく貢献した、とても大切な技術です。その影響は、今のソフトウェア作りにも広く見られます。私たちが普段使っている様々なソフトウェアは、この記法のおかげで、正しく動くようになっていると言えるでしょう。

項目 内容
記法の重要性 物事を伝える上で決まり事(記法)は重要。例:文章の句読点、段落分け
プログラミング言語の記法 計算機への指示であるプログラミング言語にも記法が存在。
バッカス・ナウア記法(BNF) プログラミング言語の書き方を定める記法。1959年にジョン・バッカスが考案、ピーター・ナウアが改良。
BNFの目的 アルゴルというプログラミング言語の書き方を分かりやすく説明するため。
BNFの特徴 プログラミング言語の書き方を分かりやすく、間違いのないように表現できる。
BNFの応用範囲 多くのプログラミング言語、情報のやり取りの方法、データの書き方。
BNFの貢献 計算機科学の発展に大きく貢献。今のソフトウェア作りにも影響。

様々な呼び名

様々な呼び名

バッカス・ナウア記法は、その正式名称以外にもいくつか違った名前で呼ばれることがあります。正式名称を略して「バッカス記法」と呼ばれることも珍しくありません。また、英語表記の「Backus-Naur form」のそれぞれの頭文字を取って「ビーエヌエフ」と略されることもよくあります。さらに、「ビーエヌ記法」という略し方も使われています。

これらの呼び方は、どれも同じバッカス・ナウア記法のことを指しています。話す場面や書く文章に合わせて使い分けられていますが、どの名前が使われていても、全く同じものを表していることを知っておくことが大切です。

バッカス・ナウア記法には、このように様々な呼び名があるということは、それだけこの記法が広く知られており、普及していることを示しています。多くの技術者や研究者がこの記法を使っており、それぞれの仲間内では特定の呼び方が習慣的に使われているという場合もあるでしょう。そのため、いくつかの呼び名が同時に存在していると考えられます。

たとえば、大学の講義では正式名称の「バッカス・ナウア記法」が使われ、企業の開発現場では「ビーエヌエフ」が使われ、技術系の書籍では「バッカス記法」が使われている、といったように、状況によって使い分けられている場面もよく見られます。

どの呼び名が使われていたとしても、それがバッカス・ナウア記法を指していることを理解していれば、言葉の行き違いによる問題は起こらないでしょう。大切なのは、それぞれの呼び名が同じものを指しているということを正しく理解することです。そうすれば、円滑な意思疎通を図ることができます。

正式名称 略称
バッカス・ナウア記法 バッカス記法
バッカス・ナウア記法 BNF(ビーエヌエフ)
バッカス・ナウア記法 BN記法(ビーエヌ記法)

記法の構成要素

記法の構成要素

書き方の規則を定める方法の一つに、バッカス・ナウア記法というものがあります。これは、いくつかの記号を組み合わせて、言葉の並び方のルールを示す方法です。まるで、文章を作るための設計図のようなものです。

この記法では、「=」という記号は「~で定義される」という意味で使われます。例えば、「リンゴ = 赤い丸い果物」と書けば、「リンゴとは、赤い丸い果物のことである」と定義したことになります。

また、「|」という記号は「または」という意味を表します。例えば、「果物 = リンゴ | バナナ | ブドウ」と書けば、「果物とは、リンゴかバナナかブドウのいずれかである」という意味になります。つまり、複数の可能性を示す場合にこの記号を使います。

さらに、「<」と「>」という記号は、定義するものの名前を囲むために使われます。例えば、「<果物>」と書けば、「果物」という名前のものを定義していることが分かります。これは、定義の中身が複雑になった場合でも、どの部分を定義しているのかを明確にするのに役立ちます。

これらの記号を組み合わせることで、複雑な文の構造も分かりやすく表現できます。例えば、「<文> = <主語> <述語>」と書けば、「文は主語と述語から成り立つ」という意味になります。このように、少ない記号で言葉の規則を表現できるので、この記法は、機械の言葉であるプログラム言語を作る時や、その仕組みを学ぶ際にとても役立ちます。

これらの記号は、最初は少し分かりにくいかもしれませんが、意味と使い方を理解すれば、誰でも簡単に書き方の規則を表現できるようになります。バッカス・ナウア記法を学ぶ上で大切なのは、一つ一つの記号の意味と使い方をしっかりと理解することです。

記号 意味 使用例 説明
= ~で定義される リンゴ = 赤い丸い果物 「リンゴとは、赤い丸い果物のことである」と定義
| または 果物 = リンゴ | バナナ | ブドウ 果物はリンゴ、バナナ、ブドウのいずれか
< > 定義するものの名前を囲む <果物> 「果物」という名前のものを定義

記法の活用事例

記法の活用事例

「バッカス・ナウア記法」は、様々な場所で活用されている、プログラムの文法を書き表す方法です。この記法は、人間にも機械にも理解しやすい形で文法を表現できるので、プログラムを作る上での共通言語として重要な役割を担っています。

例えば、「ジャバ」や「シープラスプラス」といった、広く使われているプログラム言語の文法も、このバッカス・ナウア記法を使って記述されています。これらの言語は世界中で多くの技術者によって利用されており、その文法を明確に定義することは、プログラムの互換性を保証する上で不可欠です。バッカス・ナウア記法は、このような重要な役割を担っています。

また、データの形式や通信のやり取りを決めた手順を定める際にも、この記法は使われています。データの形式を定めることで、異なるシステム間でのデータ交換をスムーズに行うことができます。同様に、通信の手順を明確にすることで、様々な機器が正しく情報をやり取りできるようになります。

新しいプログラム言語を作る時にも、バッカス・ナウア記法は役に立ちます。この記法を使うことで、言語の設計を明確にし、開発者同士で同じ理解を共有することができます。これは、開発の効率を高め、誤解による手戻りを防ぐ上で非常に重要です。

さらに、既に存在するプログラム言語の文法を学ぶ際にも、この記法は役立ちます。複雑な文法の規則も、バッカス・ナウア記法を使うことで簡潔に表現できるので、プログラム言語の学習が容易になります。

プログラムを実行するための「翻訳機」や「通訳機」といったソフトウェアの開発においても、バッカス・ナウア記法は重要な役割を果たします。これらのソフトウェアは、バッカス・ナウア記法で書かれた文法に基づいてプログラムを解析し、実行可能な形に変換します。つまり、私たちが書いたプログラムを機械が理解し、実行するための橋渡しをしているのが、バッカス・ナウア記法なのです。

バッカス・ナウア記法の活用場面 説明
プログラム言語の文法記述 JavaやC++など、広く使われているプログラム言語の文法を記述し、プログラムの互換性を保証する。
データ形式や通信手順の定義 異なるシステム間でのデータ交換や、様々な機器間の情報交換をスムーズにする。
新しいプログラム言語の設計 言語の設計を明確にし、開発者間の共通理解を促進することで、開発効率を高める。
既存のプログラム言語の学習 複雑な文法規則を簡潔に表現し、プログラム言語の学習を容易にする。
翻訳機・通訳機の開発 プログラムを解析し、実行可能な形に変換するソフトウェアの開発基盤となる。